夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十七話 淡路合戦その十五
後ろにいた旗本の一人にだ、こう言った。
「全ての船に伝えろ、すぐに戻れとな」
「三笠のところにですね」
「全速力だ、そしてだ」
「そして?」
「ただ戻るのではない、囲む様にしてだ」
そうしてというのだ。
「戻るのだ」
「敵をですね」
「囲むことは続けろとな」
「わかりました」
旗本はすぐに連絡をした、それが終わってからだ。
吉川は今度は別の旗本にだ、こう言った。
「船の上では砲撃そして銃撃の用意だ」
「全船がですね」
「船上戦とだ」
玲子にも顔を向けて言った。
「海中でもだ」
「敵が魚人や人魚で来たらだね」
「こちらも出す」
軍勢の中の魚人や人魚をというのだ。
「そうする、あの銃を持たせてな」
「銛を撃つあれをだね」
「あれは使い方さえ覚えれば強い」
「撃つからね」
「しかも銛等より強い、若し海中での戦となればだ」
「それで勝てるね」
「そうだ、それで戦うぞ」
「わかったよ、そして敵が来たら」
この時はとだ、玲子も応えた。
「あたしもそうして戦うよ」
「頼むぞ、その時は」
「それじゃあね」
「干戈を交えた戦はすぐだ」
戦闘、それはというのだ。
「ここで勝ってこそだ」
「意味があるね」
「そして勝つのは我々だ」
「勝つことが必要な場面なんだね」
玲子は先程の話を吉川にした。
「今は」
「そうだ、今後の為にもな」
「そういうことだね」
「ではいいな」
「ああ、やってやろうかい」
玲子は今度は槍を見た、自身の神具の朱槍をだ。刀身まで異様に大きいその槍は見事な威圧感を出している。
「その時は」
「頼むぞ、ではだ」
「ああ、戦いだね」
「今からな」
こう話してだ、そのうえでだった。
吉川は自身が率いる全ての船に命じた、それは当初の考えとは違っていたが彼は平然として言った。
「これでいい」
「いいのかい?」
「そうだ、戦場は思惑通りに進むか」
「お天気みたいなものだろ」
これが玲子の返事だった。
「というかお天気も大きく関わるしな」
「雨なら傘を出す」
「状況に応じて動く、だね」
「そういうことだ、だからだ」
「今はだね」
「敵が正面、こちらに突き進んで来るならだ」
「普通に囲むんじゃなくてだね」
「今の様にする、敵の動きを見てこちらも動く」
それもまた、というのだ。
ページ上へ戻る