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レーヴァティン

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第十九話 紹介その九

「そうなっていました」
「そんなのだったらまともに発展しないな」
「ですから欧州の学問の発展は教会からの解放でした」
「本当にそこからだったんだな」
「そうでした」
 このことは歴史にある通りだ。
「ガリレイも弾圧されていますね」
「コペルニクスも言われたしな」
 ただコペルニクスの場合は支持者も多くその分助けられた。ベーコンやルターといった当代一の知識人達に批判されたりもしたが。
「何かと」
「そこ日本と全然違うな」
「全くですね」
「日本じゃそうしたことなかったからな」
「比叡山等もです」 
 相当に力のあったこの寺にしてもだ。
「そこまでは到底です」
「学問の規制とかな」
「しませんでした」
 そして腐敗も欧州の教会より遥かにましだった、横暴も腐敗もまだ遥かにだったのである。
「そこまでは、むしろです」
「日本じゃ出来なかったな」
「復讐の宗教、神仏が混在していたので」
「それじゃあな」
「出来ませんでした、ましてや比叡山にはライバルがいました」
「高野山か」
「そちらは中々どうにか出来ませんでしたし」
 それこそ開山以前からだ、開祖である最澄はどうしても高野山の開祖である空海に劣っていると自身も認めていたせいだろうか。
「その権勢も限られていました」
「法皇様でもどうにも出来なくてもな」
「はい、白河院ですらです」
 この権勢を誇られた方でもだったがだ。
「しかしその比叡山も」
「そこまではしなかったし出来なかった」
「ですから日本での学問は規制がありませんでした」
「それで中国もか」
「はい、教会がなかったので」
「結構楽にか」
「研究をしていました」
 そうだったというのだ。
「あの国でも」
「そうだったんだな」
「イスラムではむしろ大いに進められていました」
 その錬金術がだ。
「アッラーも大いに認められているとされて」
「ああ、高校の教科書でも書いてあったな」
「そうでしたね」
「あっちじゃ錬金術はいい学問だったか」
「ですからかなり発達しました」
「あっちではそうだったんだな」
「そうでした」 
 欧州とは全く違ってというのだ。
「むしろ欧州が異常だったのでしょう」
「教会の力が強過ぎてか」
「神学からあらゆる学問が発生していて」
「神から離れるなら全部駄目か」
「そうした考えだったのね」
「錬金術も弾圧されていたんだな」
「魔術と同じく」
 まさに悪魔の学問とされていた、そのうえで弾圧されていた。ただし特権階級は別だった。
「そうでした」
「こっちは両方あるけれどな」
「そうですね」
「弾圧もされてないな」
「教会はありますが」
 この世界にもキリスト教があり信仰されているがだ。
「ですがそれでもです」
「俺達の世界の昔よりも強くないからな」
「それにあそこまで排他的ではないので」
 彼等の世界のかつてのローマ=カトリック教会の様にだ。
「いいのでしょう」
「そういうことか」
「ですから他の宗教も学問も害せずです」
「色々発展してるか」
「そうだと思います」
「成程な」
「それで医学も進歩しているのなら」
 錬金術が弾圧されず発展し薬学の進歩にもつながってだ。 
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