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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十五話 秋田の思い出その十一

「激務らしいよ」
「仕事の鬼?」
「言われてみればそうかも」
 少なくとも勤勉じゃないと務まらない、たった二人で百人以上いる候補生学校の学生さん達全員の生活をチェックし指導するからには。
「忙しいよね」
「そうよね」
「そんなの一年やるんだからね」
「仕事の鬼じゃないとね」
「出来ないね」
「そうした意味での赤鬼青鬼?」
「いや、指導が厳しいだからけれどね」
 鬼の様に厳しいからだ。
「鬼なんだけれどね」
「そこは違うのね」
「うん、鬼は鬼でもね」
 また違う鬼なのだ。
「やっぱりそうした鬼になるよ」
「赤鬼青鬼ね」
「それで学生隊幹事って人はね」
「鬼の長?」
「閻魔大王らしいよ」
 ジョークでそう言う人もいるらしい。
「何でもね」
「閻魔大王ね」
「そうらしいよ」
「何かあまり会いたくないわね」
「それでも兵学校よりずっと優しいらしいよ」
 あの伝説の海軍兵学校だ、何かあれば先輩達が厳しくそれも鉄拳で指導してきたあの学校と比べればだ。
「あそこよりはね」
「ああ、兵学校はね」
「あそこで聞いたよね」 
 その幹部候補生学校でだ。
「指導は今よりずっとだったって」
「というか指導も」
「うん、訓練もね」
「物凄かったらしいわね」
「あんなものじゃなかったとか」
「言ってたわね」
「だからね」
 本当にだ、兵学校と比べるとだ。
「幹事付の人達もずっと穏やからしいよ」
「それも二人だけよね」
「兵学校じゃ先輩全員だからね」
 その時によって教育課程が三年だったり四年だったらしい。もう最上級生になると神様みたいな存在だったという。
「その人達全員の指導だから」
「二人だけじゃなくて」
「凄かったっていうから」
「全員が鬼ね」
「兵学校はね」
「それは凄いわね」
「そうだよね、まあ鬼はね」
 僕はここで鬼の話に戻した。
「そんなのでね」
「幹部候補生学校にいて」
「うちの学園にも話があるよ」
「ナマハゲはいなくても」
「そう、ただ夜行さんのお話があるよ」
「夜行さん?」 
 夜行さんと聞いてだ、詩織さんは目を瞬かせた。そのうえで僕に聞き返してきた。
「鬼なの?」
「うん、鬼ていうかナマハゲみたいな」
「大晦日に出る妖怪なの」
「何か決まった時期に出るんだ」
「そうした妖怪なの」
「全身毛だらけで一つ目で」
 僕は詩織さんにその夜行さんの話をした。
「首なし馬に乗ってるんだ」
「そうなのね」
「見たら草履を頭に置いて平伏しないといけないらしいよ」
「そこはナマハゲと全然違うわね」
「さもないと首なし馬に蹴り殺されるっていうんだ」
「草履を頭に置いて」
「道の横で平伏しないといけないみたいだよ」
 そう聞いている、何でも鹿児島県の方の妖怪らしい。
「この妖怪はいるんだ」
「この学園にも」
「うん、ひょっとしたら僕が知らないだけでナマハゲもいるかも知れないけれどね」
 とにかくそうした話が多い学園だ、だからひょっとしたらだ。 
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