夢幻水滸伝
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第二十六話 浮島その二
空を飛んで行く、中里は鵺を呼び出してその背に乗った。すると鵺は主にこんなことを言ってきた。
「この世界の特徴の一つでや」
「浮島はやな」
「そや、空に浮かんでる島でな」
「人も住んでるんやな」
「そや、それも結構な」
「人が住んでるってことはな」
このことからだ、中里はこんなことを言った。
「水も草木もあるか」
「勿論や、田畑もあって家畜もおる」
「地上と変わらんか」
「翼人以外の連中も住んでるわ」
「人間とかドワーフもやな」
「ああ、そこも地上と一緒や」
「要するに島やな」
中里は鵺の話を聞いて頷いた、傍には九尾の狐に乗った芥川と八岐大蛇に乗った綾乃もいる。
「普通の島は海とか湖にあってな」
「浮島は空にある」
「そういうことやな」
「人間はそうしたところにも移住しとるんや」
「こっちの世界ではか」
「島とか浮島にもな」
「そういうことやな、そういえばな」
中里は鵺と話しつつこうも言った。
「こっちの世界にアトランティスとかムーとかあるか?」
「どっちもあるで」
即答だった、鵺の今回の返事は。
「浮島でもかなり大きいわ」
「こっちの世界では両方共実在するんやな」
「そうや」
「しかも浮島でか」
「もう島っていうか大陸やな」
その二つはというのだ。
「とにかくめっちゃ大きいんや」
「ムーは太平洋にあるんか?」
「それでアトランティスは大西洋や」
それぞれの大洋に浮かんでいるというのだ。
「この世界を救った英雄達がおるんや」
「英雄?」
「そや、この世界は最初海に沈んでた」
「ああ、その話も聞いてるで」
芥川達からだ、この世界のことを聞くうちでそうしたことも聞いて知っていたのである。
「それが海を支配していた魔神が倒されてやな」
「出て来たのがこの世界や」
「そやったな、それでその魔神を倒した英雄達がか」
「アトランティスとムーにおるんや」
「二つの大陸にか」
「今もそこを治めてるんや」
「そうなんか、けどそんな英雄がおったら」
こうも言った中里だった。
「何でこの世界を統一せんのや」
「自分等でやな」
「それはせんのか」
「そうみたいや、世界は救ったけどな」
「それから動かんのか」
「それぞれの島からな」
この世界には一切干渉しないというのだ。
「そうしてるわ」
「内政に専念してるか」
「そうみたいや、どっちも相当豊からしいけどな」
「こっちの世界の動静には我関せずか」
「完全にな」
「成程な、それでアトランティスとかムーには行けるんやな僕等も」
「ああ、行けるで」
それは可能だとだ、鵺は自分の主にあっさりと答えた。
「そこは安心するんや」
「それで帰ることもやな」
「出来る、とはいっても歓迎はされんし嫌がられもせん」
訪れてもというのだ。
「ほんまどうでもええ感じや」
「そうなんか」
「ああ、そうした浮遊大陸もあってな」
鵺は中里にさらに話した。
「島の大きさも大小や」
「それも海や湖の島と一緒やな」
「人の数もちゃうしな」
「それで僕等が今から行く島はどんな島や」
「敷島って名前でな」
まずは名前からだった。
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