レーヴァティン
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第二十話 新妻その七
「そこにな」
「そうなんだな」
「ああ、それでな」
智は久志にこうも言った。
「多分魔神はこの島に仕掛けようと思ったらな」
「それこそか」
「簡単に仕掛けられるだろうな」
それもというのだ。
「それこそな」
「そうか」
「ああ、それでも仕掛けて来ないっていうのはな」
「それには至らないか」
「ああ、そう思っているんだろうな」
こう言うのだった。
「魔神もな」
「つまり俺達は馬鹿にされてるんだな」
「ああ、そうなるな」
「だったら馬鹿にされた分な」
久志は笑ってだ、ワインを飲みつつ智に返した。
「返してやるか」
「そうするんだな」
「ああ、見返してやるか」
「倍返しにしてやるんだな、魔神に」
「百倍に返してやるか」
ただの倍ではなく、というのだ。
「それでぶっ倒してやるか」
「大きく出たな」
「いや、それだけ余裕こいてる奴はな」
魔神を見てそうして言うのだった。
「それ位にして返してやるか」
「今の僕達は魔神から見れば石かな」
源三は笑ってだ、彼もまた飲みつつ言うのだった。
「道に落ちている」
「だから気にも止められていないか」
「そうじゃないかな」
「かもな、けれどな」
「その石がだね」
「石も投げてぶつければ痛いさ、それにな」
久志はさらに言ってみせた、飲みつつ肴であるソーセージも食べている。茹でられたそれに胡椒をかけて食べているが実に美味い。
「死ぬだろ」
「石に当てられると」
「だからな」
それでというのだ。
「思いきり痛い目に遭わせてやるよ」
「倒すんだね」
「首を洗って待っていろってな」
「いい言葉だね」
「そうした相手を甘く見ている奴こそな」
それこそというのだ。
「負けるんだよ」
「世の常だね」
「こっちの世界でもだよ、どんな強い奴でもな」
「油断すると負ける」
「そうだよ」
久志は不敵な笑みになっていた、そのうえでの言葉だった。
「どんな奴でもな」
「じゃあその言葉実現させようね」
「俺達でな」
言ってまただった、久志はワインを飲んだ、そのうえで今度はその飲んでいるワインのことを話した。
「しかしこのワイン美味いな」
「はい、そうですね」
今度は順一が応えた。
「甘く発泡性で」
「赤でもな」
「シャンパンとはまた違うな」
「ランブルスコに近いですね」
順一は飲みつつ言った。
「このワインは」
「ランブルスコ?何処のワインだよ」
「イタリアのワインです、赤の他に白やロゼもありますが」
「こうした甘くてか」
「発泡性があります」
そうしたものだというのだ。
「この様に」
「へえ、そうしたワインもあるんだな」
「泡立つワインはシャンパンとは限らないです」
「ああした白ばかりじゃないか」
「はい、実は」
「それはじめて知ったぜ」
「私も最近まで知りませんでした」
かく言う順一もだった。
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