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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十九話 長崎を後にしてその十六

「そうしました」
「そういえばそう言われていましたね」
「そうした教師に子供達が虐待され剣道を汚すものなので」
「だからですか」
「そうしました、正義とは思っていませんでした」
「あくまで怒りを感じた」
「義憤なぞという言葉は使いません」
 畑中さんはこうも言った。
「そうした言葉は」
「使われないですか」
「みっともないです」
 義憤、そうした言葉を使うことはというのだ。
「みだりに使うことは」
「みっともないですか」
「己を正義だの正しいことをしていると堂々と言えるなぞ」
 それこそとだ、畑中さんは言った。
「己を常に振り返ってこそ言えますが」
「そうしている自信がないなら」
「言うものではありません、ですから」
「そうした言葉を使われないんですね」
「私は。ましてやみだりに使い暴走するが正しいことをしているだの言うことは」
 そうした輩はというのだ、ネットの荒らしで時折見るタイプだ。正直そんなタイプは僕も好きになれない。
「恥を知っていればです」
「言えないですか」
「そう思います」
「だからその先生を成敗しても」
「思いませんでした」
「そうでしたか」
「はい、とてもです」 
 それこそというのだ。
「今もそうです」
「正義は、ですか」
「みだりに口にするものではないとです」
「思われていますか」
「はい、ただ義和様は」
「僕は」
「最初からそうしたことは言われないですね」
「自分が正しいと思って悪いと思ってる相手を攻撃するの見たことがあります」
 僕にとっては嫌な思い出だ、女の子が集団で一人の男の子をそうしていた。遠井君という隣のクラスの子だ。今は可愛い彼女がいて親友の人とも仲良くしている。この親友の人は遠井君が辛い時もずっと支えてくれた物凄くいい人だ。
「ですから」
「だからですか」
「はい、正義ってのは主観ですから」
「それを高らかに言うことは」
「ないです」
「そうですか」
「はい、思い出しますから」
 あの時をだ、女子バスケ部の佐藤星華さんがその女の子達のことを最低な奴等と怒っていたのも思い出す。佐藤さんも色々あったらしいけれどいい人だ。
「ですから」
「そうなのですね」
「はい、そうしたことは言わないです」
 僕はこう答えてだ、家鴨料理を食べてからデザートも食べた。フルーツをたっぷりと使ったケーキを赤ワインと一緒に食べて夕食を終えて夜となった。


第百十九話   完


                     2016・12・8 
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