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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十一話 夜の天使その三

「今来ていたら」
「そうだな、しかもだ」
「しかも?」
「実はあれで思いやるのある人だったそうだ」
「傲慢で傍若無人じゃなくて」
「そうした人だったらしい」
「だから人もついてきたんですね」
 そういえば本能寺の変もあったけれど本願寺と戦っている間尾張や美濃からの家臣の人達は殆ど裏切っていない。
「そうなんですね」
「意外か」
「まあ何ていいますか」
「言われている姿と違うな」
「実際の信長さんは」
「むしろ足利義教公よりだ」
 あの悪名高い将軍様だ、やたら気が短くて手打ちも多かったらしい。
「遥かにだ」
「穏やかだったんですね」
「確かに怒ると怖かったそうだが」
 伝え聞く通りにだ、このことは。
「殴ってきたりもしたらしい」
「それは実際なんですね」
「それでもだ、普段はだ」
「思いやりのある人だったんですか」
「そうだったのだ」
 織田信長さんという人はだ、僕達三人で一緒にイルミネーションの中を歩きつつ話をしていった。その信長さんの話を。
「私も長い間知らなかった」
「怖い人ってイメージ強いですからね」
「第六天魔王とな」
「この言葉ばかり出ていて」
「イメージが定着しているが」
 しかしというのだ。
「それは違うのだ」
「そうなんですね」
「こうしたことは多いがな」
「そうね、ベトナムでもあるわよ」
 ダオさんも言ってきた、時計塔のイルミネーションを見つつ。
「そうしたお話って」
「そうなんだね」
「そう、微姉妹って人達は」
「ええと、ベトナム独立の」
「最初のね」
 一世紀かそれ位の人だ、ベトナムの歴史も長い。
「その人達も伝説が多くて」
「実際はどうした人達か」
「わからないことが多いの」
「そうなんだ」
「その最期もね」
 独立の為に戦って敗れてだ。
「色々言われてるの」
「戦死したんじゃ」
「そうも言われてるし」
「他にもなんだ」
「言われてるのよ」
 そうだというのだ。
「川に飛び込んで自決したとか」
「そうもなんだ」
「言われてるのよ」
「実際どうだったのかな」
「それははっきりしないの」
 ダオさんはプールの方のイルミネーション、僕は一昨日行ったそちらの方を見ながら微姉妹の最期の話をした。
「どの最期だったのかは」
「戦死したか自決したか」
「本当にね」
「伝説なんだ」
「大昔だから」
 今から見ればというのだ。
「一世紀よ」
「中国の後漢の頃だね」
「そのはじめ頃よ」
 漢は実は二つの王朝がある、前漢と後漢だ。どちらも劉邦の劉氏の王朝だけれど後漢の劉秀は劉邦の血筋かどうか怪しいという説もあるとのことだ。
「だからね」
「わからないんだね」
「そうなの、ダオとしては」
「というかベトナムの人達も」
「わからないのよ」
「そうなんだ」
「本当に昔過ぎて」 
 とにかく一世紀のお話であることが大きかった、このことについては。 
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