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夢幻水滸伝

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第二十三話 神星の者達その二

「そうしよか」
「そやな、五人できし麺食って」
「親睦深めよな」
「どうせ全員わしの軍門に降るだがや」
 坂口はきし麺を筆頭した名古屋愛だけでなく自信も出した。
「それじゃあ今から親睦を深めるだぎゃ」
「そこでそう言うか」
「未来のことを話したまでだがや」
「ほなその言葉逆にして即座に返したるわ」
 中里は自信を見せた坂口に不敵な笑みで返した。
「絶対にな」
「おみゃあさんも言うだがな」
「ああ、言うわ」
「その自信本気だぎゃな」
「僕はホラは言わんわ」
「その話きし麺食べながらじっくりするぎゃ」
「そうしよか」
 こう話してだ、そしてだった。
 一行は食堂に入りそこでそれぞれきし麺を頼んで食べはじめた、先程までは威勢のいい話をしていた中里と坂口は。
 向かい合ってきし麺を食べていた、中里はその幅の広い麺をすすってから唸る顔になって言った。
「ほんまにな」
「美味いな」
「ああ、美味いわ」 
 こう坂口に応えた。
「実際にな」
「これは本当のきし麺だがや」
「本当のか」
「名古屋のな」
 まさに本場のというのだ。
「きし麺だぎゃ」
「これがか」
「そうだがや。だから僕もよくここで食べてるだがや」
「そうなんやな」
「関西のきし麺も美味しいだぎゃ」
 それは彼も否定しなかった。
「しかし名古屋はまた別だがや」
「こうした味か」
「そうだがや」
「機械打ちでもか」
「それでもどうも違うだがや」
 均一化するそれもというのだ。
「名古屋人の舌に合う様にされているからだがや」
「それでか」
「大阪人には大阪人の舌がある」
 室生もきし麺を食べながら言う、見れば食べる勢いは結構早い。
「そして名古屋人には名古屋人の舌がある」
「そういうことか」
「そうだ、それぞれの好みがあるな」
「そう言われると」
 中里も心当たりがあった、それで室生にも応えた。
「そやな」
「個人でもそうだな」
「国によってもな」
「その通りだ、我々が脂気が多くて食べられない料理でもな」
 室生はその例を挙げた。
「他の国では違っていたりするな」
「それあるな」
「辛くても甘くても同じだ」
 そちらの味覚もというのだ。
「日本人には辛過ぎる料理もインドでは平気だったりする」
「カレー、いやカリーか」
「その料理でもな」
「あれもインドやったらな」
 カレーなら中里も好きだ、ここでは彼はカレーとカリーを微妙に混同させてそのうえで話している。
「日本のよりも辛いな」
「様々なスパイスを使っていてな」
「この食堂でもカリーあるけれどな」 
 無論カレーライスもある、カレー専門の食堂もある位だ。
「カレーとはまたちゃう」
「指で食べるしな」
「あれやったな」 
 芥川も言ってきた。
「あっちでは指でも味わうっていうな」
「指での感触もな」
「インドから来た奴に聞いたわ」
「私も聞いた、そういえば」
「そういえば?」
「後ろを見るといい」
 室生は自分の向かい側の席にいる芥川に彼から見て背中の方を見ろと告げた。室生から見ては正面だ。 
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