夢幻水滸伝
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第二十六話 浮島その三
「でかい神社とかもあるわ」
「それでお寺もあるか?天理教の教会とか」
「何でそこで天理教が出るねん」
「敷島やからな」
「それでか?」
「敷島大教会ってめっちゃでかい天理教の教会があるんや」
中里は自分の本来の世界の話を鵺にした、既に空高く舞い上がっており都も点の様にしか見えなくなっている。
「その下に四百以上教会があってな」
「それはでかいな」
「その教会もあるか?」
「こっちの世界にも天理教あるけどな」
神道や仏教がありだ、キリスト教もイスラム教も存在している。神仏はこの世界にも存在しているのだ。
「その大教会はないな」
「そうなんか」
「大和の桜井の方のあれか?」
鵺は考える顔でこうも言った。
「三輪大社の近くにばかでかい天理教の教会あるけれどな」
「三輪さんに負けへん位のやな」
「一回見て何やこのでかい神社って思ったわ」
鵺にしてもというのだ。
「あれか?」
「そこやな、多分」
「そうなんか」
「ああ、けれど敷島って名前か」
「日本で大きい方の浮島でや」
そしてとだ、鵺は中里に今度はその浮島のことを話すのだった。
「人も多いで」
「そうなんやな」
「水も多いしな」
「草木もあるんやな」
「豊かな島やで」
「水があるってことはや」
このことについてだ、中里は鵺の背からこう言った。
「水が涌くし雨も降るか」
「雨も雪も降るで」
「どっちもか」
「ああ、空気も濃いしな」
「そういえばこの空は空気濃いな」
中里はここでこのことにも気付いた。
「雲の上に出てもな」
「そやろ、この世界の空はそっちの世界より高くてな」
「空気も濃いか」
「雲の上にさらに雲がある」
「そうした空か」
「そや、浮島の高度も色々やしな」
「陸地から見たら点にしか見えん島もあれば見えん島もある」
「高度次第でな」
「そこも色々なんやな」
「そうや、大小や気候もな」
「ほな北極の上にある浮島は寒いか」
「めっちゃ寒いで」
実際にという返事だった。
「正直まともには暮らしていけんわ」
「それだけ寒いんやな」
「そや、普通の人間はな」
「それで日本の浮島は暮らしやすい」
「気候はそのまま影響してるか」
「そや、ただ高山地帯はな」
世界のそうした場所はというと。
「やっぱり草木もなくてな」
「高山の生きものがおるか」
「ヒマラヤとかアルプスとかな」
そうした地域はというのだ。
「そうなってるわ」
「そうなんか」
「ああ、あの辺りは地形も簡素やし雨も少ない」
「浮島とはちゃうか」
「そうやねん」
「それで自然の要害か」
そうした地域についてだ、中里はこうも言った。
「容易に通り抜けられへん」
「空を飛べてもな」
「やっぱり山があまりにも高いしか」
「飛んで行くにも一苦労や」
「それで自然の要害か」
「中々通ることは出来んで」
「インドとかの重要な守りやな」
中里は真剣な顔で言った。
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