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夢幻水滸伝

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第十九話 四国上陸その十四

「土佐攻めるわ」
「わかりました」
「それで玲子ちゃん達はや」
 玲子と傭兵の四人にも言った。
「伊予に行ってもらうわ」
「讃岐を完全に制圧してだね」
「そや、まずはな」
 玲子に対してさらに話した。
「皆で十河城を攻めて」
「陥落させてだね」
「うち等は伊予から土佐に向かうし」
「あたし達は讃岐を完全に攻め取ってだね」
「伊予を頼むわ」
「わかったさ、あとね」
「あと?」
「やっぱり所々タチの悪い魔物や賊もいるね」
 玲子はそうした連中の話もした。
「そうした連中についてはどうするんだい?」
「放っておいたら民の人達が迷惑やさかい」
 それでとだ、綾乃は玲子に答えた。
「倒していってや」
「そうするんだね」
「うん、それも戦やし」
「わかったよ、じゃあ軍勢を進ませながらやっつけていくよ」
「頼むで」
「任せておきなって」
 玲子は明るく応える、そして傭兵の四人もだった。それぞれのポーズを付けたうえでこんなことを言った。
「うち等もいますさかい」
「どんどんやっつけていきますわ」
「魔物や賊退治の依頼もよおやってきました」
「そっちも得意ですさかい任せて下さい」
「頼むで」
 微笑んでだ、綾乃は四人にも優しい声で応えた。こうしてだった。
 関西の軍勢は十河城に向かった、その際も綾乃は言うのだった。
「町や村を通ってもな」
「そうしてもですね」
「絶対にですね」
「そや、悪いことをしたらあかんで」
 そこは絶対にというのだ。
「略奪暴行は死罪やからな」
「はい、わかっています」
「そのことは」
「民を傷付けるな」
「それは絶対ですね」
「そや、自分等もやられたら嫌やろ」
 それでというのだ。
「そうしたことはしたらあかん」
「その通りですね」
「では、ですね」
「民衆とは一緒に遊び」
「親しくしていくのですね」
「そうせなあかんで、仲良くな」 
 そこは絶対にというのだ、そうしたことも強く注意していたので関西の軍勢は四国の民衆に危害を加えることなく十河城に進んでいた。
 その話を十河城で聞いてだ、正岡は織田に言った。
「ええのう」
「関西の軍勢の行いはですね」
「話は聞いとったがのう」
「民衆には一切手出しをしない」
「天下の他の勢力もそうじゃがな」
 他国の勢力もだ、正岡が聞いて知っている限りの。
「関西は特に徹底しとるのう」
「そうですね、それですが」
 織田は正岡に話した。
「民衆もです」
「その姫巫女さん達にじゃな」
「深く感謝している様で」
「慕いだしとるな」
「それに関西は善政で有名です」 
 太平洋の諸勢力の中でも特にだ。
「その噂を聞いてです」
「民衆派そっちを慕いだしとるんじゃな」
「占領されている場所は、ただ」
「わし等もか」
「決して離れられてはいません」
 そこまでは至っていないというのだ。
「ですからご安心を」
「だといいがのう、ただな」
「それでもですね」
「勝敗は決したかのう」
 正岡は袖の中で腕を組み難しい顔になって言った。
「これは」
「我等の戦は」
「そうじゃ、これまでの二つの戦で負けてじゃ」
 そしてというのだ。 
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