八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十五話 秋田の思い出その十
「もう一人の娘はお姉さんタイプなんだ」
「お母さんとお姉さんね」
「どっちも料理上手でお酒好き」
「お酒好きなの」
「多分詩織さん以上にね」
「そんな娘達なのね」
「それでやたら妖怪に詳しいんだ」
それで二人共妖怪博士とかも呼ばれている、ただ二人共こう呼ばれると二十面相の変装みたいで嫌だと言う。
「どちらもね」
「そうなの」
「うん、それとね」
僕はさらに話した。
「物凄く奇麗好きなんだよね」
「お家が食べもの扱ってるから」
「二人共ね、ゴキブリとか鼠は」
「大嫌いなの」
「そう言ってるわ」
「そんな娘達なの」
「僕もお話したことあるけれどいい娘達でね」
それでだ。
「面白いよ」
「そんな娘達なの」
「人付き合いもいいから」
「一緒にいてなのね」
「悪いことはない筈だよ」
このことは言えた、ただ商業科での彼氏争奪争いには二人共敗れてしまっていて今は工業科の面々と合コンを繰り返しているらしい。しかも二人共それぞれ好きな男の子のタイプが違っているとのことだ。
「部活でも」
「じゃあかるた部に入ろうかしら」
「そうしたら妖怪のお話も聞けるしね」
「そうなのね」
「まあうちの学園妖怪話多いけれど」
とにかく多い、七不思議どころか百はあろうかという位だ」
「あの二人は何でも知ってるから」
「別に妖怪については」
「興味ない?」
「嫌いじゃないけれど」
それでもという返事だった。
「あまりね」
「そうなんだね」
「ええ、特に聞きたいとは思わないわ」
こう僕に答えた。
「秋田にもいたけれどね、妖怪は」
「ああ、ナマハゲとか」
「そうそう、あるから」
「ここにはナマハゲは出ないよ」
その話はない、学園の中に。
「鬼の話はあるけれどね」
「鬼は出るの」
「どっかの校舎で赤鬼青鬼を見たって人はいるよ」
こちらの話はある。
「本当にね」
「そうした鬼はいるのね」
「話はあるよ」
「そうなのね」
「まあ赤鬼青鬼って言ってもね」
ここで僕は少し笑ってだ、詩織さんにこうも話した。
「江田島の赤鬼青鬼とは違うから」
「幹部候補生学校の」
「海上自衛隊のね」
「あの人達は人間だからね」
あの学校には幹事付という役職の学生さん達の生活指導をする人達がいる、それが物凄く厳しい指導で鬼と呼ばれているのだ。
「それに役職としての仕事で厳しいだけだから」
「その役職じゃなかったら」
「普通の人だよ」
実際にそうらしい、幹事付じゃなくなったら普通の人達とのことだ。
「むしろ大変な仕事らしいよ」
「幹事付は」
「何かとね」
朝早くから真夜中まで殆ど毎日仕事らしい、話だけ聞くとブラック企業みたいだ。
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