夢幻水滸伝
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第二十三話 神星の者達その三
「面白い相手がいる」
「インド、雷帝か」
「もう一人いる」
「そうか、ほな見るな」
芥川は室生の言葉に頷きちらりと後ろを見た、すると。
そこにはだ、褐色の肌に立った黒髪の男がいた、緑のスリーピースのブレザーにブレザーと同じ色のネクタイと白ブラウスという制服だ。
目は鋭くしかも凄まじいまでに強い光を放っている、そうしつつ共にエカチェリーナ=
イヴァノヴァ=トリストアと共に食事を摂っている。二人共カリーを淡々とした調子で食べている。
その二人を見てからだ、芥川は室生に言った。
「濃い組み合わせやな」
「そう思ったか」
「ああ、最近仲ええって聞いてたけどな」
「あの通りだ」
「こっちの世界でもか」
「どうも会っているな」
「しかも同じもん食べてるな」
カリーをだ、エカチェリーナも指で食べている。
「女帝も」
「どう思う」
「あっちの世界での交流がこっちの世界でも出てな」
「人と人として親密になってきているな」
「そういうことやな」
「インドの雷帝インドラ=タゴール」
室生はその褐色の肌の男の名前を言った、その顔立ちは彫が深く鼻が高い。しかも背は高く逞しい身体つきだ。即ちコーカロイドのものだ。
「ロシアの氷帝と組むか」
「三極星のうちの二人やな」
芥川はもう一人の三極星である綾乃もここで見た。
「組んだら最強、いや最凶か」
「二人共恐ろしいまでに強い」
室生はその目を警戒するものにさせて言った。
「力もそづだが気質もな」
「敵にはめっちゃ冷酷非情らしいな」
その三極星の残る一人綾乃も言ってきた、きし麺にかけている唐辛子は五人の中で一番多い。
「生き埋めでも何でもするって」
「徹底して潰す」
「そうして敵を抹殺してか」
「勢力を拡大していっている」
「モンゴル帝国みたいやな」
敵に微塵も容赦しないことからの言葉だ。
「それって」
「私もそう思う、そもそもロシアは長い間モンゴルに支配されていた」
タタールの軛という、その圧政にかなり苦しめられていたのだ。
「そしてムガールはあちらの言葉でモンゴルという意味だ」
「ムガール帝国やな」
インドにかつてあった大帝国だ、イスラム教国でありタージ=マハールを築いたことでも知られている。
「つまりは」
「そうだ、どちらもモンゴルだ」
「実際にやな」
「あの国の影響が強い」
十三世紀にユーラシアを席巻したその国のだ。
「だから敵に一切容赦しないこともだ」
「当然なんやな」
「あの二人の性格もあるだろうがな」
エカチェリーナ、タゴールのだ。
「そうした敵への微塵もない無慈悲、苛烈なまでの攻撃そして優れた政治」
「そういうのでやな」
「ロシアもインドも勢力を拡大していてだ」
「何か星の子等もどんどんやな」
「従わせていっている」
「そうやねんな」
「何か濃い奴等が集まってるらしいな」
芥川は少し苦笑いになって言った。
「ロシアにもインドにも」
「その様だな」
「あの二人の下におるのが当然って位の」
「難波とかな」
中里も言った。
「あいつもロシアやろ、今」
「何でも戦場で大暴れしてるらしいわ」
「自分の望み通りやな」
「あの方天戟と赤兎馬でな」
即ち彼の神具でというのだ。
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