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夢幻水滸伝

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第十九話 四国上陸その三

「ここから落として歩くか泳いで淡路まで行ってもらうからな」
「うわっ、きついなそれ」
「そらうち等やと落ちても死なんけど」
「歩いて泳いで行けとかないわ」
「そうされたら移動の術使って行くしかないやん」
「そうせえ、というか今回は移動の術使わへんねんな」
「使ってもええんやけどな」
 前を見て立って大蛇の背にいた綾乃が大蛇に答えた。
「そんなに急がんし危急の事態の時は術使うけど」
「今は特にええからですか」
「それでわしで移動してるんですか」
「そうなんですか」
「そやねん、こうして大蛇さんで移動するのも好きやし」
 綾乃は大蛇の八つの頭に答えた。
「それでな」
「今回は、ですか」
「こうしてわしで移動してますか」
「そうしてるんですか」
「そやねん、それに大蛇さんに乗ったら都から淡路まですぐやし」
 大蛇の飛ぶ速度もかなりだからだ。
「一刻位で行けるしな」
「あれっ、そういえばかなり進むの速いわ」
「もうこんなとこかいな」
「肌では感じんかったけど速いな」
「淡路まであと少しやで」 
 四人は前方の下に大阪城を見た、五層七階の黒い壁と黄金の屋根の見事な天守が大阪の賑やかな町の中心にある。
「大阪から淡路は目と鼻の先や」
「あそこからすぐやな」
「丁度お弁当もお菓子も食べたし」
「後片付けしよか」
 実際に四人で後片付けをする、大蛇はその四人を見てまた言った。
「ほんまに跡片付けするんやな」
「そらするで」
「うち等奇麗好きやねんで」
「こうしたことはしっかりせな」
「使ったものや場所は元通りにやで」
「いい加減やけど筋は通ってるんやな」
 大蛇はそんな四人を見て彼女達の長所を見た。
「只のアホ共ちゃうねんや」
「アホって何や、アホって」
「うち等の何処がアホやねん」
「八条大学に進学出来る位の学力あるわ」
「赤点もないで」
「そっちの世界の話は知らん」
 大蛇は自分達の世界のことを出して抗議する四人にあっさりと返した。
「それに学問のことやなくてこっちの世界の話をしてるんや」
「こっちの世界でも術使えるで」
「兵法も知ってるわ」
「あと政も出来るし」
「一通りのことは出来るや」
「そうしたことやないって言うてるやろ」
 大蛇は言い返す二人にまた返した。
「人間としてアホやっちゅうてんねん」
「それどういう意味や」
「人間としてアホって何や」
「それ意味わからんわ」
「そや、訳のわからんこと言われても困るわ」
「言ったままや、学問や政が出来てもそれは知識の話や」
 大蛇はそうしたものについても述べた。
「知恵、いや生き方の話や」
「生き方って何やねん」
「それがいい加減やとあかんのか」
「そう言われてもな」
「やっぱりわからんわ」
「それがわからんからアホや、そんないい加減で能天気なのがや」
 まさにというのだ。
「アホやっちゅうねん」
「ほな自称番長の元プロ野球選手もアホか?」
「ボクサーの一家ともな」
「あの連中もアホか?」
「実際頭めっちゃ悪そうやけどな」
 四人は目のところに犯罪者の写真に入れる黒いラインが入ったそうした面々を想像しながら彼女達の話をした。 
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