八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十二話 光の車輪その十四
「全部揃ってよ」
「はじめて楽しめるから」
「ベトナムも全部揃えば」
「ハウステンボスみたいな場所でも」
「やっていけるわ、オランダの街じゃなくてもいいけれど」
それでもというのだ。
「こうしたね」
「欧州の街を再現したテーマパークは」
「あって欲しいわね」
ベトナムにもとだ、ダオさんは切実な声で言った。そしてイルミネーションがさらに近付いてきてだった。そのうえで。
僕達は観覧車から降りた、三人共幸い安全に降りられた。それで井上さんは僕達に笑顔でこう言ってきた。
「三人共安全にだな」
「はい、降りられましたね」
「よかったわね」
「全くだ」
笑顔のままこうも言ってくれた。
「では今からだ」
「最後までね」
「イルミネーションを観ていこう」
「それじゃあね」
ダオさんも笑顔だった、その笑顔で答えた。
「行きましょう」
「さて、どう回るかだが」
「回りたいところでいいでしょ」
ダオさんは井上さんに即答した。
「今は」
「あえてか」
「そう、道なんて考えずにね」
そうしてというのだ。
「歩いて回りましょう」
「ふむ。私の流儀ではないが」
「じゃあ止める?」
「ダオについていこう」
生真面目に物事を決めてから動くのが井上さんだ、けれど今はというのだ。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「君はどうする」
井上さんはダオさんとの話が終わってから僕に聞いてきた。
「それで」
「そうですね、お酒は醒めましたけれど」
ほんの少しにしてもだ、このことは確かだ。けれどそれでもとだ、僕は井上さんに答えた。
「酔いはかなりですから」
「部屋に帰るか」
「そうします」
こう井上さんに答えた。
「今日は」
「わかった、ではな」
「はい、充分楽しみましたし」
肝心のイルミネーションもだ。
「そうさせてもらいます」
「ではな」
「また明日ね」
ダオさんも笑顔で挨拶をしてくれた。
「楽しもうね」
「そうしようね」
もうすぐ帰るけれどだ、その明日もとだ。
僕達は別れの挨拶をした、そのうえで僕は部屋に帰った。そしてすぐにシャワーを浴びて寝ようと思った。けれど。
部屋に帰ってすぐにだ、畑中さんがお風呂場から出て来た。そうして僕に言ってきた。
「お先に失礼していました」
「いえいえ、じゃあ次は僕が」
「入られますか」
「そうさせてもらいます」
こう答えてだ、僕はシャワーを浴びた。そうして後はゆっくりと寝た。
第百二十二話 完
2017・1・1
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