夢幻水滸伝
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第十七話 淡路合戦その十六
「戦、海もそれは同じだ」
「そういうことだね」
「では敵が見えたらだ」
その時は近い、そしておの時になればというのだ。
「砲撃だ、全船いいか」
「はい」
後ろにいる部将の一人が応えた。
「ではこれより」
「砲撃用意だ」
それをしろというのだった。
「いいな」
「わかりました」
部将は吉川の命に一礼して応えた。
「それでは今より」
「全ての船だ、ただしだ」
「味方の船には」
「撃つな」
当然のことだが強く言って釘を刺したのだ。
「そうなりそうならだ」
「砲撃はですね」
「するな、その時は鉄砲だ」
それを使えというのだ。
「船上から鉄砲を甲板に横一列に並んで撃て」
「砲撃の様にですね」
「三段で撃て」
撃ち方まで命じた。
「そしてそのうえでだ」
「弾幕にもして」
「そうしてだ、敵を撃ちだ」
「かつ、ですね」
「寄せ付けるな。炮烙も投げろ」
それもというのだ。
「敵も投げて来るだろうが数はこちらの方が多い」
「だからですね」
「数で押せ」
炮烙の方もというのだ。
「とにかく数でだ」
「押すのですね」
「若し燃えたならすぐに水で消せ」
その時のこともだ、吉川は既に頭に入れていた。
「鉄の船は木より燃えにくいがだ」
「火薬を多く積んでいるので」
「火は厄介なままだ」
だからだというのだ。
「その時は急げ」
「わかりました」
部将はまた答えた。
「それでは」
「すぐに伝えろ、空からも攻めることを忘れるな」
天狗や鳥人達によってというのだ。
「いいな」
「はい、わかりました」
「それではだ」
こう言ってだ、そのうえでだった。
吉川はあらゆる戦の用意をさせた、そうしたうえでだった。
腕を組んでだ、正面を見据えて言った。
「ここからもだ」
「何かあればだね」
「手を打っていく」
ここでも玲子に言った。
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