夢幻水滸伝

「勝てる様になる」
「そうか、あの連中にもか」
「勝てるわ」
「そやねんな、そやったらな」
「答えは出たな」
「太平洋の統一や」
　それを果たすのが第一だというのだ。
「ええな」
「わかった、まずは日本統一やな」
「それをやるで」
「この連中を倒すか」
　不敵な笑みを浮かべてそうして坂口と室生を見て言った。
「まずは」
「それはこっちの台詞だがや」
「受けて立つ」
　二人は中里に即座に返した。
「我々の新しい拠点は都になる」
「御所に堂々と入ったるだがや」
「降ってやな、ほなあっちの世界ではな」
「次で決着をつける」
「そうしてやるだがや」
「お互い全力でやるで、まあこっちはな」
　ここでこうも言った中里だった。
「自分等だけを相手にしてる訳ちゃうけどな」
「さて、九州の連中もやな」
　芥川が考える顔になって言った。
「どう出るかや」
「何かややこしい状況か」
「ちょっとな、政もやってそしてな」
「そのうえでやな」
「戦もして統一していくで」
「わかったわ」
「九州の面々には気をつけることだ」
　室生は彼等の間で話す三人に忠告する様に言った。
「武闘派が揃っている」
「土地柄そうなんやな」
「そうだ、特にあそこの棟梁は強い」
　このこともだ、室生は三人に話した。
「用心することだ」
「そうか、薩摩隼人みたいなのがおるか」
「島津四兄弟がいると思え」
　戦国時代に九州を席巻した彼等の様な者達がというのだ。
「しかもそれで政もそれなりに出来る」
「そうした連中か」
「荒々しく猛々しい」
「そんな強さか」
「戦う時は注意することだ」
「わかった、ただな」
「何だ」
「敵やのに親身に話してくれるな」
　あちらの世界ではそうであるのにというのだ。
「また何でや」
「そうだな、あちらの世界では我々は今はその彼等と手を結ぼうとしている」
「それでこっちを挟み撃ちにするか」
「そのつもりだ、しかしだ」
「僕等を倒した後やな」
　芥川がここで言ってきた。
「九州の連中があんまりにも強おなってたら困る」
「我々も統一を目指している」
「僕等を降したら次は連中か」
「その時に彼等が強いと困る」
　その時は敵であるからだ。
「だからだ」
「こっちには出来る限り九州を弱めて欲しいか」
「その通りだ」
「はっきり言うたな」
「事実だと思うが」
「それはそやな、それで西日本を手中に収めてか」
「日本を統一する」
　こう芥川に言い切った。
「関東を凌ぎつつな」
「あちらは今大変だがや」
　坂口が難しい顔で彼等とのことを話した。
「やっぱり強いだがや」
「全くだ、しかしだ」
「関西は倒すだがや」
　その関西の棟梁格達に言ったのだった、それも二人で。