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夢幻水滸伝

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第十九話 四国上陸その十二

「上陸する玲子ちゃん達助けるで」
「我等が空から攻め」
「そうし」
「やったるで」
 まずは綾乃が四国の軍勢に術を放った、それは絶対零度の氷の術だった。
 多くの兵士達が氷漬けになる、そこに大蛇が八つの頭からそれぞれ炎や冷気、雷や強酸に毒霧といった様々なものを吐く。
 そうして多くの兵達を薙ぎ倒し吹き飛ばしていく、讃岐の海岸は忽ちのうちに地獄と化した。
 その状況を見つつだ、小舟から海岸に迫る玲子は笑みを浮かべて言った。
「凄いね、姫巫女さんは」
「はい、全くです」
「八岐大蛇だけで戦勝てますで」
「噂に聞いてたけど凄いですわ」
「あれが姫巫女さんのお力の一つですか」
「三種の神器だけでも凄いだがね」
 玲子は綾乃の他の神具の話もした。
「剣と鏡と玉もね」
「その三つは術や知力のものでした」
「主の力を極限まで高め護る」
「しかし攻める為のものはですね」
「あの大蛇ですね」
「そうだよ、姫巫女さんは武器は持ってないさ」
 玲子の朱槍の様なものはというのだ。
「けれどね」
「あの大蛇はですね」
「まさに最強の武器ですね」
「八つの頭と巨体で全てを薙ぎ倒す」
「とんでもない武器ですわ」
「あの武器は神具持ってる星の奴じゃないと渡り合えないさ」 
 そこまでのものだとだ、玲子は言った。
「到底ね、それか何万かで攻めるかだよ」
「空と陸から」
「そうでもないとですね」
「大蛇は退けられない」
「そうした神具ですね」
「そうさ、敵でなくてよかったよ」
 大蛇、そしてその大蛇の主である綾乃がだ。
「お陰であたし達も楽に上陸出来るよ」
「そうですね」
「あそこまで敵を薙ぎ倒してくれると」
「上陸も楽です」
「実に」
「じゃあその楽に乗っかってね」
 にかっ、とした笑みだった。玲子はその笑みと共にまた言った。
「一気に上陸して足がかり手に入れるよ」
「ええ、殴り込みましょ」
「これから」
「よっしゃ、やったろか!」
 ここで玲子の乗る船の隣にいる傭兵の四人組も言ってきた。
「お金の分働くで!」
「そうしな次雇ってもらえんからな」
「傭兵は信用第一」
「やる時はやるのが筋やし」
「あんた達も頼むぜ」
 玲子は意気込む四人にも笑みで声をかけた。
「今は味方同士だしね」
「わかってますで」
「ほなガンガンいきましょか」
「姫巫女さんの援護も受けてますし」
「他にも空から攻めてますし」
「だから相当に楽だからね」
 それ故にというのだ。
「余計に気合入れて殴り込むよ」
「はい、そうしましょ」
「これより」
「敵倒して海岸制圧して」
「次は讃岐全体ですわ」
「一番槍の奴は後であたしに言いな!」
 率いる全軍にだ、玲子は大声で告げた。
「とびきりの大吟醸をあたしが飲ませてやるよ!」
「楽しみにしてますで!」
「上等の酒!」
 兵達も明るく応えた、そしてだった。
 玲子達は海岸で舟を乗り付けてそうしてだった、歓声と共に岸に上がってそこからだった。
 空からの一方的な攻撃、大蛇からだけでなく空船や翼人達からの攻撃を受けて大混乱に陥っている四国の軍勢に踊り込んだ。そのうえで陸からも突き崩していく。
 玲子は自ら先頭に立ち朱槍を風車の如く振り回し周りの敵を倒していく。首も腕も胴も脚も吹き飛び血煙が起こる。そして例の四人もだった。
 それぞれの力で戦う、海岸は瞬く間に占領され敵をその後ろに追いやっていく。その状況を見てだった。
 正岡は唸ってだ、隣にいる織田に言った。 
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