レーヴァティン
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第十九話 紹介その六
「落ち込むなよ、それで気に入ったらな」
「その時にか」
「付き合えよ」
「それでベッドもか」
「御前いきなりベッドに行くつもりかよ」
「早く卒業したいんだよ」
まだ大学四回生ではないがこう言うのだった。
「俺としてはな」
「それでか」
「そうだよ、どうしてもな」
「そう思っていてもだよ」
「相手は選べか」
「やっぱり好みの相手でないとな」
「卒業はすべきじゃないか」
久志も智の言葉を受けて考える顔になった。
「やっぱりそうか」
「誰でもいい訳じゃないだろ、自分も」
「そりゃアイドルならまゆゆとかゆきりんとかな」
そういう娘がタイプだというのだ。
「そういう娘とな」
「そう想うならな」
「相手をよく見ろか」
「しかも結婚みたいな話にもなってるな」
「そういえばそうだな」
「だったら余計にだよ」
「相手の性格も、か」
考える顔で智に返した。
「見てか」
「決めろよ」
そこまでというのだ。
「いいな」
「ああ、それじゃあな」
「そしてな」
智は久志にさに話した。
「そんなに意気込むな」
「そう見えるか?」
「飯食う前の犬みたいだ」
その様子たるやというのだ。
「見ていて引くぜ」
「そんなに凄いか、今の俺」
「目が血走ってて鼻息も荒くてな」
「如何にもこれから、か」
「そんな感じだよ」
まさに性欲全開だというのだ。
「今の自分は」
「そうか」
「ああ、どうなんだよ」
「いや、やっぱりな」
「そうしたことをだよな」
「卒業出来るからな」
頭の中はこのことで既に一杯になっていた、それで目が血走り息も荒くなっているのである。
「ようやく」
「それでもな」
「落ち着け、か」
「そんなの卒業するの簡単だろ」
智は何でもないといった感じで久志に言った。
「それこそな」
「そう言うのか?」
「そうだよ、店に行くか女の子引っ掛けてな」
「それでか」
「簡単にだろ」
こう久志に言うのだった。
「というかそうしたお店に行ってなかったのか」
「今までな」
「どうせ相手選んでたんだろ」
「ああ、これはっている相手探してたらな」
「そんなの普通に奇麗な人だったらいいだろ」
誰でもとだ、智は素っ気なく言った。
「はじめてでもな」
「はじめてが大事なんじゃないのか」
「そんなの何十人も経験してたら何でもなくなるんだよ」
久志が絶対という卒業の相手もというのだ。
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