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夢幻水滸伝

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第二十話 現実の世界でその四

 そして何故悪かもだ、彼は話した。
「勝つの見て皆落ち込むからな」
「嫌な気持ちになってな」
「そや、やっぱり巨人は負けてこそや」
「世界にとってええねんな」
「あっちの世界でも巨人は悪い奴等やし」
 中里も言う。
「やっぱり巨人は負けなあかんな」
「その通りです、巨人は存在自体が悪です」
 太宰は中里にも話した。
「ですからこちらの世界では他の球団に徹底的に倒されてです」
「年間百二十敗はして欲しいな」
「千年位最下位になればいいのです」
「そうすればその負けを見て世の人々が奮い立ってやな」
「人類は未曽有の繁栄を手に入れるでしょう」
「千年王国か」
「そうです、巨人はある意味千年王国をもたらす存在です」
 負けることによってそれをもたらすのだ、邪悪は打ち破られるべきというその定理に従えばだ。
「テレビに出ている巨人贔屓のタレントもどき達の悲嘆の顔も見られます」
「それも楽しみやしな」
「あちらの世界でも打倒されるべき存在で」
「こっちの世界でもやな」
「成敗されるべきなのです」
「その通りやな、やっぱり巨人は倒さなあかん」
 どの世界でもというのだ。
「進撃させたらあかん」
「それは間違いないです」
「その通りやな」
「最近ロシアやインドにばっかり出てるがや」
 坂口はあちらの世界の巨人の話をした。
「日本や他の国にはさっぱり出んがや」
「僕まだ会ったことないで」 
 中里はあちらの世界でのことを振り返った、すると実際にそうだった。
「あっちの世界ではな」
「何時出て来るかわからんからな」
 芥川はその中里にこう話した。
「注意しとくんや」
「ほんまに何時出て来るかわからんか」
「災害みたいなもんや」
 例えるならというのだ。
「ほんまにな」
「何時出て来るかわからんで」
「出て来たら暴れ回って何でも壊す」
「家も町も何でもやな」
「田畑も荒らすし人も家畜も踏み潰す」
「最悪な連中やな」
「そやから出て来たらな」 
 まさにその時はというのだ。
「即刻や」
「巨人のところに出向いてやな」
「倒さなあかん」
 是非にというのだ。
「さもないとえらいことになる」
「そうやねんな」
「何かロシアでは何十万も一気に出て来たらしいな」
 その巨人達がというのだ。
「それで全員まず氷漬けにされてな」
「あの氷帝にか?」
「そや、それで後で洗脳されて溶かされてそっから自分達で穴掘らされてな」
「まさかと思うけどな」
「聞いたやろ、生き埋めの話」
「その話か」
「その何十万の巨人を生き埋めにしたんや」
 まさにだ、そうしたというのだ。
「全員な」
「凄い話やな」
「一人一人殺す手もあるけどな」
「何十万も一気に殺さなあかんからか」
「手っ取り早くそうしたんやろな」
「何十万も生き埋めか」
「ロシアの氷帝はそうしたこともするんや」
 その彼女はというのだ。
「とにかく強くて敵には冷酷な」
「そうした女か」
「ああ、インドの雷帝もそんな感じでな」
「巨人を徹底的に倒してるか」
「出て来たら即座に殺してる」
 まさにというのだ。 
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