夢幻水滸伝
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第十八話 瀬戸内の海戦その八
「本当にね」
「それは何よりじゃ、わしは戦は専門じゃないがのう」
「あんたは貿易だね」
「それが好きじゃ」
何といってもというのだ。
「そして政がのう」
「この強さでもだね」
「術が使えるがのう」
銃撃を続けつつだ、玲子に話す。銃弾は全て弾かれ無効化されているが玲子に攻める余裕は与えていない。
「魔術師の術とかな」
「あと超能力とかもだね」
「今使える術はこの二つじゃ」
そうだというのだ。
「しかしじゃ」
「それでもだね」
「戦は専門じゃないきに」
「神具もだしね」
「これは一人を相手にするものじゃ」
今使っているピストルはというのだ。
「わしの万国海法は貿易と政のもんぜよ」
「そうだね」
「ああ、だからおまんともな」
「勝負を決める気はないっていうのかい?」
「負けはせん」
この自信はあった。
だが、だ。その自信と共に言うのだった。
「しかし勝つことも出来ん」
「だからだね」
「今日の戦は負けじゃ」
正岡は自分からこのことを認めた。
「退かせてもらうぜよ」
「そう簡単に逃がす訳にはいかないんだがね」
「そう思うじゃろ、しかしのう」
「そうしてみせるんだね」
「周り観るぜよ」
「おっと、もうだね」
観れば四国の軍勢は今一騎打ちが行われている四国の軍勢の旗船以外の船は全速力で退きだしている、そしてだった。
織田がだ、退く船達の最後尾のその船から正岡に言った。
「全船、そして死傷者もです」
「全部じゃな」
「船に入れました」
「そうか、ほなじゃ」
「四国にですね」
「逃げるぜよ」
正岡もこう織田に返した、玲子と戦いながら。
「このままのう」
「では」
「はよ敵の大砲の範囲まで逃げるんじゃ」
「それが出来るかい?」
「おまん等がここにおる」
正岡は今度は闘っている相手である玲子に言った。今も銃と槍の激しい闘いが続く。玲子が朱槍を振るって放つ衝撃波は紙一重の見切りの動きでかわすか銃弾で相殺し後ろにいる自軍の兵達に及ぶのを防いでいる。
「味方を大砲で撃てるか」
「吉川の旦那がだね」
「それ出来るお人やないのう」
「あの旦那は優しいんだよ、もっともあたしもね」
「味方ごとは出来んのう」
「それは無理だね」
玲子にしてもというのだ。
「やっぱりね」
「そうじゃのう」
「ちょっとね」
どうにもと言う玲子だった。
「それは無理があるね」
「そうじゃな」
「ああ、それが出来る人間は関西にいないよ」
「ロシアの女帝さんやインドの雷帝さんは別みたいじゃがのう」
「あっちはまた別だからね」
「太平洋でそこまで出来るお人はおらんわ」
正岡の知る限りではだ。
「どっかあったかい世界じゃからのう」
「そして吉川の旦那もだね」
「おまん等もここにおるからじゃ」
大砲の射程の中にというのだ。見れば旗船も退いている。玲子達を乗せたまま。
「撃てんわ、だからじゃ」
「逃げるんだね、四国に」
「そうじゃ。まあ敵も追ってきてるがのう」
吉川は追撃は仕掛けていた、だが。
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