夢幻水滸伝
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第十七話 淡路合戦その十三
「攻めるその時にね」
「身体が自然に動くな」
「兵を率いてね、もう根っからのいくさ人ってことだね」
「ではそのいくさ人の感性をだ」
「頼ってくれるかい?」
「そうさせてもらう、ではだ」
「本格的な戦だね」
「これからな」
こう言ってだ、吉川は船を動かしていった。艦隊は確実に四国の水軍を囲んできていた。だがその彼等の動きをだ。
四国の軍勢もわかっていた、正岡は彼が織田と共に乗っている船でに戻って来た物見の話を聞いて言った。
「囲んで来るきに、敵さんは」
「そうですね」
織田も彼の横で言う。
「そして四方から一斉砲撃ですね」
「そうして来るわ、そんな砲撃受けたらじゃ」
それこそというのだ。
「こんな木の船直撃受けんでも海が揺れまくってのう」
「沈みますね」
「そうなるわ、それでじゃ」
「こちらとしてはそれはですね」
「ないわ」
全く、という言葉だった。
「絶対に勝ったるわ」
「では」
「全軍前じゃ」
「前進ですね」
「敵さんの旗艦はそっちにおるな」
「はい」
その通りだとだ、物見が言ってきた。
「そちらに」
「ではじゃ」
「まずはですか」
「そこじゃ」
正岡の言葉はつい良かった。
「敵はまず頭を潰すのが勝つ秘訣きにのう」
「特に敵の数が多いならば」
「そうじゃ」
まさにとだ、正岡はまた織田に言った。
「おはんもわかっとるのう」
「戦についても学んできましたので」
謙虚な笑みでだ、織田は応えた。
「あくまでこの世界限定ですが」
「けれどそれで充分じゃ、それがわかっとるならじゃ」
それならというのだ。
「やるか」
「はい、前に突き進み」
「敵の頭を叩いて勝つんじゃ」
正岡は自分の考えを完全に決めた、そのうえでの言葉だった。
「そして目指すは上洛じゃ」
「はい、二人からですね」
「関西の連中も入れて皆で天下統一じゃ」
「先輩の方々も多いですが」
「ははは、尊敬出来る人達がのう」
正岡は豪快に笑った、着物の袖の中で腕を組んで馬の見事な歯を見せつつそのうえでの言葉だった。
「その人達とも肩を並べてじゃ」
「天下統一、そしてですね」
「太平洋の大海原に乗り出すんじゃ」
「そして貿易もしてですね」
「でっかい国作るか」
「そうしましょう、拙僧は正岡さんとお会いして感銘しました」
織田は今度は穏やかな笑顔で応えた。
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