夢幻水滸伝
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第二十一話 地の星達その七
「立派な方なのですが」
「名古屋第一過ぎます」
「郷土愛やな」
「はい、ですから昨今のドラゴンズについては」
「かなりです」
不満を持っているというのだ。
「ですからお話はされない方がいいです」
「今のドラゴンズのことは」
「昨日巨人に勝ったけどな」
綾乃は坂口がいないので話した。
「二十対零でな」
「ですが五位です」
「巨人の最下位は別格としまして」
それも五位中日とは二十ゲーム離れた圧倒的最下位だ、チーム打率一割防御率六点ホームラン盗塁共に十二球団最低エラーは十一球団を合わせただけという最高の巨人に相応しい最下位だ。
「五位、Bクラスであるのが」
「嫌やねんな」
「ファンとして」
「東海は大体ドラゴンズですが」
滝沢はまた言った。
「ですが棟梁はです」
「熱狂的か」
「そうやねんな」
「はい」
その通りだというのだ。
「ですから」
「野球のことも熱中するからな」
「それはわかるわ」
「ほんまにな」
三人共だ、このことは理解出来た。
「僕等も阪神ファンやし」
「阪神の調子が悪いと嫌やし」
「阪神すぐに信じられん負けするし」
阪神の悪しき伝統と言うべきか。
「その気持ちわかるわ」
「昔の巨人みたいに勝って当たり前ってないし」
「そう思うのって傲慢やしな」
「その傲慢祟って今は万年最下位やけど」
「親会社衰退してお金もなくなって」
「悪事が全部ばれて有望な選手がドラフトも辞退していって」
まさに全世界の良識ある者達の願いが適ったのだ、弱い巨人何という甘美な響きの言葉であろうか。
「人気もガタ落ち」
「観客動員数年間五十万位になったし」
「ええ感じになってるな」
「ですが優勝して欲しいとのことで」
そう思ってとだ、雅は三人に話した。
「最近不機嫌です」
「ややこしい話やな」
そう聞いてだ、綾乃は実際に難しい顔で応えた。
「それはまた」
「私もそう思います」
「ほんまにな」
「棟梁のそうしたことはお気をつけ下さい」
「わかったわ、あとな」
「あと?何でしょうか」
「雅ちゃんスタイルええな」
綾乃は彼女のそのことにも言及した、言いながら自分より高い長身と制服の上からでもわかる見事な胸とくびれたウエスト、そしてすらりとした生脚を見て言うのだった。
「モデルさんみたいや」
「そうでしょうか」
「顔も奇麗やし、お尻からな」
「きゃっ!?」
雅は思わず声をあげた、綾乃が自分の腰に手を回してきて制服の上から尻を触って来たからだ。
それでだ、驚いて綾乃に言い返した。
「何をするんですか、一体」
「いや、あんまりスタイルええから」
「だから触ったんですか」
「私もそんなスタイルになりたいわ」
「そんなことを言われても」
「男の子にもてへん?」
「いえ、特に」
「そやねんな、けどそのスタイルやとモデルさんになれるで」
そこまで見事だというのだ。
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