しおりが登録されていません

 | 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十一話 地の星達その三

 芥川は首を傾げさせてだ、こう言った。
「自分等確か」
「はい、商業科です」
「そこぜよ」
「ここ普通科やろ」
「はい、実はです」
 中原が答えた。
「二人共夏目に話すことがありまして」
「それで来たぜよ」
「そうなんか、ちなみにこの二人同じクラスや」 
 芥川はここで中里に話した。
「商業科のA組や」
「二年のやな」
「そや」
「そうか、そのこと覚えたわ」
「そういうことでな」
「それで夏目君に何の用があるの?」
 綾乃が二人に問うた。
「それで」
「はい、借りている漫画を持ってきました」
「二人共ぜよ」
「それでかいな」
「そうです」
「それで商業科から来ているぜよ」
 二人で綾乃に話す、そしてだった。
 夏目が来た、見ればやや吊り目で細面の痩せた茶髪の男だ。背は一七七程で制服は濃い青のブレザーとズボンだ。二次大戦中のドイツ空軍将校のものだがズボンは乗馬ズボンではない。
 その彼がだ、三人に挨拶からこう言ってきた。
「どういったご用件でしょうか」
「ちょっとこっちの世界ではどうかってな」
「顔に見に来てくれたのですか」
「そうや、しかしな」
「喋り方ですね」
「こっちでは公家言葉やないねんな」
「はい、公達ではないので」
 だからだとだ、夏目は中里に答えた。
「だからです」
「それでやな」
「はい、あちらはあちらで」
「こっちはこっちやな」
「そうです」
 こう言うのだった。
「ですからそういうことで」
「口調はやな」
「承知して下さい」
「わかったわ」
 中里は微笑んで夏目の言葉に頷いた。
「そういうことでな」
「はい、それでは」
「それで何の漫画借りてたん?」 
 綾乃は中原と正岡にこのことを尋ねた。
「一体」
「はい、こち亀です」
「その漫画ぜよ」 
 二人は綾乃のその問いにすぐに答えた。
「残念ながら終わったけれどぜよ」
「今も読んでいまして」
「わし等最近夏目と一緒に読んでるぜよ」
「持っていない巻を交換し合っています」
「何しろ二百巻ありますので」
 夏目も綾乃に話す、見ればその顔の釣り目は確かに狐のもので顔の白さも白狐を思わせる。
「三人共それぞれ持っている巻とそうでない巻がありまして」
「お互いにやな」
「はい、貸し借りをして読んでいます」
「二百って凄いな」
 綾乃はその巻数に正直に驚いていた。
「想像を絶するわ、王家の谷以上やん」
「その漫画も長いですね」
 夏目は綾乃が出したその作品についても反応した。
「相当な歳月がかかっていますね」
「もうどれだけなるかな」
「ガラスの仮面も長いですが」
「パタリロもな」
「ガラスの仮面はまだ続いちょるんか」
 正岡はこのこと自体に驚いて言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧