八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十九話 長崎を後にしてその十二
「スペイン語は凄いよ」
「それでそのスペインはね」
「オリーブをなんだ」
「何かイタリア以上に使うかも」
「オリーブオイルのジュースもあって」
「それでもね」
詩織さんは僕にさらに話してくれた。
「あの俳優さんみたいにはね」
「使わないんだね」
「そうだと思うわ」
「まああの人本当にいつもだからね」
番組の中ですぐにだ、笑ってオリーブ使っちゃう?と言って使う。そのせいでまたオリーブかと言われたりしている程だ。
「特別だね」
「そんなにオリーブ好きなのってね」
「思うよね」
「あそこまでオリーブ使うと」
首を傾げてだ、詩織さんはまた言った。
「そこまで、って思うわね」
「本当にね」
「まあそこまではね」
「詩織さんもそう言うんだ」
「オリーブは好きよ」
「けれどだね」
「私もそればかりじゃないから」
どうしてもとだ、こう言ってだった。詩織さんは鯉のムニエル、自分のものを食べてそのうえでまた僕に話してくれた。
「バターも美味しいわ」
「オリーブオイルもいいけれどね」
「こちらも美味しいわ」
「鯉も美味しくて」
「ええ、まあバターも欧州じゃよく使うけれど」
食べつつだ、詩織さんは言った。
「こっちも美味しいわよ」
「確かにそうだね」
「鯉もそうで」
「うん、本当にここで鯉を食べられるなんて」
「思わなかったわね」
「川魚はね」
本当にだ、魚といえばだ。
「少ないからね」
「お店で出るのも」
「売ってるのもね」
「専門のお店でよね」
「魚屋さんもスーパーもね」
鮎は別にしてだ、売っているといえばだ。
「シーフードって言う通り」
「海ね」
「そうそう、このホテルでもよく出るみたいだし」
実際にメニューにも出ている、魚介類は豊富だ。
「お魚っていうと」
「海よね」
「そうなんだよね」
「鯉も美味しいのに」
詩織さんはこのことを心から残念に思って言った、言葉にもそれが出ていた。
「残念よ、けれど」
「うん、虫が怖いからね」
「それも仕方ないかしらね」
「そうだろうね」
「まあ確かに海水魚の方が安全だし」
こと虫についてはだ。
「仕方ないわね」
「特に生はね」
「そういうことね、じゃあ鯉を楽しんで」
「次はね」
「家鴨料理ね」
「家鴨は」
「ピータンは結構」
その卵はというのだ、茹でたそれの色が鶏とは全く違う。そして口触りも味も違っていてこちらも美味しい。
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