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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十五話 秋田の思い出その十四

「あの人も」
「そうですね、確かに」
「沢村投手は大谷投手より速かったのかな」
「どうでしょうか」
「ちょっと博士に聞いてみようかな」
 何でもこれまで速かったのは他に東映、今の日本ハムの尾崎投手やもうなくなってしまった阪急の山口投手らしいにしてもだ。
「どちらが速かったか」
「大谷投手では」
「そうかもね、あの球速は凄いよ」
 本当に人間とは思えない。
「沢村投手以上じゃないかな」
「本気でそう思えますね」
「そうだよね」 
 まさか今そんなピッチャーが出て来るなんて思わなかった、一六〇キロを普通に超えるピッチャーなんて。
「味方にしたら凄いけれどね」
「敵としては」
「ソフトバンク手も足も出なかったからね」
「全く、でしたね」
「広島も警戒してたよね」
「幸い一戦は勝てましたが」
 その大谷投手が出て来たけれどだ。
「やはりです」
「警戒していたよね」
「はい、しかし大谷投手以外にも日本ハムは選手が揃っていたので」
「それでだね」
「負けてしまいました」
 小夜子さんは広島ファンとして残念そうに言った。
「強かったです」
「うん、そうだったね」
「確かな強さがありました」
「あの強さはまぐれじゃないね」
「そうでしたね」
「伊達に優勝した訳はないよ」
 それも十一・五ゲーム差を覆してだ。
「大谷投手だけじゃなかったよ」
「他の選手も揃っていましたね」
「そうした強さがあったから」
 だからだった、まさに。
「日本ハムは強かったよ」
「監督もよかったですし」
「監督で勝てる試合って五つあるらしいね」
 一シーズンでだ。
「それが五勝五敗になってね」
「その五勝がですね」
「優勝ラインになるからね」
「だから栗山監督もいいからですね」
「あのチームは強かったんだよ」
「そうなんですね」
「実際に采配上手だよ」
 選手の育成もリーダーシップもだ、何でも自分に責任があると言い切るその姿勢は僕もかなり凄いと思う。
「あの人は」
「そのこともあって」
「ソフトバンクも強かったけれど」
 傍目で見て工藤監督も悪くないと思う、少なくとも昨年日本一の監督になっただけのことはある。現役時代も頭脳派として知られていたそうだし。
「日本ハムは強かったよ」
「そうですね」
「あたしも予想外だったわ」 
 北海道出身でこのことからも日本ハムファンの美沙さんも言ってきた。
「あれはね」
「日本ハムの日本一は」
「もう前半諦めてたわ」
「凄いゲーム差だったからね」
「あの時ソフトバンク無敵だったし」
 本当に破竹の進撃だった、やっぱり貫禄だと僕も見ていて思った。
「だからね」
「あの時は諦めてたんだ」
「そうよ、もうね」
「けれどそれがね」
「あのゲーム差ひっくり返してだったから」
 十一・五ゲーム差のそれをだ。
「凄かったわ」
「そうだね、阪神だったらね」
「無理っていうのね」
「ひっくり返されることはあったよ」
 阪神はある、一度もう大丈夫だと思っていたらそこから巨人に負け続けて彼等に優勝されたことがあった。 
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