転生とらぶる
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ペルソナ3
1830話
こちらに踏み込んできた真田がまず最初に放ったのは、ジャブ。
ボクシングを含め、世界中のあらゆる格闘技の中で最も高速の攻撃と言われているパンチ。
……もっとも、それはあくまでも普通の人間が使う格闘技ではという意味であって、ネギま世界の魔力や気を伴った戦闘技術、スパロボOGs世界の修羅の幹部達、Fate世界のサーヴァント……等々。例外は幾らでもあるが。
ともあれ、このペルソナ世界ではそのような者達もいない以上、ジャブが最速のパンチであるのは間違いのない事実だろう。
ましてや、それを行うのは高校生の中でもトップクラスの実力を持つ真田だ。
普通であれば、そのジャブを回避するのも難しいだろう。……あくまでも普通であれば、だが。
混沌精霊の俺にとって、こちらに向かって放たれたジャブは止まって見える程度の速度だ。
身体を最小限に動かし、放たれる全てのジャブを回避し、回避し、回避する。
二十秒に満たない間に放たれたジャブの数は、五十発を楽に越えている。
だが、俺はそのジャブの全てを回避し、そのままカウンターを放つ。
素早く伸びた拳は、真田の顔面に当たる直前に勢いが収まり、軽くぶつかる。
もっとも、軽くではあってもカウンターとして放たれている以上、真田にはある程度の効果はあったのだろう。こちらに向かって放つ攻撃の勢いが明らかに落ちる。
そこで追撃を掛ければ、あっさりと勝負はついたのだろうが……何気に、俺はこの真田を気に入っている。
どこかムラタと似たような雰囲気を感じさせるその様子は、俺にとって馴染み深いものすらあった。
勿論ムラタ程に過激で血に飢えている訳でもなく、言うなれば、かなりマイルド風味なムラタといったところか。
そんな訳で、向こうが何も分からない状況で一発で倒すような真似はしたくなかった。
距離を取った俺に、真田が不思議そうな視線を向けてくる。
そんな真田が何かを言うよりも前に、俺は口を開く。
「いいか。これから見せるのは、人間ならここまで出来るようになるという見本だ。勿論すぐに真田がこれだけの能力を発揮出来るとは思っていない。だが、このまま鍛えれば間違いなく出来る」
そう告げ、瞬動を行い……次の瞬間、俺の姿は真田の真横にあった。
「なっ!?」
まるで瞬間移動でもしたかのような、そんな俺の移動に、真田だけではなく周囲にいた他の面々も同様に驚愕の声を漏らす。
まぁ、この世界には瞬動という技術はないしな。
だが、ペルソナ世界にも独自の魔法がある以上、魔力を使った瞬動というのは可能な筈だ。
気の類があるかどうかは分からないが。
……そして、真田の戦闘スタイルを見る限りだと、魔力より気の方が似合ってそうではあるが。
「これが瞬動。普通の人間であっても到達出来る場所にある技だ」
確か、古は魔力とか気を遣わなくても似たような事が出来ていたし、もし魔法が使えなくても真田が同じような真似が出来ないって事はない筈だ。
……まぁ、それがいつ出来るようになるのかってのは微妙だが。
ただ、ネギ辺りは確かそこまで時間が掛からなかった筈だから、恐らく真田もその気になれば何とかなる……と、思う。
「勿論今すぐこんな動きが出来るようになれとは言わない。ただ、タルタロスを攻略するのであれば、このくらいの動きは出来た方がいい。特に真田は、ボクシングを主体とした戦闘スタイルだから、一気に標的との間合いを詰めるという能力は、あって困るものじゃない筈だ」
「それは……」
俺の言いたい事を理解したのだろう。やがて真田は小さく頷くと拳を下ろす。
「俺の、負けだ。少なくても、今の俺ではアルマーにはどうやっても勝てないという事ははっきりとした」
実力の差を見せつけられた為か、真田はそう言って負けを認めた。
模擬戦の結果としては、そう悪くない終わり方だと思う。
真田も自分が目指すべき方向性を知る事が出来たし。
まぁ、結果として真田が本来成長する筈だったのとは違う方向に成長したりしたら……そう思わないでもないのだが。
ともあれ、こっちとしては真田の心をへし折るような真似はしなくてもよかったのだから、結果オーライって奴だろう。
「アルマー、今度また俺に稽古を付けてくれ!」
「あー……うん。まぁ、そうだな。時間の余裕が出来たら構わないぞ」
「そうか。礼は……ああ、いいプロテインがある。それでいいか?」
「いや、いらないから」
立ち直りが早いな。
勿論真田の心をへし折るようなつもりはなかったのだから、こうしてすぐに立ち直るのはこっちにとっても悪い事ではない。
だが、それにしても俺が予想していたよりは立ち直りが早い気がする。
それで困るって事はないんだけどな。
寧ろ、ムラタの時のように徹底的に心を折る必要がなかった分だけ、楽だったし。
「エクセレント! 素晴らしいな、アルマー」
真田の相手をしていると、ようやく我に返ったのか桐条が目を輝かせて俺の方に視線を向けていた。
まぁ、桐条は家の事もあってタルタロスの攻略やシャドウの退治、影時間を消滅させるのを積極的に頑張ってると荒垣から聞いている。
である以上、そんな桐条にとって人外とも呼べるだけの能力を示した俺は、かなりの有望株に思えるのだろう。
……幾月の方も、研究者らしい視線で俺を見ている。
あの下らない駄洒落を言って自分で面白がっていた人物とは思えないような、真剣な表情。
もっとも、俺と目が合うとすぐに最初に会った時のような、軽い様子に戻ったが。
こうして見ると、やっぱり何だか微妙に気にくわないんだよな。
別に幾月個人に何かがある訳ではない。だが……
「アルマー、俺は着替えてくるぞ」
「ん? ああ」
幾月の様子を見ていた俺に、真田がそう声を掛けてくる。
普段着の俺と違って、真田はボクシングスタイルだったからな。
3月で季節的にはそろそろ春という扱いになってもいい頃合いだが、それでもまだ今の状況で真田のような格好をしているのは寒いだろう。
ストーブの類もあるのだが、今日いるのは俺達だで、普通にしている分にはそこまで寒くないという事もあってストーブはつけられていない。
まぁ、ストーブがついていれば、ボクシング部が活動していると勘違いして、以前俺が月光館学園に来た時のように真田のファンが集まってくる可能性は十分にある。
そうなれば、色々と……それこそ、本当に色々と面倒な事になるのは間違いない。
そうならない為には、やはりここに俺達がいるというのを知られないようにする必要があった。
もっとも、今日は終業式で学校は午前中に終わる。
既に殆どの生徒は下校しており、ボクシング部を含めた部活も行われてはいない。
であれば、わざわざボクシング部の部室にやってくる者がいるとは思えないのだが。
「さて、そんな訳で真田との模擬戦は終わったけど……お気に召したようだな」
「ああ、素晴らしい動きだった。いや、私の目でもアルマーが移動するところは見えなかった。あれは本当に普通の人間でも出来るのか?」
「そうだな。俺が知ってる限りでは、15歳の女子中学生も似たような事をやってたよ」
「何と……」
もっとも、その女子中学生はこの世界を探してもどこにもいないのだか。
ゲートを稼働させる事が出来れば、話は別だろうけどな。
「それで、俺達との協力関係について話は纏まったという事でいいのか?」
「うむ。それには理事長からも、お父様からもしっかりと許可を貰っている。ただ……その、お父様が一度アルマーと会いたいと言っているのだが、可能だろうか?」
「は? お父様って……桐条グループのお偉いさん、トップだろ? 忙しいんじゃないのか?」
「ああ。お父様は非常に忙しい方なのは間違いない。だが、アルマーの事を話したら、是非とも会いたいと仰ったのだ」
桐条の視線が俺に向けられるが、その視線の中にはどこか嫉妬の色がある。
へぇ……自立した大人っぽい女子高生という認識だったのだが、どうやら桐条にはファザコンの気があるらしい。
意外と言えば意外だな。
もっとも、人の性癖にどうこう言うつもりはないのだが。
「そうだな、知っての通り俺は基本的に学校に行ってる訳でもないし、日中は暇をしている。タルタロスも最近は毎日行ってる訳じゃないしな」
ただ、桐条達と協力関係を結べたのであれば、これからはタルタロスで桐条達と遭遇しないように……といった事を心配しなくてもいいようになったので、コンスタントにタルタロスには向かえるだろう。
もっとも、ゆかりの体調を考えれば、やっぱり1日行ったら何日か休むといった風にする必要があるだろうが。
「ふむ。分かった。では……電話番号を教えて貰えるか? 私の方でお父様の都合がいい日を知らせて貰ったら、アルマーに知らせよう。どうだ?」
「まぁ、俺は別に構わないけど」
こうして、俺は桐条と電話番号を交換し……何故か幾月とも電話番号を交換する事になる。
いやまぁ、電話番号を交換している場所に幾月が割り込んできたんだよな。
そしてなし崩しに電話番号を交換する事になってしまったのだ。
……いいけどな、別に。電話番号を交換するくらい。
幾月は微妙に気にくわない相手だが、だからといってこの男の連絡先を知った程度でこっちにマイナスはない。
こうして、俺の携帯に登録されている電話番号が、一気に3人から5人に増える事になる。
そうして真田が着替えてくるのを待っている間、色々と話をするのだが……ふと、俺はBe blue Vの一件を思い出す。
桐条達と協力関係になった以上、Be blue Vの件……具体的には金の延べ棒を置いて、指輪とか腕輪を勝手に持ってきた件を知らせておくべきだろう。
「あー……桐条。Be blue Vって店、知ってるよな?」
「うん? ああ、勿論。うちから技術を得て特殊な能力を持つアクセサリーを……待て。アルマー、お前もしかして……」
途中で何かに気が付いたように俺の方を見る桐条。
そんな桐条を見ながら、俺は乾いた笑みを浮かべつつ口を開く。
「あー、実はだな。Be blue Vに忍び込ませて貰った。ただ、指輪とか腕輪を盗んできた訳じゃないぞ? 数百万円分の金の延べ棒を置いてきたんだ。店に損はさせていない」
「……やっぱりお前だったのか、全く。何だってそんな真似をした……というのは、別に聞かなくてもいいか」
「ああ、そうして貰えると助かる」
まさか、自分達が俺みたいな存在に襲われるとは、思っていなかったのだろう。
桐条にとって、俺からの言葉は色々と予想外だったに違いない。
もっとも、置いてきたのは金の延べ棒だ。少なくても店に被害を与えている訳ではない。
……まぁ、誰とも知らない相手に侵入されたのだから、その時点で被害を受けているのだろうが。
金銭的な被害ではなく、俺に侵入された事による精神的な被害が。
「向こうの店には連絡を入れておいてくれ。こっちも後で一応顔を出しにいって謝りに行くつもりではあるが」
「……そうしてくれ」
しみじみと呟く桐条の言葉に、俺は肩を竦めてから口を開く。
「色々と向こうの店には面白いアクセサリーがあったな。ただ、出来ればもっと効果の強い奴が欲しい」
「無茶を言うな。影時間やシャドウについては、まだ研究の途中だ。……タルタロスの攻略も、進んでいないしな」
そう告げてくる桐条。
その様子を見る限り、決して嘘や勿体ぶっている訳ではなく、本当らしい。
「そうだね。残念だけど僕達の方でも色々と研究は進んでいないんだ。本来なら、もっと君達の役に立つ物を作りたいんだけど……」
桐条の言葉を引き継ぐかのように、幾月が告げる。
何だろうな。桐条が言うのなら結構信用出来るのに、幾月が言うと途端に嘘臭くなるのは。
元々本能的に不愉快な相手だと判断しているからか? それとも、最初に口にしたあの駄洒落がどうしようもなかったからか? 個人的には、後者のような気がするな。
「……まぁ、話は分かった。なら、取りあえず協力関係を結んだ証として、これを分析してくれ」
そう言いながら、これまでタルタロスで見つけた宝石や武器といった物を次々に出していく。
色々と記録を書く為に必要なのだろうボクシング部の部室に置いてあった机の上には、大量のマジックアイテムが並べられていく。
「これは……」
「す、凄いね君達……これ、全部君達が集めたのかい?」
桐条と幾月がテーブルの上にあるアイテムを見て、そう呟く。
「ああ。14階まで攻略して入手した奴だ。一応聞くけど、そっちに分析を頼んだ物だが、調べ終わったら返してくれるんだよな?」
「ああ。勿論。それは私が約束しよう」
マジックアイテムの数々に目を奪われていた桐条だったが、俺の言葉にそう頷きを返すのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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