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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十一話 夜の天使その四

「誰もわからないのよ」
「自決かな」
 僕はふとこちらを出した。
「やっぱり」
「戦死じゃなくて」
「そうなのかな」
「ダオもそう思いたいわね」
「戦死よりもだね」
「川に飛び込んで。その方が奇麗な感じがするから」
 だからだというのだ。
「ダオとしてはよ」
「その方がいいんだ」
「ええ、ただ二人共まだ十四歳と十三歳だったのよ」
「女の子だったんだ」
「ほんのね。けれど立ち上がったのよ」 
 後漢の圧政に抵抗してと言われている、この話は僕も聞いたことがある。
「勇敢にね」
「それで戦ってベトナムの歴史がはじまった」
「そうなの、それで二十世紀になっても」
「戦ってたよね」
「フランス、アメリカ、中国ってね」
 途中日本が来たりもした、仏印進駐だ。
「長い戦いだけれど勝ったのよ」
「どの国の人も学園にいるね」
「あはは、そうね」
 ダオさんば僕の言葉に笑って返した、そしてこうも言った。
「ジューンも水蓮もね」
「当のアメリカと中国だね」
「ダオ達全然意識してないけれどね」
「そうだね」
「ダオのクラスにフランスからの子いるけれど」
 留学生の子でというのだ。
「普通に仲いいし」
「そうなんだ」
「特に喧嘩もしないわよ」
「フランスの植民地だったけれど」
「そう、特に喧嘩もしないわよ」
「フランスは確か」 
 植民地にしている時にドイツに負けてビジーフランスになったその時に日本にそのベトナムやカンボジア、ラオスを奪われて日本が戦争に負けて帰って来たら負けた、そういった歴史があった。
「かなりやっつけれたんだっけ」
「そう、タコ殴りにしてやったの」
「それで追い出したんだったね」
「こっちで言う阪神みたいにね」
 ダオさんは笑ってこんな例えをしてきた。
「前の甲子園の広島との試合みたいね」
「それ悪い例えだよ」
「小夜子笑ってたわね」
「広島ファンだからね」
 広島出身だけあってだ。
「そうなんだよね」
「ダオも日本の野球だと阪神好きだけれど」
「がっかりした?」
「だって十五対零よ」
 しかも一安打でだ、完敗だった。
「言いたくもなくわ」
「じゃあベトナムは広島?」
「ロッテでもいいわよ」
 ダオさんは笑ってこうも言った。
「聞いたわよ、シリーズ」
「ああ、あれね」
「聞けば聞く程何それだったわ」
「あのシリーズはね」
 僕の子供の頃の話だけれどだ、あまり覚えていないけれど酷いものだった。
「伝説だね」
「三十三対四よね」
「四試合の合計得点がね」
「酷い有様だったのよね」
「今でも言われてる位だからね」
 八条学園でもネタになっている程だ、海外の子達も皆シリーズの有様を聞いてお腹を抱えて笑う程だ。
「凄かったね、かえって」
「阪神しか出来ない負け方?」
「それでフランスもなんだ」
「あのレベルでやっつけてやったわ」
「徹底的にやっつけたんだね」
「三国の中で一番弱かったかもね」
 フランス、アメリカ、中国の中でだ。 
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