八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十五話 秋田の思い出その十二
「夜行さんはいるよ」
「じゃあ真夜中に学園歩いていたら」
「ああ、ここの夜行さんはそうしたことしないから」
人を蹴り殺す様なことはだ、首なし馬で。
「安心してね」
「ただ馬に乗って走っているのね」
「それだけらしいよ」
「そうなのね」
「ここの学園の妖怪はそうしたことしないから」
人を襲ったりすることはだ。
「幽霊さん達もね」
「それは何よりね」
「そういえばです」
小夜子さんもここで話に入って来た。
「百鬼夜行のお話もありますね」
「そうそう、真夜中になるとね」
「妖怪さん達が団体でパレードをしているとか」
「見た人結構いるんだ」
「そうなのですね」
「本当かわからないけれど」
聞いた話だ、ただ中等部の時に実際に真夜中まで仕事をしたことがある先生が見たと言っていた。それも真剣に。
「一つ目小僧とか子泣き爺とかね」
「そうした妖怪さん達がですね」
「団体でパレードしたり遊んでいたり」
「そうしているのですね」
「夜は墓場で、っていうけれどね」
僕はここでこの歌を思い出した。
「ここでもなんだ」
「運動会をしていますか」
「そうしたこともしているみたいだよ」
そして酒盛りをしたりお花見をしたりしているらしい。
「どうやらね」
「そうなのですね」
「この学園は人間や生きものだけの場所じゃないんだ」
実際にこう言われている。
「沢山の妖怪さん達もいるみたいだよ」
「面白い場所なんですね」
「そうした意味でもね。何歳かわからない博士もいるし」
大学の方の名物教授だ、第一次大戦の頃からもうこの大学の教授だったとかいうとんでもない噂まである人だ。一五〇歳というのは本当だろうか。
「あの人もね」
「悪魔博士ですね」
「通称そうだね」
「悪魔ですか」
「仙人とも言われてるよ」
こちらの方がしっくりいくかも知れない、悪魔よりも。
「何歳か本当にわからないから」
「若しかするとその人も」
「妖怪かもっていうんだ」
「そう思いましたが」
「そうかも知れないね」
僕はこのことも否定出来なかった、それもどうしても。
「実際そうも言われてるし」
「妖怪だと」
「妖怪化してるってね」
人間だったかも知れないけれどだ、今ではだ。
「そう言われてもいるよ」
「やはりそうですか」
「とにかく古今東西のあらゆることを知ってるし」
文系も理系もだ、イギリスからこの大学に来られたドリトル先生もかなりの学識の人だけれどこの博士はもっと凄い。
「錬金術とか魔術とかにも詳しいらしいし」
「錬金術にもですか」
「実際に奥義を極めたとかね」
錬金術のそれをだ。
「そうも言われているよ」
「それは本当ですか?」
「あくまで噂だよ」
小夜子さんにこう断りを入れた。
「それはね、けれどね」
「そうした噂もですか」
「ある人だからね」
「妖怪になられていても」
「不思議じゃないね」
僕も実際にこう思っている、そうじゃなかったら仙人だと思っている。
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