転生とらぶる
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ペルソナ3
1831話
模擬戦を終えた俺達は、まだ午後1時くらいだった事もあり月光館学園からそう遠くない場所……ポートアイランド駅の近くにある、焼肉屋に行く事になった。
「理事長、本当にいいんですか? 食べ放題の焼肉屋ならともかく、普通の焼肉屋だと、アクセルが食べると……」
「構わないよ。今日は僕達と君達の間で協力関係が結ばれた記念すべき日なんだ。これくらいの贅沢は構わないだろう。ぎゅうっとお互いの協力関係を確認しよう。牛肉だけに!」
「あー……そうですね」
幾月の口から出る駄洒落は、何と言うか止めようがないんだろうな。
「……すまん……」
桐条に視線を向けると、申し訳なさそうに頭を下げてくる。
うん、まぁ、こういう相手だと考えればしょうがないのか。
寧ろ幾月の仲間の桐条の方が肩身の狭い思いをしているらしい。
真田は……と視線を向ければ、そこでは荒垣と嬉しそうに話をしている真田の姿があった。
どうやら、幾月の駄洒落には気が付いていないらしい。
うん、まぁ、そっちの方が幸せなんだろうけどな。
桐条に色々と思うところのあるゆかりも、今のやり取りを見て桐条に哀れみの視線を向けていた。
「桐条も色々苦労してるんだな。……ああ、そうだ。今夜一緒にタルタロスに行ってみるか? 毎回一緒に行動するのは何だが、上層部……あくまでも現状の、だが。その上層部をちょっと体験させてやってもいいが」
「なっ! い、いいのか?」
俺の言葉に、よほど驚いたのだろう。桐条は驚愕の視線をこちらに向けてくる。
一瞬勝手にそんな真似をすればゆかりが嫌がるかもしれないと思うも、実際にはゆかりが文句を言う様子はない。
もっとも、微妙に嫌そうな表情は浮かべていたが。
それでも何も言わないのは、幾月という人物と一緒に行動しなければならない桐条を哀れに思ったのだろう。
「何!? タルタロス上層部だと! 本当か!?」
そして都合よく今の話だけは聞いていたのか、真田が興奮した様子でこちらに視線を向けてくる。
「ああ、お前達もタルタロスの上層部は経験しておいた方がいいだろ。ただ、シャドウはそれなりに強いから覚悟しておけよ」
そんな風に言っている間に、やがてポートアイランド駅の近くにある焼肉屋に到着する。
こんな場所にあるだけに、一応学生向け……なのか?
ただ、学生がそう頻繁に焼肉を……それも普通の店で食べるのは、値段的に難しいと思うけど。
学生の場合、コストパフォーマンス的に質より量といった感じだから、どちらかと言えば食べ放題とかの方に行くだろう。
……焼肉に限らず、食べ放題の店で元を取るのはかなり難しいらしいが。
もっとも、腹の中に入った代物は即座に完全に分解されて魔力として身体に吸収される俺の場合、食べ放題の店に行っても全く問題なく元を取る事は可能だ。
「すいません、予約していた幾月ですが」
「いらっしゃいませ。席にご案内させていただきます」
幾月の言葉に、20代程の女の店員がそう言って俺達を個室に案内する。
こうしてみる限り、店の中は結構広い。
駅前でこの広さの店を用意出来るというのは、それなりにこの店のオーナーが力を入れてるからだろう。
それだけ儲かると判断したのかもしれないが……まぁ、月光館学園からそう離れていないのを思えば、あの巨大な学校の教師とかPTAの話し合いとか、そういうので十分に客を集める事が出来るんだろうな。
ともあれ、席に案内されると早速メニューを見ながら注文をする。
飲み物を適当に選び、幾月の奢りということで特上牛タン……2枚で1280円を頼み、ハラミやロース、カルビ、ランプ、野菜、シーフードといったものを注文していく。
「ああ、俺はこの鶏ササミセットを頼む」
「こんな時くらい、もっといいのを食べてもいいんじゃないか、アキ?」
「そうは言ってもな。アルマーとの戦いで俺は自分の未熟さを知った。そうである以上、少しでもそれを縮める努力をしなければならない」
「あー……まぁ、いい。分かった。けど、こんな場所でプロテインを出したりはするなよ。海牛とかのような場所じゃねえんだからな」
「う……駄目か?」
「当然だ。もしそんな真似をしてみろ。……分かってるな」
「わ、分かった。分かったよ」
そんなやり取りを見ながら、それぞれが注文を重ねていく。
意外だったのは、荒垣が内臓系を頼んだ事だ。
シマチョウ、ミノ、ハチノス等々。
いや、部位的に言えばハラミも内臓系なんだけどな。
「随分と内臓を頼むんだな」
「ああ。以前俺の知り合いがこの店でモツ系を食った時、美味かったって言ってたからな。モツ系が美味い店ってのは、いい店の証拠なんだよ」
「へぇ……」
その言葉にも驚いたが、何より驚いたのは荒垣の知り合いにこの店に来る事が出来る人物がいたという事か。
幾月の奢りで今日はこの店にやって来たが、学生が来るような場所ではなく、ここはいわゆる高級焼肉店と呼ぶべき場所だ。
つまり、普通の学生がそう簡単に来られるべき場所ではない。
……ああ、でも荒垣の友人じゃなくて知り合いなら、ポートアイランド駅の裏側を溜まり場にしていて、カツアゲとかもしていてもおかしくはない。
実際、俺はそういう奴等に絡まれた事があったし。
「うーん……」
注文が終わり、肉とかがこっちに届くまでお互いに話を進めていく。
勿論タルタロスについての話もするが、普通の世間話とかも行われる。
「うーん……」
そんな中、俺の隣に座ったゆかりがどこか微妙そうな表情で真田を見ているのに気が付く。
「どうした?」
「え? ううん。ちょっとね。真田先輩は月光館学園でも有名人だったんだけど、何だか色々と私が想像していたよりも違ったなってね」
「あー……まぁ、だろうな」
一見すればクール系、ちょっと話してみれば熱血系。だが、こうして一緒に食事をしようとすれば、焼肉にプロテインを付け合わせようと考えて荒垣に止められているような、少し間の抜けた性格。
学校ではファンクラブがあるらしいけど、そういう奴等は真田の本当の性格とかは知らないんだろうな。
もしそれを知っていれば、恐らくもっとこう……今のような形にはなっていなかったと思う。
「まぁ、アキの奴は色々と人に誤解されやすい奴だからな」
俺とゆかりの会話を聞いていた荒垣が、どこか取りなすように告げる。
ちなみにその真田は、桐条と共に幾月の駄洒落に付き合わされていた。
……聞いた話だと、幾月もあの寮に住んでいるらしい。
だとすれば、もし俺達があの寮に部屋を借りるなんて事になった場合、俺達も幾月の駄洒落に付き合わなきゃいけなくなるのか?
正直、それはちょっとごめんだな。
そんな面倒に関わらなきゃいけないのなら、やっぱり俺はあのアパートで十分だ。
幸いにも俺は混沌精霊なので、寒さや暑さといったものは無視しようとすれば無視出来るし、部屋が小さくて置ける荷物が少ないのも、空間倉庫を使えばどうとでもなる。
寝る布団はそれなりに上質な物を買ったので、特に問題はないし、どこかに行くにしても影のゲートを使えば徒歩0分といったところだ。
……もっとも、正確には目的地から少し離れた場所に転移して、そこから歩いて移動するのを考えれば、やっぱり徒歩何分かは必要になるのか。
ともあれ、幾月の駄洒落に付き合わなければならないというデメリット以上のメリットがあるかと言われれば……まぁ、微妙だろう。
桐条達との情報交換が素早く出来るというのは、メリットだが……今なら携帯とかも普通にあるしな。
それを使えば、直接話し合わなくても十分に情報交換は可能だ。
うん、やっぱりあの寮に部屋を貰わなくて正解だったな。
少なくても、今はその辺りの事を考えなくてもいいのはラッキーだ。
そんな風に話していると、やがて頼んでいた肉や野菜、飲み物といったものが運ばれてくる。
その中でも特に目を引くのは、やっぱり特上牛タンだろう。
厚さが1cm……いや、2cmはあるか? そんな厚さで、格子状に切れ目が入れられている。
まぁ、普通に考えてこれだけの厚さの牛タンをそのまま焼いて食べるとなると、色々と大変だろうしな。
「うわ……凄い牛タン……」
当然のように、ゆかりを始めとして他の面々もそんな牛タンを見て感嘆の声を上げていた。
実際、これだけの牛タンはそうそう食べられる機会はない。
いや、俺の場合は普通にここに食べに来たりも出来るが……それでもやっぱり、この牛タンを見て驚くなという方が無理だろう。
そうして届いた肉や野菜を炭火の上に乗せていき、幾月が口を開く。
「今日こうして皆で焼肉を食べることが出来るのは、アルマー君達との間に協力関係を結ぶ事が出来たからだ。このまま影時間の問題をなくするまで、それぞれ頑張ろう。……乾杯!」
『乾杯!』
空気を読んだのか、幾月の口から駄洒落は出てこなかった。……いつも自制してくれればいいのにな。
ともあれ、冷たいウーロン茶をゆかりを含めて他の面々と軽くぶつけると、そのまま焼肉を食べ始める。
一応真田との模擬戦が行われる前に昼食は食べたのだが、俺にとって食べるというのは純粋に料理の味を楽しむ行為だ。
全く問題なく、焼肉は食べられる。
まず最初に箸を伸ばしたのは、牛タン。
ただし、厚切りの牛タンの方はまだ焼けていないので、薄い通常の牛タンの方だ。
片面を焼き、ひっくり返してからそこに長ネギのみじん切りを使ったタレを乗せる。
そうして焼き上がったところで、そのまま口に運ぶ。
……うん、美味い。
やっぱり牛タンはこの歯応えが最高だよな。
「それで、アルマ-。やはりタルタロス上層部のシャドウは手強いのか?」
牛タンを味わっていると、桐条がそう尋ねてくる。
ちなみに桐条の皿には焼いた椎茸やキャベツ、ピーマンといった野菜が多い。
まぁ、俺や真田と違って桐条は女だ。
それも恐らく普通に昼は食べている筈であり、そう考えれば野菜を中心に食べるというのも分からないではない。
「そうだな。結構珍しい姿のシャドウとかも多いな。ゾンビのようなのが二匹、串で上、真ん中、下といった感じで横から刺されて連結している……っぽいのとかも、いたし」
その言葉に、どんな想像をしたのか桐条は嫌そうな表情を浮かべる。
……まぁ、食事中にする話じゃなかったか。
もっとも、話を振ってきたのは桐条なのだが。
「そ、そうか……」
「ちょっと、アクセル。今は食事中なんだから、あまり食欲がなくなるような事は言わないでよね」
想像するしかなかった桐条とは違い、ゆかりはあのゾンビのシャドウを直接見ている。
それだけに、色々と思うところもあったのだろう。
もっとも、俺と一緒にゾンビのシャドウを見た荒垣は特に気にした様子もなく頼んだミノとかを食べていたが。
真田の方も、ゾンビのシャドウの話を聞いても特に気にしている様子はなく、ササミを焼いて食べていた。
そして……
「ほう、ゾンビのシャドウかい。それは興味深いね。具体的にはどのような行動をしたのか、分かるかな?」
何故か、幾月がゾンビのシャドウの話に強く引かれていた。
こうしてみると、男は平気で女は駄目といったところか。
「ん、コホン。それでアルマー。他にはどのようなシャドウが? 出来れば、あまり食欲を減衰させないような物を頼む」
「そう言われてもな。……臆病のマーヤとかは、そっちも分かってるんだろ?」
「うむ。私達で把握している限りでは、一番弱いシャドウという事になっている。勿論、私達が知らないだけでもっと弱いシャドウがいる可能性もあるが」
「臆病のマーヤ、ね」
嫌そうな表情を浮かべるのは、ゆかり。
まぁ、俺と会った時には臆病のマーヤに襲われていたしな。
もし俺が偶然通りかからなければ、恐らくシャドウにやられていただろう。
もしくは、運がよければ桐条達に助けられていたか?
影時間でも機械を動かせるんだから、影時間の中で外を出歩いている相手を見つけるのは簡単……とまではいかないかもしれないが、それでも不可能ではない筈だ。
そうなれば、桐条達も新たなペルソナ使いを仲間に加える事が出来ていただろうし。
もっとも、当時のゆかりは影時間に適性はあるものの、まだペルソナ使いとして覚醒はしていなかった。
あの死神とあった事で……そう考え、ふと桐条に尋ねる。
「なぁ、桐条。その階層に似合わないような、強力なシャドウが出てくるって話は知らないか? それこそ、死神を連想させるような」
「うん? 残念ながら知らないな。それに、元々私達はタルタロスにはそこまで挑んでいない。そのようなシャドウがいても、遭遇はしていないが……いるのか?」
「ああ」
桐条の言葉に頷き、俺は死神についての説明をするのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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