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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十九話 長崎を後にしてその十五

「あります」
「生徒を虐待する為の」
「教師と生徒では力が違いますね」
「どうしてもそうですね」
「ましてや成人男性と中学生では」
 大人とついこの前までランドセルを背負っていた子供だ、考えてみればそんな子供相手に教師という偉い立場にあるうえで虐待を加えるなぞ一般の職業では確実に懲戒免職だ、本当に学校の先生の世界はどうなっているのだろう。
「全く違います」
「生徒が先生に暴力振るうとか」
「そうそうです、ましてやです」
「武道をしている様な人はですね」
「有段者であることを自ら言っていて体格もいい」
「そんな人ですと」
「滅多な不良が武器を持っていても」
 そうしていてもというのだ。
「集団でも危ういです」
「そんな先生ですよね」
「力もあります」
「そんな人に暴力を振るうことは」
「まずありません」
 それこそとだ、畑中さんは僕に話してくれた。
「それでもです」
「生徒に暴力を振るうんですね」
「そんな先生が前にいればどうでしょうか」
「僕もですね」
「はい、義和様も」
「今もそうですが」
 中学の時のことを思い出してだ、僕は畑中さんに答えた。
「やっぱり」
「そうですね」
「はい、どうしても」 
 こう答えた。
「怖いですね」
「そうですね、ならばです」
「生徒に怖がられない様に注意して教えないと」
「ならないのですが」
「それをですね」
「その先生は過剰な暴力、虐待で応えました」
 僕に話してくれた。
「教えるにしても」
「それじゃあ生徒が怖がりますからね」
「怖がられるのをいいと考えていたのです」
 暴力を振るった生徒にだ。
「怯えている生徒が挨拶をしたその横を胸を張って通り過ぎて小声でうっすという挨拶をしていたとか」
「完全に相手を下と思っていますね」
「同じ人間とは見ていませんね」
「先生様ですか」
 僕はシニカルに、悪意を込めて言った。人に悪意を向けることはよくないとわかっているけれどそんな奴には向けてしまう。
「つまりは」
「その通りです」
「体育会ですね」
「それも駄目な」
「まさにそれですね」
「そして生徒をそこまで下に見ているからです」
「虐待を加えても平気なんですね」
「下の者には何をしてもいいと思っているのです」
 よく日本のネットの保守の人で何処ぞの国の人間は下の者は塵芥の様に扱う階級社会だと言う、しかし日本にもこんな奴がいるのだ。他の国のことを言えるのかと言いたい。
「だからリンチ技を加え床の上で背負投をして他の部活の生徒の前で叩きのめすのです」
「やりたい放題ですね」
「私はその話を聞いて本気で怒りを覚えたので」
「成敗されたんですね」
「いえ、二度と剣道が出来ない様にして教師でいられない様にしました」
 つまり社会的に完全に抹殺したというのだ。 
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