八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十話 明けない夜はないその一
第百二十話 明けない夜はない
夕食を終えた時はまだ夕暮れだった、けれど夜は確かに近付いていた、僕はその夕暮れを食事の後自分達の部屋に戻って窓から観た。
その僕にだ、畑中さんが聞いてくれた。
「今日もですね」
「はい、外に出て」
「飲まれますか」
「そうさせてもらいます」
畑中さんに顔を向けて答えた。
「是非」
「ではイルミネーションも」
「楽しませてもらいます」
これも忘れなかった。
「あれを観ながらです」
「ワインもですね」
「楽しみたいです」
こう畑中さんに話した。
「それも待ってましたから」
「そうですね、では」
「はい、今日も行ってきます」
「そしてどなたと行かれますか」
畑中さんは僕にこうも尋ねてきた。
「今宵は」
「それは」
「まだですか」
「考えていません、しかし」
「しかし?」
「何か今のお言葉は」
それはとだ、僕は畑中さんに気恥ずかしく笑って言った。
「僕が女の子達といつも遊んでいるというかお嫁さんを選ぶ」
「その様にですか」
「思いましたけれど」
「それは気のせいです」
「そうですか」
「確かに義和様も何時かは結婚されますが」
このことも言ってきた。
「それでもです」
「今はですか」
「八条荘に入居されている方はどなたも女性ですが」
それでもというのだ。
「義和様はご結婚についてはお考えはないですね」
「はい」
僕も素直に答えた。
「そう言われましても」
「左様ですね」
「婚約者もいないですし」
八条家にはそうした相手の人がもういたりする人もいる、ただうちの家族は親父が別にいいだろと言ってそうした話はない。何でも親父もそうした人はいなかったらしい。お袋とは恋愛結婚でそれで一緒になったらしい。
「別に」
「そうですね」
「はい、ですから」
「そうしたことはですね」
「全然です」
本当にだ、このことは。
「想像の外です」
「そうですから」
「だからですか」
「そうしたつもりではお話していません」
「そうなんですね」
「ご結婚は十八から出来ますが」
それでもというのだ。
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