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夢幻水滸伝

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第二十三話 神星の者達その六

「そのこと楽しみにしておくだがや」
「勝つのは我々だからな」
「言うのう、その意気見事や」
 棟梁格の一人としてだ、芥川はその坂口と室生に不敵な笑みで応えた。
「しかしな」
「負けるつもりはないな」
「そうだがや、それを言っておくだがや」
「ならばどちらが勝つかだ」
「勝負やな」
「あらためてな」
「前みたいにはいかないだがや」
 坂口は残り少なくなっているきし麺をすすりつつ返した。
「それを言っておくだがや」
「ほな今度で雌雄決するな」
「どっちが棟梁になるか決めるだがや」
 お互いに不敵な笑みで言い合う、そうしているとだ。
 室生の後ろにだ、淡い赤のブレザーとミニスカート、紅のネクタイと白のブラウスの制服を着た淡い茶色のふわりとした髪の毛をした小さな垂れ目と子犬のそれを思わせる唇の少女が通った、するとだ。
 その少女がだ、室生に言ってきた。
「これは棟梁、いえ先輩」
「君か」
「はい、こんにちわ。坂口さんもご一緒ですね」
「そうだがや」
 その通りだとだ、坂口も答えた。
「鈴子ちゃんもここで飯食うてただがや」
「そうでした、ただ」
「ただ?」
「クラスメイトの娘達と一緒でしたが」
 それでもとだ、少女は二人に話した。
「皆華道部でして」
「だからか」
「はい、お昼に部のミーティングがあるとのことで」
「たべて先に行ったか」
「それで私だけ残っていてです」
 友人達が先に行ってから一人で食べていたというのだ。
「そうしていました」
「そうだっただがや」
「そうでした、ハンバーグ定食を」
 それを食べていたというのだ。
「そうしていました」
「成程、わかった」
 ここまで聞いてだ、室生も頷いた。
「そのこともな、ではだ」
「こちらの方々は、それにあちらには」
 少女は中里達だけでなく離れた場所でカリーを食べているエカチェリーナとタゴールも観てだ、警戒する顔で言った。
「ロシアの女帝、インドの雷帝が」
「あの二人は気にするな」
 室生は少女に真顔で返した。
「まだ戦うことはない」
「そう、ですね」
「戦う時に注意しろ」
「わかりました」
「その娘も星なんやな」
 綾乃は室生達三人のやり取りからこのことを察して聞いた。
「そやねんな」
「はい、壺井鈴子です」
 少女は綾乃の言葉に自ら応え笑って応えた。
「一年A組、部活は茶道部でして」
「あっちの世界では星やな」
「種族はコボルトで職業は山伏です」
「女の子でも山伏やな」
「あちらの世界では女の子でもなれますので」
 その山伏にというのです。
「そうです」
「そやねんな」
「はい、北陸で室生さんによくしてもらっています」
「頼りになる娘だ」
 その室生も言ってきた。
「いつも助けてもらっている」
「いえ、私こそ先輩にいつも」
「何を言っている、君の助言と力そして神具の般若心経にはだ」
 その全てにというのだ。 
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