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夢幻水滸伝

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第十八話 瀬戸内の海戦その七

「ではだ」
「はい、次はですね」
「このまま攻めて」
「そうして」
「勝つ」
 まさにと言うのだった。
「いいな」
「わかりました」
「徹底的に攻めましょう」 
 兵達も応えてそしてだった。
 玲子に続く形でさらに攻めようとしていた、この時玲子は敵の旗船に乗り込み正岡と対峙していた。
 玲子は槍を構えつつだ、正岡に笑みを浮かべて言った。双方の兵達が後ろにいて控えている。
「こっちの世界じゃはじめてだね」
「お互いにのう」
 正岡も笑って玲子に返す、彼は着物の袖をひらひらとさせる形でその着物の中で腕を組んで立っている。
「会えて嬉しいわ」
「こっちもだよ、それでだけれど」
「ああ、降るかじゃな」
「そうしな、姫巫女さんの下で楽しもうぜ」
「紫先輩か、ええ人じゃな」
「あんたが好きな貿易も出来るよ」
「願ったりじゃ、しかしわしも四国の棟梁じゃ」
 それ故にとだ、正岡は玲子に返した。
「はいそうですかと頭下げられんきに」
「だからだね」
「そうじゃ、納得するまでじゃ」
 例え敗れてもというのだ。
「戦うわ」
「そこは意地ってやつだね」
「おはんもそうじゃろ」
「ははは、あたしはそういう意地はないしね」
「棟梁にもじゃな」
「興味はないからね」
 そうした地位もというのだ。
「自分が楽しめたらいいからね」
「だからじゃな」
「姫巫女さんも好きだしね」
「関西にいるっちゅうことじゃのう」
「そうさ、それであんたもだな」
「ははは、つまらん意地じゃ」
 自分でこう言う正岡だった、それも笑って。
「ついてきてくれるモンもおって有り難いしのう」
「ついてくるつもりのない奴はだね」
「ああ、言わんわ」
 無理強いはしないというのだ。
「そこはのう」
「あんたらしいね」
「まあのう、それでこれからじゃな」
「ちょっとやるかい?」
「何時でもええぜよ」
 正岡が笑って応えるとだ、すぐにだった。 
 彼は懐から短筒を出して玲子に銃撃を放った、だが。
 玲子はその銃撃を首を左に捻ってかわす、銃弾は彼女がその瞬間までいたその額の場所を通過した。 
 だが正岡はさらに撃つ、銃弾を装填せずにだ。
 次から次に撃つ、玲子はその銃撃を見つつ言った。
「相変わらずいい腕だね」
「普通の奴には百発百中じゃ」
「刀は使わないんだね」
「刀よりこっちぜよ」
 短筒だというのだ。
「ピストルぜよ」
「龍馬さんのだね」
「同じ故郷の人で大好きじゃ」
 笑って言うのだった。
「それでじゃ」
「あんたの神具もだね」
「これじゃ」
 短筒、龍馬が持っていたそのピストルだというのだ。
「わしは戦の場で派手に暴れるタイプでもないしのう」
「その割に腕は確かだね」
 玲子は今度は朱槍の刃の部分で銃弾を弾き返してから言った、見れば銃弾は一直線だけでなく様々な動きをしている。
 一度かわした銃弾もUターンして玲子に来る。玲子はその銃弾も叩き落とすが。
 そのうえでだ、正岡に不敵な笑みで返した。
「いいねえ、このやり取り」
「面白いんじゃな」
「普通の勝負なんてね」
 それこそというのだ。
「面白いことは面白いけれどね」
「最高じゃないきに、じゃな」
「そうだよ」
 その通りという返事だった。
「だから今はいいって言ったのさ」
「最高に面白いんじゃな」
「そさ」
 その通りだというのだ。 
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