八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十九話 長崎を後にしてその十一
「いってないわ」
「まあ普通はね」
「何でもオリーブは」
「ちょっとね」
「幾らイタリアでもね」
「ないからね」
「スペインもよく使うらしいけれど」
詩織さんはイタリアとは民族的にも近いこの国の名前を出した、同じラテン系で実際に国同士で仲もいいらしい。
「あの人までは」
「いかないんじゃないかな」
「そうよね、オリーブオイルのジュースあるらしいけれど」
「あっ、そうなんだ」
「クラスにスペインから来てる娘もいるの」
イタリアだけでなくというのだ。
「あそこからの娘もね」
「その国から来た娘も」
「そう、何でもバスクから来たらしいわ」
「ああ、あの独立するとかいつも揉めている」
「あそこからのね」
「スペインって言っても独特の場所だね」
「そうなのよ、その娘も言ってるわ」
詩織さんはその娘のことも話してくれた。
「独立でいつも揉めてるって」
「スペインも何かと問題を抱えてるんだね」
「ゲバラさんは遠い親戚とか言ってるわ」
「ゲバラってあの」
「そう、チェ=ゲバラさんね」
キューバ革命の英雄の一人だ、カストロさんと出会ってそして革命に身を投じた話を聞くだけで漫画みたいな人生を生きた人だ。
「あの人もバスク系らしいのよ」
「そうだったんだ」
「顔に出ているっていうわ」
「あれっ、顔になんだ」
ここで僕はチェ=ゲバラの顔を思い出した、見事な髭を生やしていて葉巻をくるらせた所謂イケメンである。
「バスク人ってことが出ているんだ」
「その娘はバスク人ってクロマニヨン人って言うのよ」
「また凄い話になってきたね」
「それでゲバラさんはね」
「クロマニヨン人の顔なんだ」
「そうだって」
「そういえばそうかな」
頭の中でクロマニヨン人、図鑑に出ていたその顔とゲバラさんの顔を重ね合わせてみた。そうすると言われてみればだった。
「実際に」
「そうよね」
「何かね」
「だからね」
「ゲバラさんはなんだ」
「クロマニヨン人のお顔でね」
「バスク人なんだね」
僕も言われてそうかもと思った。
「成程ね」
「実際どうか知らないけれど」
「そうしたこと言ってたんだ」
「ちなみにその娘中南米の子達と原語でいつも笑ってお話してるわ」
「中南米もスペイン語だからね」
八条荘の娘の中でもそうだ、ニキータさん達は中南米系の娘達だけだといつもスペイン語で会話をしている。
「それはね」
「普通のことね」
「スペイン語も多いからね」
使う国も話す人もだ。
「中国語、英語、アラビア語とね」
「スペイン語もね」
「多くて、大学も」
八条大学もだ。
「外国語学部にスペイン語学科あるよ」
「そうよね」
「スペイン文学科もあるし」
こうした学科もある、八条大学には。
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