転生とらぶる
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ペルソナ3
1869話
土曜に行われた食事会と、有里に対する事情説明を行った日の翌日、日曜の影時間……俺とゆかり、荒垣の姿はまたしても巌戸台分寮にあった。
正確には寮の中ではなく、寮の前だが。
もっとも、今日は別に食事をする為にやって来た訳ではない。
いや、影時間に食事にやって来るって考えはないか。
そんな訳で、今日俺がここにやって来ているのは当然のように昨日桐条と約束したように、有里の初体験に同行する為だ。
……ちなみにゆかりの部屋に迎えに行った時にそう言ったら、ゆかりの頬は影時間の中でも分かる程に赤く染まっていたが……相変わらずこの手の話題に弱いな。
「へぇ……準備はいいみたいだな」
「うん。一応桐条先輩に選んで貰ったんだ」
俺の言葉に、緊張した様子も見せずに有里が答える。
今日の有里は動きやすいような服装ではあるが、着ている服は丈夫そうな布を使って作られている。
そして手には日本刀……ん?
「模造刀か、それ?」
「そうだよ。戦闘の初心者にきちんと刃のついている刀は危ないって。タルタロスだっけ? そこの2階とか3階で出てくるモンスターは、これで十分らしいって聞いたけど」
「あー……間違っていない。間違ってはいないけど、モンスターじゃなくてシャドウな」
傍から見れば、モンスターもシャドウも似たようなものではあるし、そう言いたくなっても間違いない。
ただ、一応影時間やタルタロスといった存在をきちんと区別する為にはシャドウと普段から言っておいた方がいい。
「分かった。なら、次からはシャドウって呼ぶよ」
この辺りの判断は、素直と言うか何と言うか……
ちなみにアクセサリとしてマジックアイテムの腕輪もきちんと付けている。
あの色は、力を上げる効果のあるパワーバンドだったか。
……俺も運が良くなる腕輪をしてるんだが、本当に運が良くなってるのかどうか、正直なところ微妙だな。
まぁ、ゆかりのしている指輪でしっかりと効果が出て魔力が上がってるって話だったんだから、効果を疑ったりはしていないんだが。
「さて、話はそろそろいいだろう。……アルマー、頼めるか?」
緊張した様子で尋ねてくる桐条に、頷きを返す。
今回タルタロスに向かうのは、桐条、真田、有里、俺、ゆかり、それから……
「これだけの人数で行くんなら、正直なところ俺が行く必要はねえと思うんだがな?」
不満を口にしている荒垣。
まぁ……正直なところ、このパーティメンバーに荒垣が本当にいるのかと言われれば、決して自信を持って頷く事は出来ない。
実際、これまで荒垣が戦闘をしなければならない……なんて事は1度もなかったのだから。
「まぁ、今回は有里の顔合わせも兼ねてのタルタロスだからな。アルマーのパーティに入っているシンジもいて当然だろ。……昨日の食事会に来ていれば、多少話は別だったかもしれないがな」
「……昨日はちょっと用事があったんだよ」
荒木と真田が、顔見知りだからこその気安さでそう言葉を交わす。
そう言えば昨日俺が誘った時もそんな事を言ってたけど、断る為の方便とかじゃなかったんだな。
普通に用事があったのか。
それがどんな用事なのか……少し気にならないと言えば嘘になるが、それを無理に聞き出そうとしても、荒垣は口を割らないだろう。
「さて、全員準備出来たな? じゃあ、そろそろタルタロスに向かうから、俺の周囲に集まってくれ」
その言葉に、他の面子も色々と言いながら集まってくる。
ちなみに、幾月の姿はこここにはない。
何か用事があるとかで、今日は寮に帰ってこないらしい。
まぁ、俺にとっては幾月がいないというのは、寧ろ助かっているからいいんだが…… ともあれ、全員が集まってきたところで影のゲートを展開する。
ゆかりや荒垣のように慣れている者はともかく、やはり桐条や真田は短くだが驚きの声を発する。
……予想外だったのが有里で、少し驚いたような表情を浮かべはするものの、結局それだけだ。
こうして見ると、つくづく大物というか……いや、あれは単純に驚くのも面倒なだけか?
ともあれ、影に沈んだ次の瞬間……俺達の姿は、タルタロスの前にあった。
「うわぁ……」
影のゲートでは驚かなかった有里も、タルタロスを直接目にすればやはり驚くのだろう。
顔を上げ、髪に隠れていない方の目でしっかりとタルタロスを……俺達の校舎の変わり果てた姿を見ている。
「有里、タルタロスについての説明はもう聞いているのか?」
「え? あ、うん。それは聞いてる。あれが月光館学園……話を聞いただけだと、ちょっと信じられなかったけど……本当なんだ」
「そうなる。まぁ、タルタロスになっているのは影時間だけでしかないけどな。この影時間が終われば、きちんとまた校舎に戻る。……さぁ、行くぞ」
俺と有里の会話を聞いていた全員が、その言葉に頷いてタルタロスの中に入っていく。
そうして最初に到着したのは、当然のようにタルタロスのエントランス。
「さて、ではまずはこれを渡しておこう」
そう言い、桐条が自分以外の面々に渡してきたのはイヤホン型の通信機。
「この通信機は影時間の中でも使えるようになっている。私はこのエントランスからペンテシレアを使ってタルタロスの様子をサーチしながら、そちらに情報を送るから、それを使って対処してくれ。……まぁ、アルマーがいるなら、そういう情報はこっちでどうにかするよりも正確に分かるかもしれないが……アルマー達がいるのは今日が特別だからだ。いつもは私が指示をする事になる」
桐条の確認するような言葉に、それをきちんと理解しているのかいないのか、有里が頷きを返す。
真田に驚いた様子がないのは、今まで桐条と2人だけでオペレートの類もないままにタルタロスに挑んできたという自負があるからか。
実際、オペレートの類があるとのないのとでは大分違うと思うんだが……
そんな風に思いながら、俺は指を白炎に戻す。
「っ!?」
今までは特に驚いた様子を見せてはいなかった有里だったが、まさか俺の指そのものが炎に……それも白い炎になるとは、思ってもいなかったのだろう。
珍しく驚愕の表情を浮かべ、こちらに視線を向けている。
そんな有里の視線が向けられている先で、白炎は子犬へと姿を変えていく。
ゆかりの護衛を任せているのは子猫の炎獣なのだが、桐条の護衛を任せるのには何となく子犬にしてみた。
特に意味はないのだが……敢えて理由を付けるとすれば、イメージ的にゆかりが猫で、桐条が犬だからか?
一般的な桐条のイメージは、孤独を愛する猫といったものかもしれないが……桐条と一緒にラーメンやチャーハン、餃子を食べたり、電話で色々と話をしたり、チーズフォンデュを一緒に食べたり……そんな事をしている間に、何となく俺の中で桐条のイメージが犬になってしまったのだ。
「アルマー、これは?」
子犬の炎獣に近づかれたことに、戸惑ったように桐条が呟く。
「お前の護衛だ。今までこのエントランスでシャドウと遭遇した事はないが、タルタロスの外にシャドウがいる以上、どうにかして外に出ている筈だ。であれば、もしかしたら俺達がいなくなって桐条だけになった時、ここにシャドウがやってくる可能性は皆無とは言えない」
その護衛だと続けると、何かを考えた様子の桐条だったが、やがて笑みを浮かべて口を開く。
「そこまで気遣って貰ってすまない。感謝する」
「気にするな。……ただ、炎獣を貸せるのは今日だけだ。俺達がいない時にタルタロスに挑む時は、きちんとその辺りの対策も考えておいた方がいい。……有里、お前も……うん? 有里?」
ふと、エントランスに入ってきてから有里が静かな事に気が付いた。
元々有里は自分が自分がといった風に前に出てくる性格ではないので、特に不思議には思わなかったが……話を有里に向けてみても一切反応がないというのはおかしい。
有里をよく見てみると、特にどこか具合が悪いという訳ではなく、ただぼーっとしているというのが正しい。
どこか遠くを見ているような、そんな感じ。
「有里?」
そう尋ねるも、やはり有里が返事をする様子はない。
そんな有里の様子に、俺だけではなく他の面々も疑問を抱いたのか、この場にいる全員の視線が有里に向けられる。
だが、この場にいる全員の視線が向けられても、有里が何か反応をする様子はない。
一体どうしたんだ?
そんな疑問を抱き、意識を失っている……いや、これは我を失っているのか? そんな様子の有里に向かって近づくと……
「ん? え? あれ?」
まるでそのタイミングを図っていたかのように、有里は我に返った様子で周囲を見回す。
「どうしたんだ、お前? ぼうっとしてたけど」
「え? えーっと……ごめん。ちょっとぼうっとしてた」
「いや、だからそう言っただろうに。……本当に大丈夫か? これからタルタロスに挑むんだぞ?」
もしかして初めてタルタロスに挑むという事で、緊張しているんじゃないだろうか。
いや、普通ならタルタロスのような場所に初めて挑むのなら、緊張して当然か。
だが、有里の持つ雰囲気というか……そういうのによって、どことなくそんな感じがしないんだよな。
飄々としている? ……いや、飄々というのはどことなく違うような表現か。
ともあれ、今の有里は普通ではないよう……そんな感じがしないでもない。
「ああ、大丈夫。ただちょっと……そう眠かっただけだから」
……訂正。やっぱり有里は有里らしい。
タルタロスに初めて挑むのに、いきなり眠いってのは幾ら何でもおかしいだろう。
そんな風に思うが、有里がこの世界の原作の主人公だったりするのであれば、それくらいは特におかしくない事なのだろう。
半ば無理矢理だが、そう思う事にする。
そんな訳で、俺はそれ以上はぼうっとしてた事を責めるような事はせず、口を開く。
「そろそろ2階に上がろうと思うけど、大丈夫か?」
「うん、俺は大丈夫だけど……アルマーは武器はいいの?」
そう言ってきたのは、自分が模造刀を持っているのに、俺は素手だからだろう。
「あー、そうか。そう言えば有里は知らなかったな。俺の武器は……これだ」
そう告げ、空間倉庫の中からいつもの武器……ゲイ・ボルグを取り出す。
それを見た瞬間、普段は面倒臭そうな態度をしている有里が、殆ど反射的に数歩後退る。
……まぁ、初めてこの赤い槍を目にすれば、そうなってもおかしくはないよな。
特に有里の場合は本格的な戦闘を行った事はないのだから。
いわゆる、レベル1の状態な訳だ。
ん? ああ、でも前に寮で特別なシャドウを倒したんだったか。
だとすれば、もしかしたらレベルが上がっているのかもしれないな。
「そ、それは……?」
「ゲイ・ボルグ。見ての通り、俺の槍だ」
有里が聞きたかったのはそういう事じゃないんだろうが、取りあえずそう返しておく。
何だか微妙に誤魔化されたような感じがしないでもないのだが……まぁ、特に気にする必要もないか。
「どこから……」
「取り出したのかって? まぁ、俺の特殊能力だよ。俺はお前達みたいにペルソナを使う事は出来ないが、その代わりに色々と特殊な能力を持っている。この槍を入れておける空間倉庫とかな」
実際には空間倉庫の中には槍どころかSEED世界で入手したジェネシスのような巨大な物まで入ってるんだが……それは別に言わなくてもいいだろう。
……いざとなれば、空高くまで移動して、そこからジェネシスを落とすという手段がふと思い浮かんだが、それは最後の手段という事にしておこう。
「もっとも、今回は基本的に有里の護衛が主な仕事になる。であれば、俺がわざわざこの武器を使って戦うのは……多分ないだろうな」
視線をゆかりと真田に向ける。
ゆかりは俺と一緒に戦いを潜り抜け、恐らく現在ではこの世界で最強のペルソナ使いと言ってもいいだろう。
いやまぁ、ペルソナ世界にいるペルソナ使いが、具体的にどれだけの数がいるのかは分からないが。
こうしてペルソナ使いとして覚醒しているゆかり達がいるのを思えば、過去にもペルソナ使いがいた可能性は十分にあるし。
もっとも、俺が知っているペルソナ使いで……という事になれば、間違いなく最強なのだが。
そして真田は、ペルソナ使いとしての強さこそそこまでって訳ではないのだが、純粋に身体を使っての戦闘となるとかなり強い。
強さを求めているだけあって、勝利に貪欲なのもいい。
その点だけで考えれば、真田はゆかりをも上回っているだろう。
そんな2人のペルソナ使いがいて、更に歩き回るのは2階、3階といった場所だ。
そうである以上、余程の事がなければ有里が危険に晒される可能性は少なかった。
……死神がいなければ、だが。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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