夢幻水滸伝
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第十九話 四国上陸その十三
「まっこと凄いぜよ」
「ですね、大蛇に朱槍に」
「空と陸から来てるしぜよ」
「海からの砲撃もあります」
吉川が正確に繰り出してくるそれもかなりのものだった。
「ここまで一方的に攻められては」
「辛いぜよ」
「予想よりも遥かにですね」
「苦戦は予想してたぜよ」
正岡にしてもだ。
「それでもぜよ」
「ここまでは」
「姫巫女さんの出陣ぜよ」
それが正岡の計算違いだった。
「これは予想外だったぜよ」
「だからですね」
「そうぜよ、苦戦なんてものじゃないぜよ」
「海岸は完全に占領されました」
つまり敵に橋頭保を築かれたのだ。
「そしてさらに攻めてきます」
「空と海からの攻撃は相変わらずぜよ」
言いつつだ、正岡は拳銃を斜め上に放った、そのうえで舩からの砲弾お信管を撃って空中で爆発させて自軍を守っている。織田も障壁である程度にしろ自軍を守っている。
「損害は三割位かのう」
「はい、おおよそ」
「はじまってすぐにこれか」
「特に八岐大蛇が強いです」
空から攻めて来るこの大蛇がというのだ。
「圧倒的です」
「そうじゃのう」
「それでどうされますか」
「こうなったらじゃ」
「退きますか」
「またになるがのう」
淡路の戦に続いてというのだ。
「これ以上兵をやられてたら後の戦も出来ん様になる」
「だからですね」
「ここは諦めてじゃ」
そしてというのだ。
「十河城辺りまで退くか」
「それでは」
「ああ、それとな」
正岡はさらに言った。
「死んだモン、傷付いたモンはな」
「一人残らずですね」
「連れて行くんじゃ」
このことも淡路での戦の時と同じだった。
「ええな、それは」
「はい、見捨てずにですね」
「仲間は見捨てんもんじゃ」
そこは徹底的にというのだ。
「ええのう」
「わかりました、それでは」
「退きじゃ、殿はわしがするわ」
こう言ってだった、正岡は自軍を退かさせた。彼は言った通りに傷付いた兵や死んだ兵の躯を一人も見捨てることなくだった。
連れて行き退く、関西の軍勢の攻撃は激しくまだ大蛇の攻撃や海からの砲撃で軍勢が吹き飛ばされていたが。
その中でだ、何とかだった。
四国の軍勢は十河城の方まで退いた、関西の軍勢は完全に四国に上陸を果たしてそれからだった。
その海岸でだ、綾乃は玲子達に言った。
「ほな次はな」
「ああ、四国攻めだね」
「全部攻め取るで」
「そうするんだね」
「うちは阿波から土佐に向かうわ」
「では水軍は海からです」
吉川も来ている、そのうえで彼女に応えて言った。
「四国の東を回り込み」
「そうしてやな」
「土佐を攻撃します」
「頼むで」
「そして棟梁はですね」
「空から山越えてな」
土佐の北、東、そして西を完全に囲んでいるその山々をというのだ。
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