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Sword Art Online 無限の剣製

作者:Drake
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プロローグ3

 
前書き
ちゃばんがながい。。。
 

 
「ソードアート、オンライン?」

 どこかで聞いたような単語を、聞き返す。

「そうだよ。いくらゲーム音痴の衛宮でも、きいたことぐらいはあるだろ?」

 目の前のソファに座り、優雅に紅茶を飲む男の名は間桐慎二。
 慎二には今日のお昼頃、昨日の遠坂の話を聞いてもらっていたのだが、話しが斜め上の方向に進んだため、

『だったらうちにきなよ。それだったら、聞いてやるからさ』
 
  という言葉に、甘えさせてもらったのだが。
 間桐家の居間に座らされ、桜とお爺さんの訝しい目を我慢した結果の第一声は、ソードアートオンラインという名のゲームの話だった。

「まぁ、一応、は」

 ーーーーーーーーーあぁ、そうだ。思い出した。
 昨日の遠坂との一連のやり取りの、一番最初に話していたのが、ソードアートオンラインだった。

 「あれだろ?VRMMOとかいう仮想世界に飛び込む新時代のゲーム、だとか」

「うーん......。ま、一応正解ってとこかな。ていうか、なに?むしろその程度の知識しかないのかよ」

「そうだな。これぐらいしか知らない」

 結局、遠坂から詳細な話も聞いていなければ、なぜソードアートオンラインの話を出してきたのかも聞いていない。

「衛宮ってなんでそんなゲームに興味とかないわけ?」

 慎二が本当に不思議そうに訊く。

「は?......いや、ゲームに興味がない、って訳じゃないんけど、なんだろ。お金を出してまでやりたいかって言われたらなぁ」

 そんな慎二の疑問に、真面目にこたえたはずなのに、 

「ーーーーーーーーーーーッは!これだから貧乏人は困るなぁ!!」

 唐突にとてつもない罵倒をしてきやがった。

「慎二。親しき仲にも、礼儀ありってもんだぞ」

「うるさいなぁ!これだから貧乏人は困る!!」

 慎二はソファから立ち上がり、ティーカップを持ち、腰に手を添え、目線は俺を見下し、

「これっっだから貧乏人は!!!」

 完膚無きまで罵倒された。
 なんだこいつ。貧乏人に親でも殺されたのだろうか。

「慎二、いいから落ち着けよ」

「落ち着けぇ?これが落ち着かずにいられるかよぉ!!」

「頼むから落ち着け。桜と爺さんがとてつもない目で見てるから」

「知ったこっちゃないねぇ!なぁ衛宮ぁ!?」

 あるんだよ、知ったこっちゃ。
 
慎二はその後もふははははっ!これだから貧乏人はァ!!と言いながら、居間を出ていく。
おい、当然かのように出ていくな。せめて桜と爺さんも連れていけ。

「ふははははっ!」

 声がここまで聞こえている。丁度、2回につづく階段のあたりだろう

「ふぅぅははは!」

 桜の部屋の前辺りだろうか。

 「ふっはは!」

 あ、今慎二の部屋のだな。

「貧乏人がぁ!!」

 あれ、またすぐに声が近くなったぞ。
 桜の部屋の前か?

 「まったくこれだからぁ!!」

  .........居間に続く階段辺りだな。
 おい、なにしてんだよ慎二。

「貧乏人は困っちゃうよねぇ!!」

 最後に居間のドアをバンッ!と蹴り開け、慎二様がご帰還なされる。ほんと、なにやってんのさ。

「それじゃ、俺は桜と爺さんの視線と、お前が持ってるものが怖いんで帰るな」
 
 じゃ、と手を振って居間から出ようとする。

「まぁ待てよ衛宮。今晩は泊まってけ」

 しかし、手に持っていたなにかをソファに置き、瞬足で駆け寄ってきた慎二に、肩ではなく両耳を握られる。手や腰、お腹ならまだわかる。耳て。
サイコパス甚だしい。


「えっと.........、慎二くん?」

「なんだい、衛宮」

「俺達、友達だよな?」

「友達って、素晴らしいよな」

「南無っーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ?」


 慎二の言葉を聞いた瞬間、本能的に逃げることを選んだ俺の体は、動かなかった。
 俺が両耳に気を取られているうちに、第2の刺客であり、慎二の妹であり、我が愛しの後輩でもある間桐桜が、屈んで、ガッチリと俺の両足首をホールドしていた。

「先輩、泊まっていってくれるんですか?」

 桜は上目遣いで、潤んだ瞳になりながら、声を震わせていた。いや、桜が屈んで俺の両足首をホールドしているのだから、上目遣いになるのはごくごく自然なことなんだが。

「それにしても慎二」

「なんだよ、衛宮」

「随分と趣味がいいじゃないか」

「衛宮、泊まっていってくれるってさ、桜っ!」

「お、おまっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーとんでもないことを言う慎二に文句を言う暇なんて、俺には残されていなかった。

「本当ですか!?あ、それならわたし今晩は腕によりをふるいます!なにがいいかなぁ中華?洋風?でもせっかく先輩が泊まるんだから、和風がいいかなぁ。あ、でも先輩このところずっと晩御飯は和風ですよね?それならいっそのことスパイスをふんだんに使って煮込んだカレーっていうのもいいですね!」


「お、おい、桜......」


「肉は何がいいんでしょう?豚?鳥?それともやっぱり定番の牛にします?あ、そういえば先輩カレーは豚のブロック派でしたね!それなら脂の量が多くてコッテリになりすぎちゃうんで、サラダを多めに作りましょう!種類も2、3個ぐらい!どうせならドレッシングも自家製で行きたいですよね!あ、お客様の先輩に手伝わせてしまうのは申し訳ないんですけど、ドレッシングだけお願いしたいかなぁって。そっちの分野だと、本当にわたしはまだまだ先輩の足元にも及んでいませんから」

可愛い後輩に使う言葉じゃないんだろうけど、あえて言わせてもらう。

狂気を感じる。

「あ、でもスパイスに関しては任せてください。こう見えてわたし、最近結構勉強してるんですよ?いつか先輩に香辛料をふんだんに使った料理を食べさせてあげたいなぁなんて...って、やだわたし何言ってるんだろ。ううんじゃなくて、料理の話ですよね!カレーとサラダだけって少し味気がない気もするんですけど、でもやっぱり一般家庭ってそんな感じですよね!あ、そういえば先輩しってます?関西の方ではカレーに生卵を入れたりする風習があるみたいですよ?ありえない、って思うじゃないですか?これが案外いけるらしいんです。カレーにチーズ、なら定番なんですけど、先輩はカレーにアレンジとか加えるタイプですか?あ、でもやっぱり最初は普通に食べるのがベストだと思うんです!カレーて何日かにわけて食べるじゃないですか?だからこそ、初日はノーマルに食べて、二日目からいろいろ試せばいいと思うんです!あ、それとですね.........」

 気がつけば、俺の両耳はフリーになっていた。後ろを振り向く。

「ふんふん〜♪」

 俺の友人であり、今俺の足元で呪詛か何かを唱えている女の子の兄は、ヘッドフォンを装着し、先ほど持ってきたなにかをスリスリしていた。

後で絶対にしばく。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー足元で未だ呪詛を唱え続けている桜が収まり、食材を買いに行き、間桐邸で風呂に入り、晩御飯を頂き、桜を寝かしつける頃にはもう、丑三つ時になっていた。





















「で、ずっと説明がなかったこれは一体なんだ」

 深夜2時の丑三つ時。
 やたらとテンションが高かった桜に付き合い、トランプやテレビゲームや人生ゲームなんかをめっきり5時間ほど体験している間ずっと傍らにあった、2つのヘルメットらしきもの。
 その説明を、ようやく受けれるような状況になった。

「あぁ、これ。 やっぱ貧乏人にはわかんない?」

 何時間も前のネタを、まだ持ち出してくる慎二。

「いやいいからそういうの。説明してくれ」

 俺が怒気を孕めた声でそう言うと、渋々と言ったように、また、ようやく話せるとでも言いたげな声で、慎二は語り出す。

「この2つを衛宮はどうせヘルメットみたいなもんだと思ってるだろうけど、こいつはそんな、頭を保護するような物とは真逆の代物だ」

 急に口調が変わり、真剣モードに入る慎二。どことなく腹が立つ。

「名前は《ナーヴギア》」

「ナーヴギア...?」

 なんだ、それ。

「仮想世界。VR端末。.........っておい、さすがにバーチャルリアリティって言えばわかるよな?」

「あ、あぁ...バーチャルリアリティでVRか」

  すまん慎二、本気でそのへんのことには詳しくないんだ。
 ゲームなんて遠坂と藤ねぇと慎二がうるさかったからインストールしたパ〇ドラぐらいしかしてないし、家庭用ゲームなんて、それこそ慎二の家に来ないとやらないもんだ。

「衛宮って、科学の文明が異様に発達したここ数10年にいきなりタイムスリップしてきた90年代みたいなやつだよな」

 俺の情けないまでのゲーム情報を、そんなふうに揶揄する慎二。
仕方がないだろう?趣味なんてないんだし、あったとしても...............いや、弓道は部活でやってただけで趣味ではないな。

「まぁいいや。話を戻すけど、こいつの名前はナーヴギアって言って、要は被ってスイッチ入れたら別世界に行けるってことだよ」

 「説明が急におざなりだし、それだけ聞くとやばい薬に思えるな......」

 「衛宮はどーせしょっぼいVR空間をただ《視る》だけだと思ってるんだろうけど、こいつは、そんなものとは違う。世界に、《入り込む》んだ」


俺の話なんて全く聞いていない慎二は、目を輝かせて語る。
でもそんな慎二は相当に珍しいので、うんうんと頷いて話を聞く。

「まぁ物は試しだな。被ってみろよ」

「今まさに慎二の話を最後まで聞こうと思ったところなんだけどな...」

まぁいいや...。
慎二に口を出すと、いかんせん長くなるし。省いてくれるのであれば、僥倖と言えよう。

「で、これ被ればいいのか?」

そう言い、返事も聞かぬ間に慎二に渡されたナーヴギアを被る。

「衛宮がこれからやるゲームはナーヴギアにデフォルトでついてる体験版みたいなやつだから。世界に入ってあとは存分に楽しめよ」

「待てよ慎二...。世界に入り込む薬をくれ。目の前が真っ暗なだけで何もかわりがない」

「はぁ?...いや、ナーヴギアもわからないんじゃ、知らないのも当然か」

慎二は大きなため息をつくと、リンクスタートだ、とだけ言う。

瞬間、不思議と背筋に緊張が走る。
どこか気が引き締まるような感覚。

俺は、正体不明のその感覚に気づかないフリをする。
気付かなきフリをして、唱える。




「リンク、スタート」




その言葉を口に出した瞬間、突然に、なんの前触れもなく、ソレは起こった。








ーーーーーーー眩い光の螺旋階段。








俺はそれを、登っている?
よく、わからない。


ぼろぼろの体で?
傷つきながら
血を流し?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー見れば、俺の体には、無数の剣が突き刺さっている。






ーーーーーーーーーーーーーー慎二の声が聞こえる。

「衛み......かぇ...ぐしょ......」


しかし、慎二の声は、風の音にかき消される。

.........風?

まるで、誰の侵入も許さず、階段を上るのを拒むかのような突風が、気づけば吹き荒れていた。



俺はなぜ、のぼるのか。


痛みはない。
ーーーーーーー当たり前だ。

俺は座っていたはずだろう。
ーーーーーーーそんなわけがない。

ここから先は進むな。
ーーーーーーー絶対に嫌だ。

幾度の衛宮シロウの声がこだまする。
自分は、何者なのか。
自分は、どこに行こうとしているのか。

こののぼる階段の先に、なにがあるのか。


知りたい。

知りたい。


遠坂ではなく。

桜でもなく。

イリヤでもなく。


ほかの、誰でもなくーーーーーーー。






「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそんなもの、有りはしない」

声が、聞こえる。
全ての意味が、わからなかった。

「そんなもの、どこにも、有りはしない」

その声は、俺を否定する。
今わかるのは、今起こっているすべての出来事を、今の衛宮士郎は知らないということだけ。

「求めるだけ無駄だ。ソレは貴様ではたどり着けない。」

俺は、気づかないふりをする。
登り続ける。

「この先に何があるか。何が待っているか。お前はそれを、知ることも出来ない」

気づかない。
登り続ける。

「なぜ進む。止まらない。」

気づかない。
登り続ける。

「なぜ追い求める。ナニを追い求める」

気づかない。
気づいてやらない。
なおも登り続ける。


「それは、お前には過ぎた夢だろう!」


.........。
さっきとは打って変わり怒気をはらんだその声に、歩みを止める。

「ありったけを持ってしても届きはしない!過ぎた望み、最初から壊れた、ただの幻想!」

......黙れよ。
ーーーーーーー1歩を踏み出す。

「醜い欲望!それをぶつける、価値のない眩いだけの光!」

ーーーーーーーまた、立ち止まる。
それ以上先は、許容できない。
衛宮士郎を構成する部分の否定は矛盾へと繋がる。
その矛盾を容認してしまえば、きっと俺は壊れてしまう。

いや、そんなもの、本当は関係ない。
なのに、なぜ?



「お前が命を賭して求めるものではない!なのに、なぜ!!」



「ーーーーーーーーーーーーーーうるっせぇ!!」


全力をもって、風を、押しのける。
握った拳に、爪がくい込んで血が出ていた。




そうだ、知らないだなんて、そんなことはない。







全て、わかっていたことだった。









衛宮士郎にとって、なにか一つを得ようとすることは、破滅を招くことだと。

衛宮士郎は、正義の味方でなくてはならないこと。



ーーーーーーーーーそれでも、

あぁ、そうか。
わかった。

ーーーーーーーーー俺は、




「あそこにーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー辿り着きたい」







手を伸ばす。
吹き荒れる、風の向こう側に。
一歩を踏み出す。
荒れ狂う、困難の果へ。

「求めた景色。 無力な自分。 抱いた理想。叶わない夢」

声が、遠ざかる。

「証明してみろ」

背筋が、伸びる。

「あぁ、約束する」

問答になっていない。

「必ず取り戻せ」

約束にもなっていない。

「たどりつく」

それでも、

「あぁーーーーーー、」

それでも、その男は。


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー任せた」



瞬間、安心したように、存在が消える。
もう声は感じられない。

風はやまない。
階段は終わりが見えない。

それでも、確かに託されたものがあった。
存在は感じられなくとも、確かに存在したことは感じられる。


生まれて17年、そんな言葉は使ったことがなかったはずなのに。
今は、まるで、生涯にわたり呟き続けた言葉のように思う。

おそらく、これこそがやつの存在。
この言葉こそ、やつの生涯。

さぁ、証明してみろ、俺。
やつの存在を、生涯を、

背負って生きる。

血塗れた道、果てしなく遠い道。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー失った、アイツを取り戻すための道。

















「体は剣でできている」































 
 

 
後書き
そしてペースがおそすぎる。。。。 
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