レーヴァティン
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第十九話 紹介その五
「その頃にこの街来てだ」
「人殺しやってか」
「首を刎ねられた」
そうなったというのだ。
「そして死んだ」
「殺人を犯したならば当然ですね」
順一はその処刑を妥当として述べた。
「それは」
「全くだ」
「しかし」
「しかし?」
「いや、この世界に来る人は多いのですね」
順一は自分達のことも話した。
「私達だけでなく」
「そうなのだ、実はな」
「それはいいことを聞きました」
「そうか、大した話ではないが」
「大した話ではないというところにです」
「あるのだな」
「私達が思うことが」
こう依頼主に述べた。
「ですから」
「ならいいが、そして外の世界から来た者の資質はかなり高い」
依頼主はこのことも話した。
「卿達の様にな」
「ではその安桜という輩も」
「力は強かった」
殺人を犯す様な輩であってもというのだ。
「それはな」
「左様ですか」
「非常に粗暴ではあったにしてもな」
「粗暴で力が強いとなると最悪ですね」
「全くだ、死罪になってよかった」
そうした輩だったとだ、依頼主はまた言った。
「まことにな」
「同感です」
順一は依頼主のその言葉に同意した、そして依頼主は源三に代価を支払い愛妻と共に去ることになったが。
ここでだ、細君が久志に話した。
「では」
「はい、妹さんのご自宅をですね」
「住所と地図を描いたメモをお渡しします」
言いながらすぐに一枚の紙を出してきた。
「どうぞ」
「有り難うございます」
久志は血走り鼻息を荒くさせて崔君に応えた、その姿はまるで餌を前にした餓えた野獣であった。
「ではすぐに行ってきます」
「妹にも連絡しておきますので」
「それじゃあそこに行けば」
「大事に愛して下さいね」
その幼女にしか見えない顔で言う。
「それだけはお願いします」
「わかりました、ではまずはお会いして」
こうしてだった、久志は細工印の妹の家まで行くことにした。そしていざ行くという時にだった。
ふとだ、智が久志にこう言ってきた。
「おい、行くにしてもな」
「それでもかよ」
「御前の好みの人とは限らないからな」
「そこでそう言うのかよ」
「美人なんて人それぞれだろ」
智は久志にこの真実を話した。
「それこそな」
「確かにそれはな」
「そうだろ、だからな」
「妹さんもか」
「二メートルでアンドレ=ザ=ジャイアントのお母さんみたいな逞しいお方が出て来てもな」
例えそうなってもというのだ。
「主観次第でな」
「美人か」
「ああ、だからだよ」
「そこはか」
「どんな人が出て来てもな」
それでもというのだ。
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