夢幻水滸伝
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第二十六話 浮島その四
「そうやねんな」
「その通りや、しんどい場所やで」
「アルプス越えも難しいか」
「ああ、物凄くな」
「そうした場所はあるってことか」
「こっちの世界でもな、それで今から浮島に入るけどこっちの領地や」
関西の勢力圏内だというのだ。
「役人もおるし民衆もおってな」
「ちゃんと統治されてるか」
「そや、万全にな」
「それを見るか、今から」
「ああ、そうなるわ」
鵺は中里に話しつつ空を飛んでいった、そしてその浮島のすぐ近くまで来たが平坦な島が宙に浮かんでいてだ。
島の下は岩場になっていて円錐を逆さまにした形になっている、中里はその島と周りの島達を見て言った。
「ほんま幻想的な風景や」
「こっちの世界では普通やけどな」
「僕等の世界やとな」
「幻想的か」
「ほんまにな」
そうだというのだ。
「ちょっとない場所や」
「そうか、けれど何度も観てるとな」
「そのうち慣れてか」
「何とも思わん様になるわ」
そうなっていくというのだ。
「自然にな」
「まあそれはな」
「自分も思うやろ」
「人間は慣れるもんや」
何度も経験していると、というのだ。
「向き不向きはあってもな」
「そのうち慣れてな」
「何共思わん様になるな」
「そうや、この浮島もな」
「見ていてそのうち慣れて何も思わん様になる」
「自分もそうなるで」
鵺はまた中里に話した。
「近いうちにな」
「よし、ほな今から島の中にやな」
「入るで」
「わかったわ」
中里は頷いた、そして彼は綾乃達と共に浮島に入った。島の中に入るとどういった場所かというと。
ごく普通の日本の田園風景でだ、彼はそろそろ収穫で黄金色の稲達を見てそのうえで言った。
「浮島も水田があってか」
「ああ、そろそろな」
芥川が笑顔で応えた。
「収穫や」
「そやな、これはええ感じで収穫出来そうやな」
「そやろな、ただな」
「ただ?」
「これで普通やからな」
芥川はこう中里に注意を入れた。
「この島は」
「豊作やないんか」
「そや、普通や」
収穫の状況としてはというのだ。
「これでな」
「豊かな島か」
「そや、米はよおさん獲れるし大豆も採れてな」
あぜ道の豆達もかなりある。
「あと酒も造ってるわ」
「米からか」
「菜種もな」
「菜種から油採れるな」
「産業もあるしええ島や」
「農業の島か」
「ああ、あと工場も造りはじめてる」
こちらもはじめているというのだ。
「木綿もええのが採れるからな」
「その木綿からか」
「服とか作ってるんや」
「それで売ってるか」
「そやねん」
実際にというのだ。
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