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夢幻水滸伝

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第十八話 瀬戸内の海戦その六

「一瞬かも知れん」
「しかしですね」
「それを使ってじゃ」
 そうしてというのだ。
「一瞬でも相手の目を晦ましてじゃ」
「その一瞬の間に」
「反撃、そしてな」
「その反撃からですね」
「形勢逆転じゃ」 
 そうしようというのだ。
「是非な」
「そしてですね」
「淡路から堺に入ってな」
 そしてとだ、正岡は勝利を見ている目で語った。
「そこから上洛してじゃ」
「天下も」
「取ったるわ」
「では」
 部将達が応えてだ、そしてだった。
 正岡は今度は霧を出した、戦場を忽ちのうちに濃霧が多い鉄砲の射撃を妨げる。しかしそれもだった。
 正岡の予想通りにだ、即座にだった。
 陽光の術で霧が妨げられる、だがその一瞬の間にだ。
 四国の軍勢は今度は敵の船に乗り込み切り込もうとする、玲子はそれを観て吉川に対して言った。
「来たね」
「ではだな」
「ああ、ちょっとやって来るね」
 吉川に楽し気な口調で言った。
「今からね」
「頼むな」
「ああ、そしてな」
「敵を退けてくれるな」
「そうしてくるね」
 早速朱槍を手にしてだ、自分が率いる兵達に言った。
「行くよ、そしてね」
「はい、船に乗り込んだ敵兵達をですね」
「今から退けますか」
「そうしてやるんですね」
「そうだよ、楽しい戦のはじまりだよ」
 まさに今こそというのだ。
「これまでは見ているだけだったけれどね」
「正直退屈してましたよ」
「どうにも
「それがですね」
「今からあっし等も出番ですね」
「そうさ、行こうぜ」
 こう話してだ、そしてだった。
 玲子は切り込み隊を率いてだ、そのうえで。
 船に乗り込んだ敵兵達にあたった、特に玲子はその朱槍を振るい四国の軍勢を薙ぎ倒していく。
 一突きでまとめて数人吹き飛ばし一振りで何人も薙ぎ倒す、そして自ら敵の船に乗り込んでだった。
 敵兵達を槍だけでなく拳や蹴り、投げまで使って倒していく。そうしつつ楽しい顔で戦う彼女を見てだった。 
 吉川は自身が率いる兵達にだ、鋭い目で言った。
「こうした時はな」
「はい、やはりですね」
「円地殿あってですね」
「海の戦でも」
「流石は武辺者だ」
 玲子自身が言う不便者だというのだ。
「見事な強さだ」
「まさに鬼神ですね」
「船の上でも普通に戦ってくれます」
「丘の上の時と同じく」
「そうしてくれますので」
「頼りになる」
 こう言うのだった。
「非常にな、そしてこれでだ」
「ここでの戦は決まりですか」
「海の中での戦も敵を退けている様ですし」
「どの船も動けています」
「底が開けられたという話もありません」
「敵の手は全て防げた」
 正岡と織田が次から次に出してきたそれをというのだ。 
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