夢幻水滸伝
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第二十話 現実の世界でその一
第二十話 現実の世界で
夢から覚めてだ、中里は朝食の後で歯を磨き顔を洗って登校してだ、部活の朝練の後でだ。
綾乃、そして芥川と話をしてだ、そのうえでだった。
あらためてだ、神妙な顔になって話した。
「一気に進んだな」
「天下統一に向けてやな」
「ああ、山陽と四国か」
「それぞれ大きな勢力手に入れたって思ってるな」
「そう思ってるわ、けどやな」
「僕等はまずは天下統一してや」
「それからやな」
「太平洋や」
所謂環太平洋地域をというのだ。
「統一してそして世界や」
「あっちの世界をやな」
「その世界と比べたらな」
「山陽と四国を手に入れたのはやな」
「ほんの些細なもんや」
それだけのものだというのだ。
「それでや」
「これで喜んでたらやな」
「小さいで、それとな」
「それと?」
「こっちの世界での星のモンにはあまり会ってないな」
芥川はここで笑みを浮かべて中里にこう言ってきた。
「僕や綾乃ちゃん以外には」
「知ってる顔もあるけどな」
「それでも全員やないやろ」
「そやからか」
「今日はちょっと会ってみるか?」
笑ってだ、中里に言ってきた。
「皆とな」
「そうしてか」
「そや、そうしてこっちの世界でも顔合わせしてみるか」
「そやな」
中里は芥川のその提案に納得する顔になった、そしてそのうえでこう言ったのだった。
「そうしてみよか」
「ほな今日はな」
「こっちの勢力の面々とやな」
「会って話をしよか」
「そういえば自分等とは学校でも話をしてるけどな」
あちらの世界に入るまでからの付き合いだ、もっと言えば。
「それでも他の面々とはな」
「会ってないやろ」
「こっちの世界でもおるしな」
「そや、もっと言えば全員八条学園高等部の生徒や」
「星のモンはやな」
「全員そうや」
芥川は中里にこのことも話した。
「このこと覚えておいたらええわ」
「わかったわ、しかしな」
「それでもやな」
「ああ、このこともわかったしな」
それでというのだ。
「早速他の面々と会いに行こうか」
「誘うつもりやったで、ほな三人でな」
「行こうか」
「まずは生徒会長や」
つまりあちらの世界の宰相である太宰だというのだ。
「あいつのクラスに行くで」
「うちも一緒に行くわ」
綾乃も同行すると申し出て二人も反対しなかった、こうして三人でまずは太宰のクラスであるF組、三人のクラスであるA組から行くと。
そこにだ、太宰がいたが一緒にだった、
坂口、東海の棟梁である彼もいた。白い詰襟の制服の左腕の部分に生徒会の腕章を付けている太宰はあちらの世界と大体同じ顔だが坂口は天狗の時と違って鼻が低い。二人共背丈はあちらの世界と同じだ。
中里は太宰よりもだ、坂口を見て言った。黒いところどころに金があるブレザーと濃紺のズボンにネクタイという制服の彼を見て。
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