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『塗り潰した7日間』

作者:零那
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『選択』



誠が来た。
なんとなく気まずい...。
何故...?

『零、おまえの悪い癖やな...』

誠が悲しそうな顔をする。

『...なにが?』

零は何が悪い癖なんか解らんかった。

『...零、あの人は父さんじゃ無い。解ってるよな?』

『...でも...でも、良い人やし、絶対良い父親になれる人やん』

『零!おまえの父親代わりは組長や!あの人ちゃう!』

『解ってるよ!』

妙にムカつく。あの人を否定されたみたいで...。あれっ...?でもムカつくんはおかしい?

『バレて、誠が殺されんで良かった...』

最初に伝えたかった本心やのに、取り繕うかのようなタイミングで言うハメになった。

『せやな...あれは零の割に頭キレたやんって褒めたかったわ!』

誠が無理して笑ってくれたように見えた...。

『...戻ってきて誠がおったら怪しまれるんちゃう?』

『...せやな。でも、明日どうするかマダ決まっ...』

【ドン!】

上から物音がした...。
こんなこと此処に来て初めてのこと...。

『見てくるから動くな!万が一に備えて隠し持っとけ!』

銃を渡された。

え...組同士の争いとかかなぁ...大丈夫かな...引っ越しの準備してるのにタイミング悪過ぎ。引っ越し先は何処やろ...

取り留めの無い事をボーっと考えてた。このままあの人と一緒に住むのも有りかも。記憶は無くしたフリをしたまんま...。
それなりに幸せになりそうな気がする。良い人そうやったし。零は向き合いたくない現実を棄てれる。やり直せる...。

馬鹿だと笑われても良い。偽りの日々でも良い。だってなんか幸せそうなんやもん。
さっきだって温かい気持ちだった。

あの人を騙してるのに、罪悪感より、幸せを感じてた気がする。

あの人も、父さんを演じてくれてた。たぶん本当に娘が居るんだろうなって思った。
零も娘を演じた。でも、お互いにマイナスは無いって思った。

こんな関係も有りなんかなって本気で想ってしまうほど、温かい気持ちになれた...。

傍目には気色悪い馬鹿にしか思えんかもしれんけど...

あの人が準備を終えたら一緒に行く。人生やり直す。


 
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