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ハイスクールD×D/EXTELLA

作者:edjigboj
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月光校庭のエクスカリバー
  球技大会

球技大会
一誠side

-カキーン-
晴天の空に金属音が木霊する。

 「オーライオーライ」
俺は飛んできた野球ボールをグローブでキャッチした。

 「ナイスキャッチよ、イッセー」
笑顔でグーサインくれる部長。
旧校舎の裏手に草の生えていない少しだけ開けた場所があるのだが、俺たちオカルト研究部の面々はそこで野球の練習をしていた。
いや、悪魔の仕事ってわけでもないんだ。じゃぁなんで野球の練習をしているのか。

 「来週は駒王学園の球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」
部長が生き生きしながら力強く言う。
そう。もうすぐ学校の行事の一つ、球技大会がある。
野球、サッカー、バスケ、テニスなど球技と名のつく競技を一日使って楽しむ行為だ。
種目的にはクラス対抗戦や男女別競技などがあり、その中の一つに部活対抗戦があった。
もちろん、オカルト研究部の参戦も例外じゃない。文科系の部活、体育会系の部活関係も参加しなければならない。
部活対抗戦の種目は当日発表なので、何で対決するかはわからない。人数差的に差のある場合は、少ない方の部活に合わせて人数を決める。
配置的に人数が多くなる種目は、生徒会公認のリザーバーをメンバーに加入して補うんだ。
とりあえず、目ぼしい球技の練習をこうして行っているわけだ。今日は野球だ。
時間帯は夕方、もうすぐ空も赤くなるだろう。いつもなら旧校舎にある部室で夜の活動時間までお茶を飲みながら駄弁っているのだが、最近は体操着に着替えて球技の練習だ。
まぁ、体を動かすことは嫌いじゃないから、楽しいっちゃ楽しいのだが、早朝からトレーニングしている俺からしてみれば、ここ数日は一日ぶっ通しで体力を酷使している。
朝練から学校の授業、部活動の領域で球技の練習に夜の悪魔のお仕事・・・正直死んでもおかしくないぜ。俺が悪魔だから保っているようなもんだ。

 「バッティングの練習はこんな感じで良いわね。野球なら四番は小猫に決定」

 「・・・・・・了解です」
そりゃそうだ。ホームランを乱発する怪力少女の小猫ちゃんが一番でしょう。誰文句はいえないな。つーか、ドラフトで先発されてもおかしくない打率だし。

 「次はノックよ! さぁ、皆! グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」
えらく気合の入っている部長。すごくハキハキしていて元気だ。

 「うふふ。部長はこの手のイベントが好きですからね」
笑いながら朱乃さんが言う。

 「分からなくもないです。部長って負けず嫌いですもんね」

 「そういうことですわ。まぁ、よほどのヘマをしなければ私たちが負けることなんてないと思いますけれど」
確かに。基本、人間よりも頑丈で強力な悪魔だもんな、俺たち。
当日は加減することを前提で動くらしいけど、それでも苦戦するってことはないだろう。
でも、野球のルールや特性を体で覚えておかないとダメだってことで、部長はこうして俺たちに練習を促している。

 「頭で分かっていても、体で覚えないとダメよ」
と、部長。そのたくましさはすごい。頭の中でのイメージトレーニングだけで終わらせないところが、部長らしいというか。体のスペック的には俺たちの方が上なんだけど、実戦じゃ何が起こるか分からないからってことで練習している。

 「ほら、アーシア! 行くわよ!」

-カーン!-
バットで打ち出したボールがアーシアの方へ飛んでいく。ボールは高く上がり、放物線を描いて落ちていく。

 「はぅ! あぅあぅあぅ・・・」
落ちてくるボールをキャッチしようと動いているのだが。

ーゴチン!-

 「「あぅ!!」」
あ。丁度、柴崎との中間に落ちそうになったのを、二人が取ろうとして頭がぶつかった。
ボールは地面に落下し、後方に行ってしまった。

 「アーシア! 取れなかったボールはちゃんと取ってくるのよ! シバサキもボールに気を取られないでしっかりしなさい!!」

 「「は、はい!」」
アーシアはボールを取りに行き、柴崎は元の場所に戻っていった。二人とも共通なのは、運動神経がちょっとだけ下なんだよなぁ。たまに何もないところで転ぶし。
先日のライザーの一件以来、部長は勝ち負けに対して以前より強い姿勢を見せている。
ライザーに負けたのが心底悔しかったのだろう。
あの時、状況的に俺たちの劣勢は確かだった。負けたのが部長のプライドをひどく傷つけちまった。
俺がもう少し使えたら・・・。

 「棟夜! 行くわよ!!」

 「了解・・・・・・キャッチ」
飛んで行ったボールを棟夜は難なくキャッチした。バッティングも小猫ちゃんの次に打率が良いし、守備でも完璧にこなしている。

 「次、祐斗! 行くわ!」
今度は木場の方へボールが飛んで行った。
まぁ木場も大丈夫だろう。棟夜同様に最速ランザーだし、何でも器用にこなす男だ。
と思っていたのだが・・・。

 「・・・・・・・・・」

-コン-
ボケーっとうつむいていた木場の頭にボールがぶつかって落ちた。
って、おいおいおい!

 「木場! シャキッとしろよ!」
思わず声を上げると、気づいたのか木場が顔を上げて俺の方を見る。きょとんとしていやがる!

 「・・・あ、すみません。ボーッとしてました」
下へ落ちたボールを拾うと、作業的な放り方で部長の方へ投げた。
部長もため息をつきながらボールをキャッチした。

 「祐斗、どうしたの? 最近、ボケっとしてて、あなたらしくないわよ?」

 「すみません」
素直に謝る木場。
だけど、部長の言うとおりだ。こいつ、ここ最近難しい表情で何かを考え込んでいた。
定例のオカ研会議でもどこかで遠い目をしてて話し合いに参加していない。
聞けば奴のクラスでも話題になっているようだ。
・・・・・・物思いにふける王子。とか言いつつ、女子たちは心配しつつも憂いのある表情に興奮しているという。
イケメン死ね! って思うけど、今回ばかりは俺が見てもおかしいと感じる。
いつもニコニコしてたこいつがこんな調子になるなんて露程も思わなかったもんな。
・・・・・・俺の予想が正しければ、俺んちで部活をした時以来、木場は調子が悪いんじゃないかな? やっぱ、あの写真が原因か?
木場と聖剣に、何かがあるようだ。
けど、それはそれだ。今は目の前の大会のため、球技練習に精を出さないと。

 「ふむ・・・」
あっ、部長がまた野球のマニュアル本を読みだしたぞ。部長は事あるたびに本を読んでいる。読書家だよなぁ。部室でもたまに難しい本を読んでるし。

 「あらあら。ところでイッセーくん、ご存じ?」
朱乃さんが何やら聞いてくる。

 「何でしょうか?」

 「最近、部長ったら恋愛のマニュアル本を読んでいるんですよ」

 「れ、恋愛のマニュアル本!? ま、まさかそんな!」
部長が恋愛のマニュアル本を読むなんて、それって。

 「お相手はトーヤ君ですわね」
やっぱり・・・まぁ、当然だな。あんな風に助けられて、命をかけて守ってやるって言われたら、そりゃねぇ。
・・・んでも、その肝心の棟夜はなぁ。

 『棟夜。もし部長に彼氏ができたらどう思う?』

 『別にどうもしないが』

 『・・・一瞬でも付き合おうって考えたことはないのか?』

 『ないね。相手は上級悪魔で俺は平凡な人間だ。つり合わない相手に夢見ないさ』
なんてあっさりとしていやがった。こりゃ難関だな。でも部長が他の奴を好きにならないなら問題ねぇな。

 「さーて、再開よ!」
部長がバットを振り上げて、練習が再開された。




昼休み。
球技大会も近いからか、練習が過酷になっている。
昼を食べたら部室に集まることになっている。大会前の最後のミーティングだ。念入りだよな、部長は。

 「今日も部活か」
松田がカレーパンを頬張りながら聞いてくる。

 「まぁな、球技大会の練習中ですよ、俺ら」

 「はー、オカルト研究部がボールかよ・・・お前んとこの部って、全員身体のスペック高いよな」
そりゃ悪魔だもんな。基本的に人間よりは強いさ。

 「それよりイッセー、お前な。変な噂が流れているから気をつけろよ」
突然、メガネをくいっと上げた元浜が言ってくる。

 「な、なんだよ、元浜・・・」

 「美少女をとっかえとっかえしている野獣イッセー。リアス先輩と姫島先輩の秘密を握り、裏で鬼畜三昧のエロプレイを強制し、『ふふふ、普段は気品あふれるお嬢様が、俺の前では卑しい顔をしやがって! このメス豚がっ!』と罵っては乱行につぐ乱行」

 「おおおおーいいいいい! なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!?」
あまりの噂っぷりに叫ぶ俺! 何だよその噂は!!

 「まだ続きはある。ついには学園のマスコットアイドル搭城小猫ちゃんのロリロリボディにまで毒牙が向けられ、小さな体を壊しかねない激しい性行為は天井知らず。まだ未成熟の体を貪る一匹のケダモノ。『先輩・・・・・・もう、やめてください・・・・・・』。切ない声も野獣の耳には届かない」

 「そして、その貪欲なまでの性衝動は転校したての二人の天使・・・。転校生初日にアーシアちゃんへ、そして柴崎綾ちゃんに襲いかかり、『日本語と日本の文化、俺が放課後の特別補習で教え込んでやろう。そしてお前は幼馴染よりさらに進んだ関係になろうじゃないか』と黄昏の時間に天使を堕落させていく・・・」

「鬼畜イッセーの美少女食いは止まらない・・・とまぁ、こんな感じか?」

 「ま・・・マジかよ。俺、周囲にそんな風に見られているのか?」
回りを窺うと、心なしか俺を性欲のみに生きる野獣のように見られているような感じが・・・。
うぅ、気のせい! 気のせいに違いない!!

 「ちくしょう! 誰だ!? いったい誰がそんな噂を流してやがるんだ!!」

 「まぁ、俺たちが流してるんだがな」

 「うんうん」
元浜と松田が悪びれた様子なく堂々と言いやがった。
嘘みたいだろう? 親友なんだぜ、こいつら。

-ゴッ! ドゴッ!-
俺は無言で二人を殴りつけた! 当たり前だ! こんちくしょうどもがぁぁぁ!!

 「痛いぞ、鬼畜」

 「そうだ、俺たちにあたるな野獣め!」

 「ふざけんな! 俺の悪い噂流しやがって! お前らいっぺん死んでみるか!?」

 「ふん。このぐらいしないと俺たちは嫉妬で頭がイカレてしまうぜ!」

 「ハハハ、すでに嫉妬でイカレてるのかもしれないぜ」

 「ちったぁ悪びいれろ! 俺の学園ライフをどうしたいんだお前等は!!」

 「ちなみにイッセーと木場、さらには棟夜とのホモ疑惑も流れている」

 「多感な性欲はついに同性のイケメンにまで!・・・まぁ、これも俺たちが流してるんだがな」

 「一部の女子には大変人気でございますよ」

 「きゃー! 受け攻めどっちぃ?」

 「死ね! 死んでしまえこのクズどもが!!」
二人の顔面に蹴りをくらわす! 最悪の友人だぜ! くそっ! 付き合いが長くなかったらマジでボコボコにしてるところだ! まったく・・・なんて奴らだ!
はぁ・・・そんな風にダチと昼食を摂っていると、時間が差し迫っていた。

 「おっといけねぇ。今日は部活の集まりがあるんだった、んじゃぁな、」

 「精が出るねぇ。本当、ご苦労様だぜ。そんなにスポーツマンだったか、お前?」

 「仕方ないだろ。部長命令ってやつさ。やるからには勝よ、俺は」

 「熱血だな・・・お前がエロ以外で燃えがるなんてよ・・・」

 「マジ変わったよな。生乳見ると人生観変わるか?」

 「まぁな。生乳は本当に素晴らしものさ」

 「「死ね!!」
フッ! 恨め恨め!! お前らが怨恨つぶやている間、俺は前に進んでハーレム王になってやるぜ!! 
でも、俺ってそんなに変わったか? まぁ、確かに人間から悪魔になったけどね。
俺はカバンを持って教室を出て旧校舎に向かう。
部室に入ると俺以外のメンバー全員が揃っていて・・・っていうか、部員じゃない人もいる?
っ! ソファーに座る部員以外の人物に俺はビックリした。

 「生徒会長?」
そう。ソファーに座っているのは、駒王学園の生徒会長だ。女性の会長さんで、冷たく厳しいオーラを発している知的な美人さんだ。
日本人は離れした美貌の持ち主だけど、名前は支取蒼那先輩。部長と同じ三年で上級生だ。
学内で3番目に人気がある。もちろん、1番は部長で2番目は朱乃さんだ。
怖そうな雰囲気が邪魔して他者を近づけさせなかった。キツそうな目つきも関係していると思うが、この人も相当な美人だ。
男子よりも女子に圧倒的で、ある意味で部長や朱乃さんよりも人気がある。
見れば、会長だけじゃなく、生徒会の関係者らしき男子が付き添っている。

 「何だリアス先輩、もしかして俺たちのことを兵藤に話していないんですか? まぁ同じ悪魔なのに気づかない方がおかしいけどさ」
こいつ、最近生徒会の書記として入った男子生徒か? その書記に蒼那先輩は静かに言う。

 「サジ、基本的に私たちは『表』以外の生活以外ではお互いに干渉しないことになっているの。だから仕方ないのよ。それに彼は悪魔になって日が浅いわ。兵藤君は当然の反応をしているだけ」
なっ、なんだと!?
いまの説明だと生徒会メンバーも悪魔なのか? バカな! 俺やオカルト研究部以外に、この学園に悪魔がいたのか!?

 「駈王学園の生徒会長、蒼那支取の本当の名はソーナ・シトリー。リアスと同じ上級悪魔、シトリー家の次期当主さ」
驚愕してる俺に棟夜が説明してくれた。
てか上級悪魔!? しかもシトリー家って・・・詳しくは知らないが、部長のお家やフェニックス家みたいにすごいところの出ってのはわかるぞ!

 「ってか何で棟夜が知ってんだ?」

 「棟夜君は1年前、とあるはぐれ悪魔討伐時に偶然居合わせたのですよ。はぐれ悪魔を倒した実力を見て、私たち生徒会に入らないかと勧誘したのですが・・・」

 「堅苦しい規律が嫌だから断ったのさ」
へぇ。棟夜って意外に悪魔と会ってんのな。それよりも、この学園にまだ上級悪魔が存在してたいたことに心底驚いたよ!
そこへ朱乃さんが説明をしてくれる。

 「シトリー家もグレモリー家やフェニックス同様、大昔の戦争で生き残った七十二柱のひとつ。この学校は実質グレモリー家が実権を握っていますが、『表』の生活では生徒会・・・・・・つまり、シトリー家に支配を一任しております。昼と夜で学園での分担を分けたのです」
へぇ、そうだったのか・・・・・・。
書記の男子学生が再び口を開く。

 「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回っているからこそ、平和な学園生活を送れているんだ。それだけは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ? ちなみに俺の名は匙元士郎だ。二年生で会長の兵士だ」

 「おお! 同学年で同じ兵士か!」
これは奇遇だ! それよりもちょっと嬉しいな。この学園に俺以外の兵士がいて、しかも同学年とは!
だがそんな俺の思いとは裏腹に、初期の匙はため息をつく。

 「ハァ。俺としては、変態三人組の一人のお前と同じ兵士なんて、酷くプライドが傷つくんだがな・・・・・・

 「な! なんだと!」
この野郎! せっかく歩み寄ろうとしたのによ!

 「おっ? やるか? こう見えても俺は駒四つ消費の兵士だぜ? 最近悪魔にばっかだけどよ、兵藤なんぞに負けるかよ」
挑発的な物言いをする匙に、会長が鋭く睨む。

 「サジ、お止めなさい」

 「し、しかし、会長!」

 「今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕にした悪魔を紹介し合うためです。つまり、あなたとリアスのところの兵藤君とアルジェントさんを合わせるための会合です。私の眷属なら、私に恥をかかせないこと。それに・・・・・・」
会長の視線が俺に向けられる。

 「今のあなたでは兵藤君に勝てません。彼は赤龍帝の力を宿しているのですから・・・・・・兵士の駒八つ消費したのは伊達ではないということです」

 「駒八つ!? しかも赤龍帝って・・・マジか」
なんだなんだ? 何事? 俺の事だよな? つーか、俺の事を目元ひきつらせながら見ないでくれ。動物園で変な癖を披露してる動物じゃないんだから。

 「ごめんなさい、兵頭一誠君、アーシア・アルジェントさん。うちの眷属はあなたよりも実績がないので失礼な部分が多いのです。よろしければ同じ新人悪魔同士、仲良くしてあげてください」
薄く微笑みながら会長はそういってきた。氷の微笑と言うのかな。部長とは違って、素敵な笑みだ。

 「サジ」

 「え、は、はい!・・・・・・よろしく」
渋々ながらも匙は俺に挨拶した。不満そうな表情だけど。

 「はい、よろしくお願いします」
アーシアが屈託なくニッコリしながらあいさつを返す。アーシアはいい子だなぁ。

 「アーシアさんなら大歓迎だよ!」
匙がアーシアの手を取り、俺の時とは正反対の行動を取る。こ、この野郎!
俺はアーシアの手から匙の手を引き離し、思いっきり力を込めて握手してやった。

 「ハハハ! 匙君! 俺の事もよろしくね! つーか、アーシアに手を出したらマジ殺すからね、匙くん!」
無理に作ったにこやかフェイスで言ってやった。すると匙の奴も半笑いしながら握る手に力を込めてきやがった。うんうん! よろしくね、兵藤君! オカ研の美女美少女を独り占めなんて、噂通りのエロエロ変態鬼畜くんなんだね! やー、天罰でも起きないかな! 下校途中、落雷にでも当たって死んでしまえ!」
暴言を暴言でかえす俺たち。異様な光景だろうな。でもこいつだけは許さん! 木場とは違う意味で苦手なタイプだぜ! ってかマジでコイツ殴りたい! アーシアに手を出したらタダじゃおかねぇ!
主人である部長と会長は「大変ね」「そちらも」なんて会話を嘆息しながらしていた。

 「ちっ。俺んとこの生徒会メンバーはお前の所よりも強いんだからな」
匙は吐き捨てながら握手の手を離す。
やっぱり、生徒会の面々は会長の眷属で下僕悪魔ってことか。
会長は出されていた紅茶を一口飲むと、静かに語りだす。

 「私はこの学園を愛しています。生徒会の仕事もやりがいのあるものだと思っています。ですから、学園の平和を乱す者は人間であろうと悪魔であろうと許しません。それはあなたでもこの場にいる者たちでも、リアスでも同様のことです」
その言葉は、俺とアーシア、匙、新人悪魔に向けられたものだと理解できた。
ようするに、学園生活を妨害する者は誰であろうと許さない・・・・・・と。会長はそれだけ駒王学園を愛しているのだ。さすが、会長の席に座っているか方だ。

 「お互いのルーキー紹介はこれで十分でしょうね。では、私たちはこれで失礼します。お昼休みに片づけたい書類がありますから」
会長は立ち上がり、この場を後にしようとする。

 「会長・・・・・・いえ、ソーナ・シトリーさん、様。これからよろしくお願いします」

 「よ、よろしくお願いします」
俺が挨拶すると、アーシアが続いた。
いち新人悪魔としてのあいさつだ。相手は上級の悪魔様で部長の知り合い。相手の下僕がアレだとしても、俺たちグレモリー眷属の新人悪魔がこの人に頭を下げるのは当然だと思う。
会長は微笑み、「ええ、よろしくお願いします」と返してくれた。
部屋を出る直前、微笑んだまま会長が部長に言う。

 「リアス、球技大会が楽しみね」

 「えぇ、本当に」
部長も笑顔で返した。
ああ、この二人、基本的に仲がいいんだなってすぐに理解できた。なら、先日のお家騒動も助けてくれても良かったのに・・・・・・と思ったが、上級悪魔同士の出来事はそんなに簡単に介入できないものだろう。
それとも、部長なら切り抜けられると信じていたのかな?
会長はそれだけ言うと、速足に部室を後にした。

 「イッセー、アーシア。匙君と仲良くね。他の生徒会メンバーともいずれ改めて悪魔として出会うでしょうけど、同じ学び舎で過ごす者同士、ケンカはダメよ?」
ニッコリと部長が言う。

 「はい!」
部長にそういわれたら俺は黙って従います! 野郎がどんだけムカついてもケンカしません!
しかし、駒王学園に俺たち以外の悪魔が他にいたとは・・・・・・。
この学園には秘密が多そうだ。
そして日にちが過ぎて、球技大会が始まった。



棟夜side

 『漫画研究部の塚本君、橋岡先生からお呼び出しです。至急、職員室まで・・・・・・』
校庭に設置されたテントのスピーカーから、アナウンスが発せられる。
球技大会当日。天気は晴天だが、午後から雨が降ると天気予報で言っていたが恐らく大丈夫だろう。
体操着に着替えた俺とオカ研の全員、校庭の一角に集まりそれぞれのリラックス状態で体を休めている。
まぁ部活対抗戦と言っても、最後の方だ。最初はクラス対抗戦。俺のクラスは野球だ。それなりに頑張るか。
次に男女別の種目に続き、お昼休憩を挟んで部活対抗戦だ。
俺は胡坐をかいて木陰にいて、木に体をあずけている。一誠は軽めの筋トレ。アーシアは朱乃に手伝ってもらってストレッチで体をほぐしている。
小猫は俺の胡坐かいてる膝の上に座って野球のルールブックを読んでいる。綾は俺の隣で座っているが熟睡中だ。
木場は・・・・・・相も変わらず物思いにふけっているようだ。ボケっと空を眺めている。
リアスは部活対抗戦の種目が発表されるので確認しに行っている・・・・・・お。戻ってきた。
小走りで戻ってきたリアスは不敵な笑みを浮かべている。

 「ふふふ、勝ったわよ、この勝負」

 「それで、種目は?」
リアスはピースサインで言った。

 「ドッジボールよ!」
・・・・・・何やら波乱な予感がするな。




 「部長ぉぉぉぉぉ! 頑張ってくださぁぁぁぁぁい!!」
一誠が声を上げてリアスを応援する。
今は男女別の種目で、テニスコートのフェンスに俺たちは来ている。そこでは、女子の種目テニスが行われている。ちなみに男子はサッカーだ。
俺たちのクラス対抗戦はどうなったか? クラスのバカ男どもが気張りすぎて初戦負け。サッカーも同様・・・・・・マジでこいつらクズだと改めて認識した瞬間だった。
テニスコートでは、リアスがクラスの代表女子として、他の先輩女子とテニス勝負をしている。
・・・・・・まぁ、殆どの男は鼻の下を伸ばして試合じゃなく、ミニスカから見える太ももを見ているが。

-パコーン!-
軽快な動きで相手を翻弄するが、相手もそれについて行っている。
それもそのはずだ。何せ相手は・・・・・・。

 「会長様ぁぁぁぁ! キャー!!」
女子の黄色い声援が湧く。
そう、リアスの相手は生徒会長のソーナだ。しかもよりにもよって決勝戦で当たった。

 「うふふ、上級悪魔同士の戦いがこんなところで見られるなんて素敵ですわ」
隣にいる朱乃も楽しそうに観戦している。
まぁ・・・・・・こういうことで上級悪魔の戦いが始まるなんて思わねぇからな。
しっかし二人ともマジで勝負してるな。

 「いくわよ、ソーナ!」

 「ええっ! よくってよ、リアス!」
会話をしながらもノリノリだな、あの二人。

 「会長ぉぉぉぉ! 勝ってくださぁぁぁい!!」
反対側のフェンスじゃ、生徒会って刺繍された旗を振って応援してる匙がいる。気合入ってるな。

 「おくらいなさい! 支取流スピンボール!」

 「甘いわ! グレモリー流カウンターを食らいなさい!!」
ソーナが放ったボールが高速回転してリアスに迫る。それをラケットで打ち返そうとしたが、突然ボールが軌道を変えて急降下した。アレ絶対ボールに魔力込めたろ。

 「15-30!」
ソーナにポイントが入りリードされる。

 「やるわね、ソーナ。さすが私のライバルだわ」

 「うふふ、リアス。負けたほうが小西屋のトッピング全部つけたうどんを奢る約束・・・・・・忘れてはいないわよね?」

 「えぇ、私ですらまだ試していないそれをあなたに先を越されるなんて屈辱だわ。絶対に私が勝たせてもらうわ! 私の魔球は百八式まであるのよ?」

 「受けて立つわ。支取ソゾーンに入ったものはすべて打ち返します」
二人とも燃えるのは良いんだが、賭けの対象が以外にも庶民的だね。人間界に長居すると感覚が人間に近くになるのかね?
結局、リアスとソーナの凄まじい戦いは両者のラケットが壊れたことで、同位優勝ということで方がついた。
あんだけ激しいラリーを繰り返していればラケットなんて壊れるよ。
そして大会は部活対抗戦への時間となった。
 
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