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夢幻水滸伝

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第十七話 淡路合戦その十二

「とかく戦い方はある、この船で体当たりをしてもいいしな」
「敵の船にだね」
「日本の海戦ではあまりないが」 
 船首を敵の船にぶつけて沈める方法はというのだ。
「それをする」
「この船もあれ付けてるのかい?」
「ラムだな」
「そうそう、それね」
「付けていないが鉄で出来ているのだ」
 鉄甲船だけあってというのだ。
「それで木の船に激突する」
「だったら強いね」
「そうだ、それをあえてしてだ」
「沈めるんだね」
「色々なやり方を考えている」
 戦術をというのだ。
「もっとも中には私が想定もしていない方法で攻めても来るだろう」
「相手も必死だしね」
「その時もどうするかだな」
「中々大変だね」
「これが四国との最初の決戦になる」 
 今からはじまる海でのそれがというのだ。
「だからだ」
「ここはだね」
「こちらも何としても勝つ、戦うからにはだ」
「絶対に勝つだね」
「その目的を達成する」
 吉川の言葉はこうしたものだった。
「戦のな」
「勝つのが戦の目的だろ」
「そこは違う、勝たなくていい場合もある」
「そうなのかい?」
「時としては勝たなくていい場合もある」
「何かわからないね」
「時として一旦負ける場合もある」
 戦争の目的がというのだ。
「そして最終的な目的を達成するのだ」
「負けてもだね」
「そうした場合もある」
「わからなくなってきたよ、あたし」
 実際にだ、玲子は首を傾げさせてこう吉川に言った。
「戦は勝つのが目的だろ」
「勝利を目的達成と考えることだ」
「そうすればいいのかい?」
「そうだ、そう解釈すればどうだ」
「いや、もうな」
「考えられないか」
「頭一杯だよ」
 玲子にとってはというのだ。
「考えられなくなってきたよ」
「ではもうだ」
「考えなくていいね」
「そうだ、では敵が大砲の射程に入ればだ」
 その時はというのだ。
「一斉射撃だ、君が動く時はだ」
「言ってくれるね」
「自分から動くと思うが」
「そうだね、あたしはいつもそうだね」
 玲子は吉川の今の言葉には笑って返した。 
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