転生とらぶる
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ペルソナ3
1870話
タルタロスの2階に上がった俺達は、そのまま進んでいたのだが……
ふと、シャドウの気配が俺達から離れていくのに気が付く。
「うん?」
「どうかした?」
疑問を口にした俺に、ゆかりが不思議そうな口調で尋ねる。
俺はそれに何でもないと首を横に振るが……再び現れた新たなシャドウの気配が俺達から離れていくのに気が付いた。
何だ? 何でシャドウが離れていく。
いや、別にシャドウだって俺達がいるのを感じ取っている訳じゃないんだから、これは偶然か?
そんな疑問を抱きつつ、タルタロスの2階を進む。
残念ながら、今日はまだ宝箱を1つも見つけていない。
一応2階にも宝箱はあった筈なんだが……これも有里が関係しているのか?
そんな風に思いながらタルタロスの通路を進むが、一向にシャドウが姿を現すような事はない。
既に2階に上がってから20分以上も経過しているのに、だ。
「おかしいわね」
「……岳羽もそう思うか」
ゆかりが疑問を口にし、荒垣がそれに同感だと言いたげに呟く。
真田は敵が出てこない事に不満そうにしながらも、特に何かを感じている様子はない。……不満は別だが。
有里はと言えば、初めてのタルタロスだというのに全く緊張している様子はない。
こうして見る限り、別に戦い慣れしているという訳でもなさそうだが……これは、恐らく純粋に有里の性格の問題だろう。
ともあれ、シャドウの姿がない……それどころか、こちらの気配を察知した瞬間に逃げていくというのは、どうにも異常だ。
待て。異常? タルタロスで異常な存在と言われて最初に思いつくのは、当然のように死神だろう。
となると、もしかして死神が出るのか?
だが、今までに何度か死神と戦ってきた経験から考えると、その階層にいるシャドウが逃げ出すなんて事は、なかった。
そして何より死神が出てこないだろう最大の理由として、俺の中にある念動力が一切反応していないというのが大きい。
フェイト級の力を持っている死神が、こちらに殺意や敵意……いや、殺意は感じても敵意を感じた事はなかったか。
ともあれ、殺意を持って俺に挑んでくるといった真似をしようとした場合、必ず教えてくれた念動力が働いていない。
となると……やっぱりこれは、死神の結果ではないのは明らかだろう。
「どうなってるんだ?」
そんな疑問が俺の口から出たが、他の面々も同じような疑問を感じていたのだろう。
不思議そうな表情を浮かべつつ、俺の方を見てくる。
「アルマー、お前でも理由は分からないのか?」
「ああ、残念ながらな。今まで、こんな事はなかった」
真田の疑問に、そう答える。
影のゲートを使えるという関係上、恐らくタルタロスに一番多く来ているのは俺だろう。
勿論俺がタルタロスに来始めたのは、あくまでも2月からだ。そうである以上、2月以前に桐条達がタルタロスに何度も来ているのであれば、向こうの方が回数が多いかもしれないが……いや、今はそんな事を考えていられる場合じゃないか。
「取りあえず、どうする? 有里にシャドウとの戦いを経験させる為にやってきたのに、こうも見つからないと……そうだな、俺が影のゲートを使ってちょっとシャドウのいる場所を見つけてくるか? そこに有里を直接連れていけば、戦闘は問題なく出来ると思うけど」
『それは……出来れば止めて欲しい。有里はまだきちんとシャドウと戦ったことはない。一応寮でシャドウと戦ってはいるが、その時の結末は知っているだろう? であれば、可能なら有里の側にはいざという時にフォロー出来るように誰かがいて欲しい』
耳に掛けている通信機から、桐条のそんな声が響く。
桐条にしてみれば、ようやこう自分達のパーティに所属する事になったペルソナ使いだ。
可能な限り安全面に配慮したいと思うのは、当然の事だろう。
「桐条の気持ちも分かるが、シャドウが逃げ出すのを見る限り、万全の態勢で……って訳にはいかないと思うが?」
『それは、そうだが……』
結局シャドウが逃げ出すといった以上、どうしようもないというのは桐条の方でも理解していたのだろう。
有里と一緒に真田を転移させてフォローさせるという事で、話がつく。
そうして、俺は影のゲートに潜ってシャドウの姿を探し……予想外に早く、臆病のマーヤの姿を発見した。
しかも臆病のマーヤは1匹だけという、これ以上ない程に有里のデビュー戦の相手としては最適の相手だ。
影から出て、気配遮断を使って近づいてみるが、特に逃げ出すような感じはしない。
いや、気配遮断を使っている以上、それを解けば逃げ出すという可能性は否定出来ないんだが。
ともあれ、30秒程臆病のマーヤを観察し、特におかしなところがないと判断すると、再び影のゲートを使って皆の場所に戻る。
「臆病のマーヤを見つけた。1匹」
「お、早いな。さすがアルマー」
真田が嬉しそうにそう告げるのだが、今回の戦闘はあくまでも有里がやるべきもので、お前はあくまでもフォロー、念の為、一応……そんな感じでいるってのは分かってるんだよな?
そう思うも、言っても無駄だろうと思うので口にはしないが。
それに真田も強さを求めてはいるが、それだけに今更臆病のマーヤ程度の相手と戦っても意味はないだろうし。
「とにかく、行くから有里と真田は俺の近くに来てくれ」
その言葉に、2人は俺の近くにやってくる。
そして次の瞬間、影に身体を沈めていく感触に、真田が悲鳴を上げる。
まだ2回目の有里ですら普通にしてるんだから、真田にもいい加減慣れて欲しいような気がする。
そんな風に思っている間にも影に沈んでいき……やがて俺達の姿は、先程臆病のマーヤを見つけた場所から、そう遠くない場所に出る。
「あそこだ。見えるか?」
「あ、ああ」
「うん」
まだ影に沈む感触に戸惑っている様子の真田と、今日が初めてなのに全く動じた様子のない有里。
この辺、2人の器の違い的なものなのか?
そんな風に思っているのだが、その間にも真田は有里に細々とした事を注意している。
臆病のマーヤはブフという氷系の魔法を使ってくるとか、そんな感じで。
それを見ながら、俺は何かあった時の為に周囲の様子を偵察する。
……さっきまでは臆病のマーヤを含めてシャドウはすぐに逃げ出していたのに、今は全く逃げる様子がないな。
となると、今まで臆病のマーヤが逃げ出していた理由は、ここにいない人物……ゆかりと荒垣のどっちかにあるのか?
ふむ、そうだな。この戦いが終わったらちょっと試してみるか。
ただ……ゆかりと荒垣だと、多分ゆかりの方が原因だと思うけどな。
荒垣はずっと俺達と一緒に行動していたが、その間に敵と戦うといった事はなかった。
であれば、荒垣は初めて俺達と一緒にタルタロスに挑んだ時と全く変わりがないのだろう。
そうなると、消去法で残るはゆかり……いや、待てよ?
「桐条?」
『うん? どうした? 有里の戦いに何か問題があったのか?』
その言葉に、視線を有里の方に戻す。
そこでは模造刀を使い、有里が臆病のマーヤに戦いを挑んでいるところだった。
元々の冷静さもあるのだろうが、初めての戦闘だというのに、特に問題なく相手取っているように見える。
「いや、そっちは問題なく進んでいる。有里に危険があったら、すぐに真田が突っ込めるように準備もしてるしな」
『なら、どうしたんだ?』
「有里を見てもシャドウが逃げる様子を見せなかったから、もしかして桐条との通信の際に妙な電波でも出てて、それでシャドウが逃げるんじゃないかと思ったんだが……どうやら違ったらしい」
こうして桐条と通信機で会話をしていても、シャドウが逃げる様子がないのを確認する限り、通信による電波を感知して逃げていた……という訳でもないらしい。
『ふむ、なるほど。……生憎と私はそちらにいないので、何とも言えないが……人数差を考えて、勝ち目がないからと本能的に判断した……という事はないか?』
「あー、それも否定は出来ないか」
さっきまでは、俺、ゆかり、荒垣、真田、有里の5人が纏まっていた。
それだけに人数がいれば、シャドウが人数差で勝ち目がないと判断してもおかしくはない。
……まぁ、実際には5人で戦うとなれば、タルタロスではかなり狭いのだが。
合計4人くらいが、タルタロスで戦闘をやるのに問題なく戦える人数だろう。
勿論、使う攻撃方法よっもて、その辺は変わってくるが。
それに俺達の場合、全員で5人ではあったが、荒垣は基本的に戦闘をしない。
そう考えれば、人数的に問題がないのは明らかだった。
『ふむ、なるほど。その辺りの事情が分かったら、私にも教えてくれ。タルタロスを攻略する上で重要な要素となるかもしれない』
「無料でか?」
『む……ならば、今度お好み焼きを食べに行く時は私の奢りという事でどうだ?』
「乗った」
桐条と一緒にお好み焼きを食べにいく話をしている間にも当然戦いは行われており、やがて有里が臆病のマーヤから距離を取り、召喚器を頭部に当て……
「オルフェウス!」
その言葉と共に、有里のペルソナが召喚される。
その姿は、オルフェウスという名前の通り竪琴を持った吟遊詩人を思わせる。
オルフェウスってのは、北欧神話? ギリシャ神話? どこの神話だったかはちょっと覚えていないが、とにかく何かの神話に出てくる吟遊詩人だった筈だ。
まさにそのオルフェウスの名前に相応しい姿をしている。
そんなオルフェウスは、アギを使って臆病のマーヤに大きなダメージを与え……その隙を突くかのように、有里が模造刀を手に一気に距離を詰めると、その刃のない刀を振り下ろし……やがて、臆病のマーヤは消えていく。
『どうやら勝負はついたようだな』
「ああ。ただ、もう少し戦闘を重ねつつ、シャドウが逃げ出した理由を探りたい」
『それはこちらにとっても願ってもないことだ。……有里と明彦の2人を頼む』
そう告げ、桐条からの通信が切れる。
それを確認すると、俺はそのまま真田の方に向かって歩き出す。
「どうだった?」
「……まだ弱い。だが、センスはあるな」
俺も真田のそんな意見には、賛成だった。
そもそもの話、臆病のマーヤを相手とはいえ、1人で戦いを挑み、それで勝ったのだ。
多少の怪我はしているようだが、それだってかすり傷や軽い打撲程度だろう。
初めての戦闘でこれってのは、有里に相応の戦闘センスがあるからこそのものだろう。
……勿論有里が戦ったという特殊なシャドウに比べれば、その力はそこまで強くはないのだろう。
そう考えれば……そこまでおかしくはないのか?
「ふぅ、疲れた」
そう言いながら、有里が模造刀を片手にこちらに戻ってくる。
だが、言葉程に疲れているよいった様子は見えない。
……あくまでも表情に出ていないだけで、疲れてはいるんだろうが。
「取りあえず、一旦ゆかり達がいる場所に戻るぞ。そこでまた、俺がシャドウを探してから……今度は、そうだな。フォロー役としてゆかりを連れて移動してみる」
怪しいのがゆかりと荒垣で、その中でもより怪しいのがゆかりである以上、ここはやはりゆかりを連れて移動するのが最善の選択だろう。
真田も俺の言葉に特に異論はなかったのか、黙って頷く。
有里も、それは同様だ。
そんな訳で、俺達は再び影のゲートに身体を沈め、ゆかり達のいる場所に戻る。
「……どうやら無事だったみたいだな」
俺達が影から現れると、荒垣がそう告げてくる。
素っ気ない様子を装っているが、実際には俺達を心配していたというのは十分に分かる
「ああ。シャドウも逃げたりはしなかった。つまり……」
「今までシャドウが逃げていたのは、俺か岳羽にあるって事か?」
最後まで言わずとも、荒垣は俺の言いたい事を理解し、そう言葉を続ける。
「そうなるな。その上、可能性としてはゆかりの方が高い」
「……俺もそう思う。俺はタルタロスには来てるが、殆ど何もしてないないしな。……いや、だが……まさか、な」
最初は俺の言葉に同意していた荒垣だったが、ふと何かに気が付いたかのような様子を見せる。
「何だ? 何か思いつく事があるのか?」
「何でもねえよ。とにかく、今と同じようにして岳羽を連れていってみろ。それで問題ないようなら、俺だろうしな」
何か隠してるような気がするが……いやまぁ、それくらいは普通にあってもおかしくはないんだが。
人間、誰でも隠し事の1つや2つあってもおかしくないし。
「分かった、そうさせて貰うよ。……ゆかり、ちょっといいか?」
少し離れた場所で周囲を警戒していたゆかりに、声を掛ける。
シャドウが逃げるとはいえ、その理由が分からない以上、いつ襲ってくるかも分からない。
ましてや、ゆかりは死神という存在を知っている以上、タルタロスで油断をするという選択肢は一切ないのだろう。
「何?」
「今度有里のフォローに入るのはゆかりで頼む」
「私が? ……まぁ、いいけど」
一瞬驚いたような表情をしたゆかりだったが、特に異論はないのか、あっさりとそう頷いたのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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