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夢幻水滸伝

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第二十三話 神星の者達その四

「一騎当千どころか一騎当万、しかも采配もええらしい」
「学校やったら大人しいのにな」
「あっちの世界でも普段はやろ」
「まあ特にな」
 中里は山陰で彼と共にいた時のことを思い出して芥川に話した。
「暴れることもなくな」
「静かな方やったな」
「今思うとそや」
「それで戦になったらや」
 即ち戦場ならばというのだ。
「大暴れやけどな」
「それがあいつの望むところでな」
「ロシアに行った」
「そういうことやな」
「人材は一人でもよおさん欲しいわ」
 綾乃は棟梁としてその考えも述べた。
「正直な、けどな」
「あいつについてはな」
「もうあかんな」
「そもそも日本のどの勢力とも会わんからロシアに行ったんや」
 芥川はエカチェリーナをまたちらりと見つつ綾乃に話した。
「そやからな」
「もう言うてもな」
「あかんわ、それこそお金積んでもや」
「来んか」
「あいつはお金とか宝でも動かん」
 それに惹かれる人間ではないというのだ。
「そうした欲は希薄や」
「暴れたいだけか」
「戦の場でな」
「そうした人やからか」
「ロシアかインドしかなかった、ただな」
 ここでだ、芥川はその目を鋭くさせてだった。そのうえでその場にいた面々全員にこう言った。
「あの二人が組むとな」
「一人一人でもとんでもないだがや」
 坂口が応えた、その二人を見つつ。
「力が強い、神具もえげつない、そしてな」
「性格もだな」
 室生が応えた。
「恐ろしい」
「三拍子揃ってるだがや」
「そうした連中だからだな」
「手を組まれると厄介だがや」
「そうだな、恐ろしい勢力になるな」
「ロシアとインドか、確かあっちの世界でも」
 中里も言う、関西の面々は二人には背を向けているので背中越しに見てそれから言ったのだ。
「広いし資源は多いしやな」
「そや」
 その通りだとだ、芥川が答えた。
「大国や、統一出来たら」
「どっちもこっちの世界みたいにか」
「そこは一緒や、そしてや」
「そのロシアとインドが手を組むと」
「国家としてもとんでもない」
 同盟になるというのだ。
「まさにな」
「そうした相手になるんやな」
「あっちの世界を征服出来る位にな」
「それはまずいな」
「その二国に対する為にな」
「こっちはやな」
「まず日本を統一する」
 第一段階として、というのだ。
「そしてな」
「その次はやな」
「東南アジアとオセアニア、中国、アメリカ、そして中南米ってな」
「その四つの勢力がか」
「日本も含めたお互いの勢力をな」
「一つにしようとしてるって言うてたな」
 中里はこの話を思い出して芥川に応えた。
「そやからか」
「そうや、四つの勢力を全部や」
「軍門に降してやな」
「太平洋の勢力にする、太平洋を統一したら」
「ロシアとインドが手を組んでもか」
「国力でも星の数でも圧倒してる」
 だからだとだ、芥川はきし麺をすすりつつさらに話した。 
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