夢幻水滸伝
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第十九話 四国上陸その四
「そうなんか?」
「ああいう連中がアホか」
「私等から見ても連中めっちゃアホやしな」
「学校の成績云々以前に」
四人もそうしたことはわかっていた、学校の成績が悪い人間が決して愚かではないということに。
しかしだ、それでもだった。
「人間としてドアホやしな、あいつ等」
「言うてることもやってることもな」
「下衆で柄悪くてな」
「ダニ以下の連中やな」
「そのダニ以下の連中よりは多分ましやがな」
それでもとだ、大蛇はまた四人に言った。
「自分等はアホや」
「そやから何処がアホやねん、うち等の」
「ゲームのステータスやと知力と政治力そこそこ高いで」
「流石に軍師とか専門の文官みたいにはいかんけど」
「そこそこやれるで」
「そやから人間としてアホや」
大蛇はこうした意味では四人と同じ意見だった。
「屑やないけどアホや」
「ほんまアホアホ言うなあ」
「人間アホの方がいいとも言うけどな」
「アホ言う方がアホやで」
「つまり大蛇さんの方がアホや」
「ほんま口の減らん奴等や」
四人を見てあらためて思うことだった。
「その口の分働いてもらうけどな」
「ああ、お金の分は働くで」
「そこは安心してや」
「やる時はガーーーッとやるで」
「仕事人やからな、うち等」
「いざという時は剣にも盾にもなってもらう」
関西の、とだ。大蛇は二人にこうも言った。
「ええな」
「ああ、命賭けでやるわ」
「そのうえで生き残るさかいな」
「当然将兵も無駄にせんで」
「民衆の皆さんには絶対に危害加えんし」
「そこはしっかりしてるな」
確かにいい加減なところはある、しかし人間として間違ってはいない。大蛇は四人のこの気質をここで完全に理解した。
それでだ、あらためてこうしたことも言ったのだった。
「宰相さん達が雇ったのは正解やな」
「ええ娘達やで」
綾乃もにこりとしてこう言ってきた。
「このままずっとうちにいてもらいたい位や」
「まあそれは天下統一までで」
「次の契約先はまだ未定ですけど」
「次は敵同士かも知れません」
「うち等傭兵ですさかい」
四人は明るい調子だが綾乃にこのシビアな現実も話した。
「そこはあれですわ」
「やっぱりこの稼業敵味方がころころ変わります」
「実際関西の敵対勢力に雇われてたことありますし」
「戦の場で玲子さんとやり合ったこともありますで」
そして玲子の暴れっぷりに四人で何とか向かったのだ、玲子にとってはその時も楽しい遊びだった。
「そやから先は保障出来ません」
「うち等も姫巫女さん好きですけど」
「仕事ですさかい、こうしたことは」
「まあ天下統一まではいますんで」
そこは安心していいというがだった。
四人は現実を話した、そして綾乃はその四人の言葉を聞いて言うのだった。
「ほな契約の話も進めなあかんわ、自分等と」
「次の契約ですか」
「統一してからのことも」
「まあそっちはこれからの仕事ぶり見て考えて下さい」
「うち等の仕事を」
「そうさせてもらうわ、やっぱりな」
また言った綾乃だった。
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