レーヴァティン
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第十九話 紹介その八
「そこからはじまって」
「場数を踏んでね」
「わかっていくものなんだよ」
智はその経験、これまでのことを思い出しつつ話した。
「自分自身でな」
「どうも貴方はそうしたことも」
「ああ、結構以上にな」
智は順一にも応えた。
「経験あるぜ」
「だから今もですね」
「言えるんだよ、ただな」
「ただ?」
「こうしたことはな」
「病気ですか」
「そっちにも気をつけないとな」
そちらにもというのだ。
「ああしたことでの病気はやばいからな」
「この世界でもありますしね」
「梅毒とか淋病とかあるな」
「エイズはどうかわかりませんが」
「梅毒とかになったらな」
「この世界ではお薬がありますが」
それ自体がというのだ。
「ですがそれでもですね」
「放っておくと死ぬ病気だよ」
梅毒はだ、実際に彼等の本来の世界ではペニシリンが出来るまで多くの者が命を落としている。
「それも酷い状況になってな」
「そうですね」
「錬金術が役に立ったんだよ」
源三はここで自分の専門分野の話をした。
「薬学全体でね」
「ああ、それはな」
「錬金術は金を生み出すものだけれど」
「それだけじゃないからな、目的は」
「僕達の本来の世界じゃ錬金術からも科学が発達したし」
「こっちの世界でもか」
「うん、薬学を発達させてね」
源三はこの世界のことも話していく。
「そうしてね」
「医学にもだな」
「影響を与えてね」
「ペニシリンも出来たのか」
「そうだよ、それで梅毒だけじゃなくてね」
「結核とかもか」
智はここでもう一つ人類を脅かしてきた病気の名前も出した、人類はこの病気で多くの者を失ってきた。
「治る様になったんだな」
「そうだよ、ペニシリンが出来たからね」
「それはいいことだな」
「うん、やっぱりね」
「錬金術はだな」
「こうしたことにも役立つから」
薬学にも貢献しているからだというのだ。
「いいんだよ、他にも色々なものも見付けてるし」
「かなり科学と被るな」
「実際にあまり違いがないともです」
順一もここで話した。
「言っていいかと」
「錬金術と科学はか」
「我々の世界では中国の方術もです」
「仙人のあれだな」
「あちらも科学の一面がありました」
「そうなんだな」
「むしろ中国の方が発達したでしょうか」
そうした錬金術の類、言うなら古代の科学はというのだ。
「教会の存在がなかったので」
「こっちの世界でもないしな」
「はい、我々の世界ではとかくです」
「教会が大きくてな」
「錬金術以外も色々と介入していてな」
「何しろ欧州の学問は全て神学からはじまります」
まさに大樹の幹だ、神学からあらゆる学問が派生したのがキリスト教がローマ帝国の国教となってからの欧州の学問だ。
「ですから」
「神学、教会が駄目だって言えばか」
「はい」
まさにそれでというのだ。
「全てが規制されます」
「そうなるんだな」
「そして若し反対すれば」
「魔女とか異端ってなってだな」
「拷問と火炙りです」
そうした恐ろしい責め苦が待っているというのだ。
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