夢幻水滸伝
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第二十五話 五騎星その三
「私はな」
「それで欧州の統一を目指してるか」
「盟主になるのは私だ」
「いつもこう言っているのだよ、彼は」
ヘッセより幾分背の低い蜂蜜色のやや収まりの悪そうな質の髪の毛をセットしている少年がヘッセの横から言ってきた。赤い所々に金があるブレザーに白いズボンにエンジ色と青の模様いネクタイという恰好だ。緑の目はやれやれという色を見せている。やや面長の顔であり色はかなり白い。
「悪い人物ではないが大言壮語する悪癖がある」
「そうなんか」
「私もいつも注意しているのだがね」
「そういう君はどうなのだ」
ヘッセはその緑の目の少年に返した。
「その嫌味さはなおすべきだが」
「おやおや、私は嫌味かい?」
「実にな」
こう言うのだった。
「気心が知れた我々だからいいが嫌われるぞ」
「好かれるのも嫌われるのも他人次第だよ」
「そうした努力はしないのだな」
「私はありのままでいたいのだよ」
笑ってヘッセに返す。
「常にね」
「そうか、それで君もだ」
「太平洋の友人となる彼等にだね」
「挨拶をすべきではないのか」
「わかっている、やはりお初にお目にかかるだな」
中里達に目を戻して言ってきた。
「私はアーサー=マロリー。正式な名は」
「何ていうんや」
「ザ=ライト=オノラブル=アーサー=ウィリアム=ロード=マロリー=オブ=ノーザンプール」
「めっちゃ長い名前やな」
「それだけなのだね」
「長い名前もあるしな」
それでとだ、中里はマロリーに返した、それもあっさりと。
「何しろ世界中から人が来る学園や」
「長い名前の者も多い」
「そやから別に驚かんわ」
「成程、そうなのだね」
「そうや、その名前からして貴族やな」
「この前父から伯爵家を継いだよ」
そうだとだ、マロリーは微笑んで中里に話した。
「ちなみに好きな声優さんは水樹奈々さんだよ」
「ええ趣味やな」
「彼女の歌は最高だ」
「それは同意や。僕は田村ゆかりさん派やがな」
中里は自分の趣味を述べた。
「水樹奈々さんもええな」
「そうだな」
「そこは同意や」
「彼は音楽への造詣が深くてね」
ヘッセがまたここで言ってきた。
「アニメソングも好きなのだよ」
「そうなんやな」
「クラシック、ロック、民謡、パンク、何でも聴くのだがね」
ここでまた言ったマロリーだった。
「日本に入ってアニソンもだよ」
「知ってか」
「水樹奈々さんに出会った、今ではコンサートにも行く」
「甲子園でも歌ってたな」
「そちらにも行った、野球にも興味を持ったよ」
「そっちは阪神か」
「いや、広島だよ」
笑ってだ、マロリーはこのチームが贔屓だと述べた。
「ああした不屈の戦い方はいい」
「そうなんか」
「ああしたチームが勝つのはいいことだ」
「私も同意だよ」
波がかった栗色の長髪にすらりとした一八〇位の長身の中性的な顔立ちの男も言ってきた。青い詰襟に赤いズボンという制服であちこちに金のモールがあり実に豪華な感じだ。睫毛の長い瞳の色はブラウンだ。
「何時でも諦めない、それは高貴な戦いだ」
「そういう自分は誰や」
「シャルル=ド=ユゴー」
男は中里に微笑んで話した。
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