夢幻水滸伝
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第二十三話 神星の者達その七
「助けてもらっている」
「そうですか」
「いつもな、ではだ」
「はい、この方々にですね」
中里達三人を見てだ、鈴子は応えた。
「自己紹介をですね」
「してくれるか、この三人はすぐにだ」
「こちらにですね」
「入る、頼りになる仲間になる」
「棟梁の下で」
「そうだ、まさにな」
「わし等の下に来るだがや」
坂口も鈴子に言った、きし麺を食べ終わり一緒に持って来ていた冷えた麦茶を美味そうに飲んだ。
「今から顔合わせしておくだがや」
「それでは」
「どや、ええ娘だぎゃ」
坂口は鈴子が綾乃達に一礼して自己紹介してから話した。
「小回りも利くだがや」
「小さいですから」
本人は笑って言う、見れば背は一四八程で確かに小柄だ。
「ちょこまかと」
「ちなみに悪戯も好きだ」
室生は鈴子のこのことも話した。
「そこは困る」
「ついつい悪戯が好きで」
「それはやな」
「してしまいます」
「それは確かに困りものやな」
それはとだ、頷いた綾乃だった。
「うちもされたら嫌や」
「悪気のない悪戯しかしないがな」
室生はこうも話した。
「しかしだ」
「悪戯はやな」
「好きだ」
そうだというのだ。
「そこだけが困る」
「そのこともわかったわ」
「では皆食べ終わったしな」
「これでやな」
「食堂を出たら解散だな」
そうなるとだ、室生から言った。
「お互い話したいことは終わったしな」
「ほなまたな」
「楽しく話をしよう」
「またきし麺食うだがや」
坂口も言ってきた、そうした話をしてだった。
「それか味噌煮込みうどんだがや」
「海老とか味噌カツもやな」
「それもあるだがや」
当然といった口調での返事だった。
「食は名古屋にありだがや」
「ほんまに名古屋愛凄いな」
「関西におってもそれは変わらんだがや」
「まあ確かに美味いな」
「認めるだがや」
「美味いもんは美味いって言わんとどうするねん」
これが中里の返事だった。
「そうちゃうか?」
「ええこと言うな」
「それ意外どう言うねん」
「本音隠してまずいって言うケースもあるぎゃ」
「そんなこと言っても舌は嘘吐けへんわ」
そちらはというのだ。
「そやからや」
「言わんか」
「口は嘘を言える」
それも可能なのがこの器官だ、真実を隠して偽りを語る。それが出来るのも口という場所なのだ。
「けれど目や耳、鼻、そして舌はな」
「嘘は吐けんか」
「自分に確かなことを教えてくれる場所や」
「それでか」
「そうや、自分自身に嘘を言うてもしゃあないやろ」
「だから正直に言っただがや」
「美味いってな」
舌が自分に教えてくれたこのことをというのだ。
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